はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

スワンダイブ

2007年07月28日 | ほん
「おじいさん、さっきあたしがしていたのね、とびこみよ。はじめ、スワン・ダイブ三度して、それからジャック・ナイフして……それから……あんまりたくさんしたから、忘れちゃった!」
 おじいさんは、ゆっくりおなかをゆすりながら、おじいさんらしい、いい声で笑いました。
「あっはっはっは! どうも泳ぎのまねらしいとは思ったが……わしはまた、ボーフラかと思ったんじゃよ。もうボーフラの出る季節になったかなあ、えらい一生けんめいなボーフラもあったもんじゃなあ、とな。あっはっはっは!」
「ははははは!」
「アハハハハ!」
「ホホホホホ!」
 ノンちゃんの目の前で、いろんな笑い声が爆発しました。たしかに、爆発したのです。


 この文章は、『ノンちゃん雲に乗る』(石井桃子著)からの抜粋である。このファンタジーについては1年前にも述べたのだが、森絵都著『DIVE!!』の中に「スワンダイブ」という技がでてきて、それで思い出してひっぱりだしてみた。『DIVE!!』はすごく面白く痛快なスポーツ少年小説である。
 ただし、森絵都らしさという点では『永遠の出口』をおすすめしたい。森さんの筆は、このようにくそまじめにスポーツするキャラを描くより、だらだらと、でもそれなりにしぶとく生きるという面白キャラを描くとき、より強い個性を発揮すると感じるのだ。『DIVE!!』で僕がいちばん森絵都らしくていい、と思ったエピソードは__________(わすれました。おもいだしたら書きます)
 「スワンダイブ」という技は、水泳の高飛び込みの技で、ふるいものだそうである。『DIVE!!』によれば、100年ほど前のオリンピックでスウェーデンの選手が得意にしていた美しい技だとしている。手をひろげて、飛ぶ。シンプルな技だ。

 ノンちゃんは、池に落ちたとおもったら、空に浮かんでいた。空の中で泳ぐノンちゃんは、スワンダイブを、それから、ジャックナイフをこころみる。ジャックナイフというのが、もしかしたら、飛び込みでスェーデンのライバル国だったイギリス選手の得意技のことかもしれない。
 それにしても『ノンちゃん雲に乗る』のこのあたりの文章は素晴らしい!(ボーフラって若い人は見たことないじゃろなあ) この本は昭和20年代に発表され、映画化もされている。本の中に描かれた時代は、たぶん昭和の初めである。きっと「スワンダイブ」が流行っていたのだ。
 今回これを書いて、調べていたら、石井桃子さん、ことし100歳になったそうである。(すごいなあ、100歳かあ。誕生日は1907年3月10日) 石井さんは『クマのプーさん』の翻訳者として有名だ。何年か前にTVで見たが、そのとき、「家の外を学校へ通うこどもたちの顔がうれしそうでないんですよね」と心配していたのを覚えている。

 子供のとき、川で泳いだことがある。(トシ寄りの証拠だ) 楽しかったなあ! 高い木の枝から冷たい川へドボーンと飛び込む、それが憧れだった。


 映画『夕凪の街 桜の国』が今日封切られましたね! 行こうと思っていたんですが体調がイマイチだったので見送りました。(暑いしね) 来週は、行こうと思います。


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