はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

10・6詰将棋の解答

2009年10月16日 | つめしょうぎ
 1七銀 同角成 2八桂


 初手から、1七歩、同角成、同銀、同玉(1七銀、同角成、同歩…もおなじ)がまず目につきますが、以下2八角、1八玉、1五飛、1六歩で、ここから手がありません。

 正解は、「1七銀」。
 「同角成」に、「2八桂」。




 
 2八同馬寄、1七歩 同馬 2八桂


 1七銀から2八桂――おしゃれな手順だと思いませんか?

 「2八桂」の意味は、3八の馬を2八におびき寄せることです。そうすれば、二枚の角が取れるというしくみです。

 6手目1七同玉なら、2八銀、1八玉、1九銀、同玉、7九飛成以下詰みます。





 2八同馬 2六飛 1七玉 2八銀


 「1七同馬」に、もう一度「2八桂」。




 2六玉 6二角


 そして「2八銀」。 角を二枚手にしました。

 2八銀に1八玉なら3六角以下詰み。(この変化は煩雑になるので省略します。ごめんなさい。) なので玉方は飛車をとって2六に逃げます。
 そこで、ねらいの角打ち。





 3五金 7六飛成 5六歩


 この「6二角」のところで、‘4四角’と打つと、‘3五金’と合い駒されて詰みません。(ここはあとで解説します。)

 6二角に対し、ふつうは‘同歩’と取りますね。それは前作同様の秘手がありまして(笑)、“5三角”(変化D図)ともう一枚の角を打って詰みます。これもあとで解説。

 6二角に、「3五飛合」はどうか? これは早詰みとなります。
 6二角、3五飛、同角成、同玉、2六角――となって下の変化A図。



変化A図

 ここからどう応じても、3手以内で詰みとなります。
 この詰将棋の創作上のポイントはここでした。この図が、「飛」ならばすぐに詰む、けれども「金」(または金歩)なら詰まない、という条件が必要だったのです。

 そんなことで、「6二角」には、飛合いはダメで「3五金」が正解になります。
 以下、「7六飛成、5六歩」。




 5六同飛 同香 2七歩 1六玉 2五角 同金 1七角成 まで23手詰め


 3五金合いには、飛車を成って…

 以下は合い駒の歩(5六歩)をとって詰み。(歩以外の駒で合いをすると早詰みになる。)
 最後は1七に角を成って仕上げです。 もし4四から角を打つと、このとき最終手が指せない(角が成れない)わけです。

 2五角のところ、3四角でも正解になります。ここがちょっとしたキズですが、このくらいはまあご愛嬌。




  詰め上がり図





 さて、13手目「6二角」(または‘4四角’として)相手が「金合い」をしたときに、7六飛成、5六歩、同竜、同香、そこで、3五角(成)と金を取る手があります。これを検討してみましょう。
 以下、2六角(これをとると詰むので)3四玉に4四金と打って下の変化B図。


変化B図

 これが打ち歩詰めで詰まず。(もしこれが詰んでいたら‘余詰め’になりこの詰将棋が不成立となってしまう。)

 しかしさらにここから、(ビックリ!)3五角という手もある。
 以下、同玉、4五金、2四玉、2三銀成、2五玉、2六歩、1六玉… (変化C図)




変化C図

 ぎりぎり詰まず~。
 (あぶないところだった。持駒の桂が歩だったら…)





 最後に、13手目「6二角」に、14手目‘同歩’と応じる変化を。
 下の図は、その次に“5三角”と打ったところ。


変化D図

 これをどっちでとっても飛車(竜)が大活躍をして詰む。

 5三同香なら、2一飛成、3五玉、2五竜、4四玉、4五竜、3三玉、2三銀成(変化E図)。
 5三同銀には、7六飛成から。 以下3五玉、3六竜、4四玉、4五竜、3三玉、2三銀成まで。これも下の図とよく似た図になる。どちらの変化も23手駒余り。



変化E図


 この詰将棋は、6二と1七を結ぶ直線上に「角」を打つ手が、変化の中にもたくさん現われます。それで「角行専用ライン」と題してみました。




◇新人王戦
  広瀬章人 2-1 中村太地
  広瀬章人、新人王に!!

  戦型はなんと広瀬五段の「ひねり飛車」でした!
 広瀬さんは、順位戦も好調で4連勝、その次も勝利目前で5連勝――のところだったのが、時間を使って詰みを読みきったはずのところを、うっかり詰みを逃して負け。銀を打てば詰みだったのに金を使ってしまった! わたしらにはよくあるけど、プロにはめずらしい詰みの逃し方です。時間もあったのに。
 昨年広瀬さんは最終局で宮田敦史五段に敗れて惜しくも昇級をのがしているし、今期はどうなるのか。
 大舞台で指したことのない戦法で勝ったり、予測不能の男、広瀬章人。 目が離せませんね。



◇竜王戦
  渡辺明 1-0 森内俊之
  竜王戦、開幕。 

 第1局は竜王の勝ち。 森内の攻め、渡辺の受け、という展開でした。 森内さんの感想には、「終始押されぎみでした」とありました。
 渡辺竜王の堂々とした指し方にカンロクを感じますね。まだ25歳ですけど、永世竜王ですからね。
 76手目△5五銀が良かった。 僕はあの手を見て、木村一基がタイトル戦初勝利を挙げた将棋(今年の棋聖戦)の「△5五銀」を思いました。



◇女流王位戦
  石橋幸緒 1-1 清水市代

 なんだか面白い事が起こったようですね。
 終盤で石橋さんが、自分の「歩」を飛び越して、角を成ってしまったんですね! 
 もちろんルール違反で反則負け。 あまり例を見ない型の‘うっかり’でしたねえ。 
 量子力学の世界では「トンネル効果」というのがあって、物質が越えられないはずの壁を越えてしまうことが(少ない確率で)あるようですが、将棋はダメですね、それは。


◇順位戦

 谷川浩司が4連勝でA級単独トップ!! そして高橋道雄が「強い!」と思わせる内容で3勝1敗。
 B2では島朗も好調だし、中村修が4連勝でトップ。
 さらにC1では塚田泰明が4勝1敗。 
 最近まで静かだった40代後半の男達の「逆襲」が始まっているのではないか。ここに挙げた彼らはすべて20代でタイトルを獲ったことのある男たちなのであ~る。

 んん? 中村修九段、そうか、今日は負けたか。 負かした相手は…南芳一! これまた同じ世代の元タイトルホルダーじゃないか!