はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

終盤探検隊 part106 ≪亜空間最終戦争一番勝負≫ 第5譜

2018年01月30日 | しょうぎ
≪亜空間最終一番勝負 第5譜 指始図≫

 指し手 △3三銀打 


    [赤の女王とは何者か]

「いいこと、ここではおなじ場所にとまっているだけでも、せいいっぱいかけてなくちゃならないんですよ。ほかへ行こうなんて思ったら、少なくとも二倍の早さでかけなくちゃだめ」
「もうごめんだわ、おねがい、ここにいるだけでけっこうよ」とアリス、「ただもうあつくて、のどがからから!」
「何がほしいか、知っててよ」女王さまはあいそよくそういうと、ポケットから小さな箱をとりだしてね。「ビスケットはどう?」
 アリスはそんなもの、ちっともほしくなかったけれど、ことわったら失礼だろうと思って、ひとつもらって、むりやりのみこんだ。またよくもぼそぼそのビスケットだ。こんなにのどが詰まりそうになったことなんてはじめてだと、アリスは思った。
  (中略)
「二ヤード行ったところで、あなたの進む道を教えてあげるわ」女王さまは目印の杭をたてながら、「ビスケットを、もひとついかが?」
「いいえ、もうけっこうです。ひとつでもう十分!」
「のどがかわいたのは直って?」
 アリスはなんとこたえていいかわからない。
   
       (『鏡の国のアリス』ルイス・キャロル著 矢川澄子訳 新潮文庫)


 
 ポーン(チェスの駒の歩)になりたいと言ったアリスは、なぜかはわからなかったが、「赤の女王」と手をつないで全速力で走った。あまりにたくさん走ったので、のどがからからになってしまった。
 走り終えると、その結果、望みどおりにアリスはこの『鏡の国』の巨大なチェス・ゲームの参加者になったのだった。「白のポーン」として。

 それにしても、この「赤の女王」は、何者なのであろう。
 女王は、アリスに「お辞儀」を要求したり、自分を「陛下」と呼ぶように指示したり、またいろいろとこのチェス・ゲーム世界での進み方をアリスに教えたあとは「お前はお礼をいうべきだ」と指摘したりする。ちょっと尊大な女性だ。いや、ちょっとどころか、だいぶ尊大かもしれない。「女王さま」はそういうものなのかもしれない。
 けれども、よくよく考えてみれば、「赤の女王」は、アリスに対してずいぶんと“親切”だったかもしれない。
 アリスは『鏡の国』にきて、家の庭に出て、それから「丘」のてっぺんに行こうとした。しかしどういうわけか、「丘」をめざして歩いていたのに、いつのまにか逆に家に戻ろうとしていたり、どうやって「丘」に行けるのかわからなくなったいた。話しかけてくる庭の花たちに聞いてもらちがあかない。
 そこに「赤の女王」が登場したのである。二人は、いっしょに「丘」のてっぺんまで歩いた。まるで「赤の女王」は、道を前に進めず困っていたアリスをたすけるためにやってきたかのようである。

 そして「丘」のてっぺんでアリスが「このチェスの駒になりたい」といえば、「そんなの簡単」といって、アリスの手をとって、走りはじめたのだった。

 こうして、アリスは「白のポーン」になった。
 「赤の女王」は、走り疲れたアリスが「のどがからから!」だというのでビスケットを与え、アリスが休んでいるうちに、てきぱきと働いた。アリスが出発するための準備をととのえてくれたのである。

 「赤の女王」の正体は、あの黒い仔猫キティであった。



<第5譜 ブレイクスルー>

「ブレークスルー (breakthrough)」
  1.行き詰まりの状態を打開すること。
  2.科学技術などが飛躍的に進歩すること。
  3.難関や障害を突破すること。        (三省堂 大辞林)

≪第4譜 指始図≫2二同玉まで

 ≪第一次亜空間戦争≫において、先手番をもつ我々(終盤探検隊)がついに「降伏」することになった(報告part32)のは、この図で、先手の勝ち筋が発見できなかったからだった。
 (この指始図からの我々の頑張りの内容は報告part27~32にて)

 だが、「ブレイクスルー」が起こった。

≪第5譜 指始図≫4二銀まで
 “4二銀” はまさに、この闘いの、「ブレイクスルーの一手」であった。
 コンピュターソフト「激指」もこの手は発見できない。「激指14」は、この“4二銀” と打った場面での評価値を[ -1328 後手優勢 ](考慮時間15分)としている。すなわち、ここで4二銀としても先手はっきり悪いとみているのである。
 「激指14」は後手の最善手は「 <T>4二同金 」としている。実際、先手の我々(終盤探検隊)にとっても一番気になる手は「 <T>4二同金 」だし、これで「先手勝てない」といったん判断したはずである。
 しかし我々(人間とソフト「激指」の連合軍)は、“リフレッシュ休暇”の後、この情勢をひっくりかえしたのである。まさに「ブレイクスルー」が起こったのだ。

 <T>4二同金のあと、どうなるか確認していこう。
 4二同金には、3一角と打ち込む(次の図)

変化4二同金図01
 以下、3一同玉、5一竜、4一銀打(代えて4一桂は4二竜、同玉、7二飛以下詰み)、同桂成、同銀(次の図)

変化4二同金図02
 ここまでは前譜(第4譜)での解説手順と同じ。違うのはここから。
 前譜では、ここで5三角とし、以下先手負けとなった。

 ところが―――ここで、「先手の勝ち」への手があったのだ!!!

変化4二同金図03
 ここで、“3二歩”と打つのである!
 この手の発見が、いったんは我々の負けで終わったこの闘いを再開させた。≪弟二次亜空間戦争≫の開幕である。 

 「3二歩、同玉」に、「4二竜」と切って、「同玉」に、「7二飛」と打っていく。

 これを“手順前後”して、この図で先に4二竜とすると、同玉とは取ってくれず、同銀となり、そこで3二歩は2二玉とかわされて後手勝ちとなる。
 「3二歩、同玉、4二竜」に“同銀”なら、4一銀、同玉、6一飛以下、後手玉に“詰み”があるのだ! (「激指」はこの詰み手順を軽視してしっかりと追っていなかったのかもしれない。もちろん4一同銀の前図になれば「激指」も5分考えて3二歩以下の手順を発見するのであるが、それより前の局面からは見通すことはできないようだ)

 要するに、「3二歩、同玉」を入れることで、次の「4二竜」に、「同玉」と限定させる。

 そこで「7二飛」と打って、後手は「5二飛」。 飛車以外の合駒だと5一角、同玉、6二金から詰んでしまうから、これが唯一の受け。(ヨコに利く駒が飛車しかない)
 さらに「6四角」と王手する。これには「5三銀」。 この場合も銀以外の駒だと即、詰んでしまう。(たとえば5三歩合なら、5二飛成、同銀、5一銀、同玉、6二金、同玉、7三角成から。5三銀はこの6二に打たれるのを防いでいる。また5三角合は、同角成、同玉、6三金、同玉、7三飛成以下詰み)

 そこで先手は、「5四銀」と打つ。

変化4二同金図04
 これで、「先手良し」の局面になっている。
 後手は飛車をとれない。7二飛なら、5三角成、5一玉、6二銀から詰む。
 6四銀と角を取ると、4三銀成から詰まされてしまう。
 後手は5三と4三とその両地点を同時に受けなければいけない図になっているのだが、そういう手はない。
 この図は、3四の「先手玉」も後手の“詰み”に役立っていて、しかし後手は持駒が角、桂、歩なので、その先手玉を攻撃する手段がなくなっている。つまり、後手に「飛車」と「銀」とを合駒に使わせることで、先手玉が安全になっているという仕組みだ。
 まさに、先手にとって“奇跡の逆転劇”であった。

 とはいえ、ここはまだ「先手勝ち」が確定したわけではなかった。後手にもまだ、このピンチを切り抜ける手段が残されていたのである。
 ここで後手には2つの手がある。一つは〔1〕2五角 、もう一つは〔2〕3三歩

 ≪亜空間戦争≫で後手の≪主(ぬし)≫がやってきた手は「〔1〕2五角 」 だった。 これを同玉と取ると、6四銀で、先手が負ける。よって、先手「2三玉」が正解。さらに「1四角、1二玉」と進み、そこで「6四銀」と後手は角を取る。(先手玉を1二まで逃がすことで、4三銀成以下の後手玉の詰め手順がなくなっているという理屈だ。しかし先手は後手に協力してもらって“入玉”したということにもなる)

 以下、「5二飛成、同銀、2二飛」と進む(次の図)

変化4二同金図05
 3二飛、同飛成、同角、2二飛、2三角、同飛成、同角、同玉、2四飛、1二玉(次の図)
 (2三角に代えて、3四角の変化はあとで)

変化4二同金図06
 過去の≪亜空間戦争≫においては、図以下、5四飛、4五角、5五飛、2三角成、5三玉、4五金と進み、その順で「先手勝ち」となった。(終盤探検隊part55
 ここで後手2二飛打には、1一玉と逃げて、以下3三桂に1二角と受けておけば、やはり先手優勢。

変化4二同金図07(3四角の変化)
 今の手順を少し戻って、後手が2三角に代えて、3四角(図)と離して角を打った場合を見ておこう。
 これには先手1一玉と逃げる。
 対して、後手は3一飛(次の図)

変化4二同金図08
 後手の「3一飛」。 これは、先手からの2四金~3三歩の攻めを受けつつ、3三桂の王手からの逆転筋を秘めた手である。
 角取りになるのでここは2四金と打ちたくなる。しかしそれが後手の用意した“誘いの罠”なのだ。
 ここでうっかり2四金なら、3三桂で後手の望み通り形勢逆転となる。
 この図では、先手は「6三金」と打つのが優位確保の手となる。同銀なら、同銀成、5三金、7三歩成のように攻めていく。
 6三金に、後手3三桂が狙いの勝負手だ。以下、2一金、同飛、同飛成、同角、5二金、同玉、6三銀打、5一玉(4一玉だと4二歩以下詰み)、5三香、同銀、5二飛、4一玉、5三銀不成(次の図)

変化4二同金図09
 こうなって、「先手勝ち」になっている。 先手玉には後手1二金からの詰み筋があるが、それを飛車が防いでいる。

変化4二同金図10(3三歩の変化)
 「変化4二同金図04」(先手が5四銀と打った場面)まで戻って、〔1〕2五角 に代えて、〔2〕3三歩 (図)を選択するとどうなるか。
 以下、2三玉、3二角(この角を打たずに6四銀は5二飛成、同銀、3二飛から後手玉詰み)、1二玉、6四銀、5二飛成、同銀、2二飛、2三角打、1一玉、2四飛(次の図)

 2三角打に対し、同飛成、同角、同玉と欲張ると、2五飛、1二玉、3二飛で、先手まずい。

変化4二同金図11
 この後手2四飛の目的は、5四飛と後手にとって目障りな銀を除去すること。
 先手はどうするか、ここは、2六香と打って、2五歩に、同香、同飛、7三歩成、同銀、5三歩という手順で「先手良し」。
 他に、3四歩が良い手であることも見つけたので、その順を紹介しておく。
 「3四歩、同飛に、2三飛成、同角、2二金」と進める。(実際に指すとなると決断のいる手順である)

変化4二同金図12
 「2二金」―――この金は、3一角と打つ手と、2三金と角を取る手の両狙いである。
 それを防いで“3一桂”が考えられるが、まずこの図で“5四飛”を先にみておく。
 5四飛、3一角、5一玉、2三金、4二銀(4二桂なら6三歩、同銀、6五歩、同銀、7三歩成で先手勝ち)、同角成、同玉、3一角、5一玉、4五銀(次の図)

変化4二同金図13
 「先手勝勢」である。

変化4二同金図14
 戻って、先手の「2二金」に、“3一桂”と打った場合。
 これには4五角と打つ。後手は、5四飛、同角、5三玉と、後手も“入玉”をめざす。
 以下、8一角成(7二角成だと6三銀とはじかれ7一馬5四玉と玉に逃げだされて面倒)、6三歩、2三金、同桂、4五金(次の図)

変化4二同金図15
 これで「先手勝勢」。 

 それにしても、あの追い詰められた図から、こうなるとは、まったく夢のような展開だ。

変化4二同金図04(再掲)
 この図からは〔1〕2五角 でも、〔2〕3三歩 でも後手は勝てないと確かめられた。


 すなわち―――


≪第5譜 指始図(再掲)≫4二銀まで
 <R>3一歩
 <S>3三銀打
 <T>4二同金  → 先手勝ち

 この図からの、後手 <T>4二同金 は、「先手勝ち」なのだ!!!

 この図で、後手の有力な選択肢は上の3つである。(他の手ははっきり先手優勢になる。たとえば3三歩は4五玉で)
 このうち<T>4二同金が消えたので、後手の選択肢はあと2つ。この2つの道をつぶせば、この≪戦争≫の「先手勝利」が我々の手中に納められる。

 後手のくりだす次の手は、<R>3一歩

変化3一歩図01
 4二銀 の前に、4二歩という手を先に我々は指したのだったが、それは“3一歩”で先手が敗れた。3一の空間が埋められていると、次の4一歩成が詰めろになっていないから、3三桂打で後手勝ちになったのだった。
 それなら―――というわけで、我々は「4二銀ならどうだ」とやってみて、この道を発見したのだった。
 その“4二銀” に対して、<R>3一歩 だと、どうなるのだろう? 
 結果から言うと、我々はこの手を粉砕し、「勝利」することができたのである!


 <R>3一歩 には、「4一桂成」(図)とする。 3一銀不成以下の後手玉への“詰めろ”だ。

 ここで(紅)4二金 と、(白)3三銀打 が考えられる後手の応手。

 (紅)4二金 だと、「同成桂、3三銀」に、「4五玉」とするのが正解手順(次の図)

変化3一歩図02
 ここで“5三銀”なら、3二成桂と取って、同玉なら5一竜で、同歩なら3一銀(同玉以下詰み)で先手が勝てる。
 また、“4二銀”は、5四玉、6二銀、6三金で、“入玉”できるのでこれも先手勝ち。
 「6二桂」がこの図での後手の最善手と思われるが、これに対しても「3二成桂」とする。 同歩は3一銀から長手数の詰みがある。その手順は複数あるが、一例は、3一銀、同玉、6四角、4二銀打、5一竜、4一桂、同竜、同玉、5二金、同玉、6三金、同玉、7三角成のような詰め手順である。
 よって3二成桂には「同玉」だが、それには「5二飛」という手があるのだ(次の図)

変化3一歩図03
 5二同歩なら、4一銀、2二玉、3二金、同歩、同銀成、同玉、4一角、2二玉、2三角成、同玉、2一竜という“詰み”がある。
 よって「5二飛」には、「4二銀打」と抵抗するが、そこで「5一竜」として、「先手勝勢」がはっきりする。(6二飛成でもよい)

 この「5二飛」のような華麗な手が用意されているのだから、この時は、我々は、「ああ、祝福されている、終盤探検隊の前途は洋々」と感じていたのであった。きっとすべてがうまくいくだろう―――と。
 だが、「勝ちきるまでは決して喜びすぎない」というのが勝負の鉄則。

変化3一歩図04
 戻って、(白)3三銀打 と敵(ぬし)は手を変えてきた。
 これを同銀成と取ると、同桂で、その瞬間に、「後手勝ち」が確定する。
 よって、ここは「4五玉」。これしかない。

 そのあとは、4二銀、5四玉、5三銀、6五玉、6四銀打、7六玉、5八金と進む。

 そこで「7三歩成」として、以下、5九金、7四金、7三銀、同金、6四銀、7四飛という順で、我々と≪主(ぬし)≫は激闘をくり広げた。そして我々が勝利したのだった!

変化3一歩図05
 しかし、今あらためて考えてみると、「7三歩成」では、代えて、この図のように「5一成桂」のほうが本筋で、より勝ちやすいのではないか。(どうやら当時の我々は、“入玉”にこだわりすぎていたようである)

 「5一成桂」(図)以下、どうなるかを調べてみよう。
 これには、〔い〕5一同金 と取る手、それから 〔ろ〕4二金 、または
〔は〕6二金 と、かわす手が考えられる。
 (ほかに考えられるのは〔に〕5九金だが、これは、5二成桂、8四桂、7七玉、6六歩、6八歩、7五銀、3三歩で、先手勝ち)

 まず 〔い〕5一同金 。 これは後手は少しでも多く持駒を蓄えて攻めに出ようという手だ。 しかし、先手の攻めも加速する。

 「5一成桂、同金、同竜、5九金」に、「3三歩」で次の図。

変化3一歩図06
 「3三歩」が最速の攻め。
 後手も攻めたいので、8四桂、7七玉、6五桂、7八玉と、王手で先手玉を下段に落とす。
 しかし先手玉に詰みはないので、後手は手をもどさなければいけない。

変化3一歩図07 
 この図は、後手玉に“詰めろ”がかかっているのだ。(3二歩成、同歩、1一角、同玉、3三角、2二角合、2一飛成、同玉、4一飛、3一金、1一金、同角、同角成、同玉、3一飛成以下。最初の3二歩成に同玉は3四飛から詰む)

 よって後手は「3三銀」と手を戻す。
 これには、さらに「3四歩」の追撃弾がある(次の図)

変化3一歩図08
 この図も、やはり後手玉には、“詰めろ”がかかっている。
 (3三歩成とするのではなく)“3二金”から詰む。以下、同玉、4一角、2二玉、3二金、1一玉、2一金、同玉、3二角打、同歩、同角成、同玉、3一飛以下。
 よってこれを放置できないが、4二銀左と銀を引いても、“3二飛”から詰んでしまうのだ。(この場合、ナナメに進めない飛車から捨てるのが正解手になる。3二飛、同歩、3三角、同歩、3二金、同玉、4一角、2二玉、4二竜、同銀、3二金、1一玉、2二銀まで)

 後手が“詰み”をまぬがれる手は、「3四同銀」しかないのだ。
 「3四同銀」に、先手は「4一飛」と打って、後手に「3二金」と受けさせる。(金を使わせてこれで先手は自玉も安泰になった)
 そこで「3三歩」と、またも歩の爆撃弾を放つ(次の図)

変化3一歩図09
 これで「先手の勝ち」。 3三同玉に、1一角と打って、2四玉、3六金。以下、1四歩に、4六金、4四銀、2六歩で、後手玉は“必至”となる。


 見てきたように、〔い〕5一同金 、同竜の後は、後手玉に3三歩以下、敵に息をもつかせぬような“疾風の寄せ”があって、「先手勝ち」となった。


変化3一歩図10(4二金)
 〔ろ〕4二金 (図) とかわされた場合、先手はどう指すのがよいか。
 後手が形勢逆転を図るには、この手がいちばんよいかもしれない。先手の手の選択肢が多いからまちがえやすい。

 この場合は、6筋が薄くなったのに着目して、「7三歩成」が良いように思う。

 以下、「5九金、7四金、5五銀引、7二飛、5六と、5二成桂」と進んで、次の図となる。
 7二飛は攻防の手。5二成桂からの攻めと、6三とや8三ととこの飛車の利きを後ろに通せば受けにも働いてくる。

変化3一歩図11(5二成桂)
 ここで「5二成桂」(図)と踏み込んでいって勝てるというのが、我々の研究結果。

 実は、ソフト「激指14」は、ここでの「5二成桂」は少しキケンとみて、代えて“8六玉”を推奨している。「5二成桂」だとここで9五金と打たれる手があって、「激指」はそれをやっかいとみているようだ。
 “8六玉”の場合は、先手は9一竜~8三と進めて“入玉”していくのが第一のねらいとなる。しかし後手もそれを簡単には許さず、“8六玉”に、6六銀、9一竜、7五銀引、同金、同銀、同玉、8四金というような展開が予想される。これは先手が優勢だが、まだまだ頑張らないといけない。

 「5二成桂」は、“決めに出た”手だ。
 我々終盤探検隊は、「5二成桂」のほうが、後手の変化の余地が少なく、むしろ勝ちやすいのではないかと探査した結果、思っている。

 「5二成桂、9五金、6七歩」で、次の図。

変化3一歩図12(9五金に6七歩)
 後手に“9五金”と打たれたが、この図が「先手優勢」なら、問題ないわけだ。(しかし秒読みの終盤なら、この図を選ぶのはソフト「激指」が感じているように少し危険かもしれない。この図で「先手が勝てる」と読み切るには時間が必要だ)

 「5二金、同飛成」までは進むが、次の後手にどんな手があるか。

 ここでは、<a>6五桂、<b>7五歩、<c>6六歩という3つの有力手が考えられる。

 <a>6五桂は(後手にとって)良さそうな手だ。この手は次に8四桂を後手は狙っている―――いや、それだけではない。
 もし先手がもしここで3三歩なら、7五歩、同金、同銀、同玉、6四金、7六玉、8四桂で詰まされてしまう!

 しかし<a>6五桂には、「6三と」で、先手が勝てるのだ(次の図)

変化3一歩図13
 この「6三と」は、上で書いた後手7五歩からの詰め手順を防いでいる。(取った金を6四に打てない)
 この図で先手の手番なら、6四とで先手の勝ちがはっきりする。
 ここで後手はもちろん8四桂と打ちたい。しかしそれは、同金と取って、同歩に、3一竜以下、後手玉に詰みがあるのだ。
 以下、同玉に、4二角、同銀、同竜、同玉、5一角(次の図)

変化3一歩図14
 3一玉に、4二銀、2二玉、3四桂から“詰み”。 先手「6三と」は、「桂馬」を入手した瞬間に、“詰めろ逃れの詰めろ”に昇格するという仕組みだ。
 といって、「<a>6五桂、6三と」のところでは、後手に他に有効な手段がない。
 (なお、「6三と」は発見しにくい手だったが、後手<a>6五桂のところでは先手には他にもいくつか勝ち筋があって、とん死さえ食らわされなければ、見た目よりずっと先手勝ちやすい図だとわかった。たとえば「8六歩」でもよい)

変化3一歩図15
 戻って、<b>7五歩(図)と攻める手が考えられる。
 これを同金は、そこで8四桂と打たれ、それは形勢不明のきびしい勝負になる。
 だから「7七玉」のほうがよい。

 7七玉、6五桂、8八玉、7六桂、9八玉、7七桂成、8九金(次の図)

変化3一歩図16
 できるなら金は攻めにとっておきたいところだったが、ここは金を使って受ける。
 これで一応、後手の早い攻めは止まった。ここから後手の攻め筋は「6七と~7八と~8八と」のと金の活用。
 先手には“二手”の余裕がある。つまり、後手玉にここで“詰めろ”の連続で迫れば、先手が勝つし、“次に受けなしになる”という手でもよい。
 ここで6七となら、「3三歩」がここでも“詰めろ”になり、同玉にも3一竜で“受けなし”。 それで先手勝ちが決まる。
 だから後手は「4四銀引」と受ける。(先手の3三歩を同銀引と取るつもり)
 それには、先手「9一竜」と香車を入手し、「6七と」に、「3九香」(次の図)

変化3一歩図17
 後手“受けなし”になった。 これで「先手勝ち」。


変化3一歩図18(6六歩)
 <a>6五桂、<b>7五歩に代えて、3つ目の手段は<c>6六歩(図)。
 これにはどうすればよいか。無条件に6七歩成を許しては、先手勝てなくなる。

変化3一歩図19(4五角)
 <c>6六歩には、この「4五角」(図)が好着想の一手だ。(これ以外にも先手の勝ち筋はあるが、発見できればこの4五角がいちばん明快)
 これは次に3二竜として、同歩なら、3一角、3三玉、3四金で詰むし、同玉には4一角、4二玉、5一竜、3三玉、2三角引成、4四玉、3四馬で詰みだ。

 この“詰めろ”を桂馬しか持っていない後手がどう受けるか。

 受けは3通り考えられるが、まず1一桂と打つ手。
 これには、3二竜と切って、同玉に、3三歩(次の図)

変化3一歩図20(4五角に1一桂)
 3三同桂、4一角、2二玉、2三角引成、同桂、1一銀(次の図)

変化3一歩図21
 これで詰み。

変化3一歩図22(4五角に4二桂)
 次に、4二桂という受け。
 これにはいったん5一竜行として、4一桂と受けさせ(桂馬を使わせる)、そこで4二竜と切るのが堅実かつ絶妙な手順になる(次の図)

変化3一歩図23
 この時に飛車を渡すので、後手の持駒に桂馬があったらあとで8四桂からの反撃を気にする必要がある。それを警戒して安全を期して4一桂と後手に使わせたのであった。
 この図以下、4二同銀に、3四桂、3三玉、1一角、2四玉、6四金(次の図)

変化3一歩図24
 「先手勝ち」。 実戦でこのような勝ち方ができたら、気分良いことだろう。

変化3一歩図25(4五角に3四桂)
 もう一つ、3四桂(図)という受けがある。これをうっかり同角と取ると面倒なことになる。(それでも後手玉に詰みはあるが複雑)
 なのでここは、「3三歩」が実戦的にわかりやすい勝ち方。
 同玉に、1一角と打つ。2二桂合なら3五金と打って必至。1一角に、2四玉なら、3二竜(次の図)

変化3一歩図26
 これで、「<c>6六歩に、4五角」と打ったところでは、後手に受けがなく、「先手勝ち」になっていると証明された。


変化3一歩図12(再掲)9五金に6七歩 
 よって、後手に9五金と打たれても6七歩と受けて「先手勝てる」、とわかった。


変化3一歩図27(5二同飛成)
 手を戻して、この図は、先手「5二成桂」に、「同金、同飛成」となったところ。
 ここで9五金と後手が指せば、いま調べた道に合流するが、他の後手の有力手はないのだろうか。

 ここで“9四歩”はある。それには、先手も9六歩とつきあうのが正着。
 9四歩、9六歩に、6六と、8六玉、9三桂という手も考えられる手だが、それには「3三歩」で、先手が勝てる。

 「9四歩、9六歩、6六銀」という展開をこれから調べてみる。これも「3三歩」と攻める。

変化3一歩図28(6六銀に3三歩)
 後手の6六銀には、次に7五金、同金、同銀引、7七玉と、先手玉の上部を押さえつつ攻めようとするねらいがある。(7五金、同金、同銀上で危なくみえるがそれは6五玉で大丈夫)

 しかし「3三歩」(図)の攻めが、早い。 放置すれば3一竜以下の“詰み”がある。
 「3三同玉」なら、以下、1一角、2二桂、3五金で先手勝ち(次の図)

変化3一歩図29
 先手は角歩しか持っていないし、3四歩は“打ち歩詰め”で打てない。詰めろになっていないように見えて、そうではない。2二角成、同玉、3四桂、3三玉、2二角まで、5手詰め。
 後手が3四金とか3四桂打と抵抗しても、5一角以下詰むので、この図は“必至”の図になっている。
 なお、先手の1一角に、後手が2四玉と逃げるのが粘っている順になるが、やはり2六金などの手で「先手勝ち」である。

 前図「3三歩」に戻って、後手も先手玉を攻める手順を見てみる。
 7五金、同金、同銀引、7七玉、6六と、7八玉(次の図)

変化3一歩図30
 7八玉とこう逃げれば、先手玉は詰まないので「先手勝ち」。なおも7七歩と指してくれば、8九玉と逃げるのが正しい逃げ方である。
 そして後手玉の“詰めろ”は、ほどけない。3三玉には、3五金で“必至”だ。


変化3一歩図31(6二金)
 先手「5一成桂」を、〔は〕6二金と、今度はこちらにかわしてみる。

 ここでは、すぐに「3三歩」空爆弾が炸裂する。 金が後手の玉から遠く離れたことにより、いっそうこれが効果的になっているのだ。
 これを同桂は5二成桂が1一銀以下の詰めろになるし、3三同玉と取るのは、1一角から簡単に寄る。
 よって「3三同銀」だが、先手は「3二歩」が継続の攻め(次の図)

変化3一歩図32
 3二同玉は、3四歩、同銀、1一角が“詰めろ”で寄り。
 3二同歩には、3四歩と打って、同銀なら3一角、同玉、1一角でよい。 3四歩に4二銀左なら、4一飛(3一角以下の詰めろ)、3一桂に、3三歩成(同銀なら3一飛成、同玉、1一角とする)、同歩、3二歩と攻めて行って、やはり「先手勝ち」になる。最後の3二歩を同玉は、4二飛成、同玉、5二成桂以下の詰みがある。
 歩だけで攻めていけるのが、“裸玉”の先手には都合がよい。

 「3二歩」を放置して次に3一歩成となると後手陣はもう粘れない形になるので、詰めろになっていないこのタイミングで、後手はここで先手玉をここで素早く攻めて追い詰めたいところ。

 「8四桂、8五玉、5九金」と進む。(8五玉では7七玉もあるがあえてこちらを選んだ)
 すると、先手玉に7五金、9五玉、9四歩までの詰みがあるので、先手は「9一竜」としてそれを解除する。
 先手に次に9三竜とされると、先手玉は“入玉確定”となってしまうので、後手は「9四金」の一手。
 先手は「8六玉」。
 
 そこで後手は、有効な攻め手がなくなった。(9四金と打たせたことで、むしろ先手玉は安全になるのだ)
 しかたなく後手は「3二歩」と手を戻すことになる。
 
 先手は「3六香」(次の図)
 
変化3一歩図33
 これで「先手の勝ち」が決まった。 この香打ちは“詰めろ”。
 (後手は3二の歩を3二歩ととったが、3二玉の場合は、4一角と打ち、2二玉に、4五角と打って後手受けなしだった)

 ここからのその詰みを確認しておこう。 詰め手順は―――

 3一角、同玉、4一成桂、2二玉、3一角、1一玉、2二金、同銀、同角成、同玉、3二香成、同玉、3一飛(次の図)

変化3一歩図34
 2二玉に、3三銀、同桂、2一飛成以下の“詰み”である。
 4一につくった「成桂」がしっかり働いてくれた。

 以上が、<R>3一歩 は「先手勝ち」、という結論の裏付けである。


≪第5譜 指始図(再掲)≫4二銀まで
 <R>3一歩   → 先手勝ち
 <S>3三銀打
 <T>4二同金  → 先手勝ち
 
 よって、こういう結果となる。 後手の選択肢は、あと一つ―――。



≪第5譜 指了図≫3三銀打まで

 <S>3三銀打 と、銀を打って受ける。 これが後手に残された唯一の生きる道。
 ≪亜空間最終一番勝負≫でも、当然、敵の≪主(ぬし)≫の指し手は、これだ。(4二銀の一手も、当然経験済みの後手の≪ぬし≫はもう知っている)


 第6譜につづく
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« 終盤探検隊 part105 ≪亜... | トップ | 終盤探検隊 part107 ≪亜... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

しょうぎ」カテゴリの最新記事