しあわせ☆はんぶんこ

妹のドナー(腎移植)になりました。
その体験を綴っていきます。

ドナーの会・勉強会に出席して Ⅰ

2012-07-20 15:16:41 | 手術後

ずいぶんと日が経ってしまいましたが、6月末にドナーの会(勉強会)がありました。
去年に続いて単独(移植者の会と同時でなく)での2回目の開催です。

まず、ドナーの会の会長と移植の会の会長のあいさつで始まりました。
去年も書いたようにお二人とも高齢でいらっしゃいますが、お元気で
しかも精力的に活動されていて、頭が下がります。

勉強会は泌尿器科の先生による「ドナーの予後管理と定期検診
について」
と栄養士の先生による「ドナーのための栄養指導」
の講演がありました。
他にお二人の「ドナー体験談」と大学病院内の「移植支援室開設に
ついて」の説明などがありました。

ここでは講演内容について書きたいと思います。
泌尿器科の先生ということで、私的には?でしたが、この病院では
泌尿器科と腎臓外科と両方で移植を行っているので、今回は泌尿器科の先生の講演のようでした。
が、本来は腎臓内科が専門であり、腎臓移植の勉強のために現在は泌尿器科勤務となっていると自己紹介されました。
ちょっと安心。(自分的には泌尿器科はまったく関係ないのでね)

えーっと、今回は講演内容をまとめた資料がなかったので、記憶とメモが頼りなのですが、日にちが経ちすぎたしメモも不完全なので、とりあえず私の理解した範囲で書きますので、ご了解下さいね。

青字は講演の内容(要約してます)です。

「ドナーの予後管理と定期検診について」

腎臓移植は年々増加の傾向にありますが、その約8割が生体による
もので、残念ながら献腎による移植はほとんど増えていません。
これだけ、生体腎移植が行われるようになると、当然ドナーの数も
増えてくるわけです。
2004年のアムステルダムフォーラム(生体ドナーの健康を守る国際
会議)で、提供後もドナーをCKD(慢性腎臓病)として長期的に管理
していくというガイドラインが明示されています。
しかし、まちまちの対応というケースが多いのが実情。
当大学病院では、今年度(4/1)から生体ドナーをUSBチップ
(データ)で主治医が管理していくという予定。(実施はまだ)


病院によっても対応が違うようですが、私も1年を過ぎたころ、来ても
来なくてもいいような雰囲気がありました。
私は定期的に検診を受けたかったので、1年毎に受けるつもりでした。
私は通える範囲ですが、遠くから来て手術を受けた方も多いし、通うの
は大変であることは確か。
来ても来なくてもいいとなれば、特に問題がなければ来なくなるのも
しょうがないかもしれませんね。

でもそういえば、今年の4月の検診の時(術後2年半)はそんな雰囲気はなくなり「次回は〇月〇日」とはっきり言われました。
先生の言われるように、予後管理していく方針がはっきりしてくれると、ドナー側も自分で判断しなくてもよくなるので、精神的には楽ですね。
遠くて通うのが大変な場合でも、近くの病院でのドナー検診がちゃんと行われるようになるといいと思います。

次はアメリカの長期的資料(1963~2007年)によるドナーの
予後についてやその他の統計など、スライドを使って説明されました。

対象 3698人
死亡  268人 
 死因…不明162人、残り106人のうち30%が心血管系
    一般人の割合と変わらず
12年後のQOR  一般に比べドナーの方が良好
             術前検査に合格=良好であるので
提供後末期腎不全リスク  126/56458人…0.22%
                 一般人の割合と変わらず

まとめ 
提供したからと言って、大きなリスクはない。ただし、油断は禁物。
特別なことはなく腎臓に負担をかけない生活を心がける。


この後は、腎臓に負担をかけない生活について具体的に説明がありました。

気を付けること

1.高血圧  
 ・高血圧が続くと腎臓の細動脈の硬化進行→腎硬化症→腎不全
 ・130/80以下にコントロールする
  (蛋白尿がある場合は125/75以下に)
 ・高血圧にならないためには
  ①塩分の摂りすぎ
  ②カロリーの摂りすぎ
  ③アルコールの摂りすぎ
  ④ストレス過剰
  ⑤運動不足
 を見直す。

2.蛋白尿
 ・蛋白尿は腎臓病の重症度を反映する
 ・蛋白尿自体が障害になる

3.脱水 
 ・脱水は腎臓への血液流量を低下させ、組織障害を起こす
 ・水分は1日2リットルを目安に摂るように

4、薬剤
 ・解熱鎮痛剤(ボルタレン、ロキソニンなど)
  造影剤(排出されないことがある)には注意が必要。
 ・必要な場合は使用しても可、ただし十分に水分をとること。
 
5.貧血
 ・酸素不足となる

6.加齢
 ・GFR(糸球体濾過量)…60以上が標準
 ・年に1%ずつ加齢により低下していく

腎機能は一旦悪くなると元に戻りにくいので、悪化させないこと。
特別なことはなく、一般の生活習慣病を予防する生活を心がけること。

生活習慣病を予防する生活

1.食事
  塩分を6~10g以下に(日本人の平均摂取量は13g)

2.体重
  太ると腎臓に負担がかかる→提供前より5㎏以上は太らない

3.身体活動
  軽く息がはずむくらいの運動を一日30分する→10分×3回でも可

4.アルコール
  飲みすぎない

5.タバコ
  禁煙することが望ましい


定期的な検診について
 
術後の経過によって、
 ①3~4週間後
 ②3か月後
 ③6か月後
 ④1年後~1年毎

内容は
 ①採血…クレアチニンなど
 ②検尿…蛋白尿、アルブミンなど
 ③腎エコー…

日常的に個人で行うことは
 ①血圧測定…起床後、就寝前
 ②食事…塩分、カロリーのコントロール
 ③体重…定期的に量る
 ⑤禁煙…必ず 


以上が大体の講演内容でした。
メモをまとめた形になりましたが、参考になりましたでしょうか。
次は質疑応答です。

 術後、疲れやすくなったのですが。 
  手術前は山登りなどをしていましたが、術後はちょっと歩いても
  疲れるので、こんな調子ではとてもリュックをしょって山登りは
  出来ないと思えます。
  定期検診の時に担当医に聞いても、関係ないと言われ「加齢の
  せいでしょうか?」と聞いたら、ニヤリとされたんですけど…。
  (2年2か月後の60代女性ドナー)

 移植手術とは直接の因果関係はないと思います。
  ただ、術後はお腹に傷もあるし、安静にしていた時期があると思う
  ので、その間に筋力や体力が落ちたということが考えられます。
  ですから、いきなり以前と同じようにではなく、少しずつウォーキング
  などから始めたらどうでしょうか。


  ドナーは年に一度の検診で良いか。ガンのリスクは?
   (夫婦間移植のレシピエントの男性)

  ドナー検診についてというなら、ガン対応ではなく腎機能について
   ですが年に一度で良いです。
   ガンについては一般の人と同じように受けるので良いと思います。
    

  腰が痛くて整形外科にかかったが、骨粗鬆症の薬を飲んだ方が
   良いでしょうか?
   結局、整形外科ではまだ骨粗鬆症の薬を飲むところまで行って
   いないと言われたのですが。
   (2年半後の60代女性ドナー)

  整形外科でまだ大丈夫というなら特に飲む必要はないです。
   ただ薬を服用することになった場合、腎臓で排出される薬は減量
   が必要で、通常の量の80%にするようにしてください。 


  先ほどの説明ではアメリカのデータが多かったのですが、日本人
   のデータはないのでしょうか?
   (男性ドナー)

  その質問は痛いところで、日本の移植は外科が主流で内科医が
   関与してこなかったためにデータが少ないんです。
   腎臓内科医が少ないことも原因の一つですが、今後は増えていく
   (日本人のデータ)と思います。


  術後、便の出が悪くなった。腸の癒着があるのでは?
   (女性ドナー)

  この病院の手術では腸を触らないので腸の癒着はしません。
  腎臓を摘出した後、腸が下がって癒着しているのでは?
  腸が下がったとしても癒着はしません。

  血尿が出て、IgA沈着症と診断されました。IgA腎症とは
   どう違うのですか。
   (男性ドナー)

  IgAが付いたけれど、腎症は起こしていないということです。
   IgA腎症の治療にはリスクがあるので、必ずしも治療はしません
   が、腎症にならないように注意は必要です。


他に、術後1年くらいの男性ドナーから「生ものはいつごろから食べて
いいのでしょうか?」という質問がありまして、先生が「レシピエント
ですか?」と聞くと「いいえ、ドナーの方です」と。
これには会場から小さく笑い声が起こってしまいました。
先生が「ドナーは何の規制もありませんよ」と。
どこかで勘違いされていたのでしょうね、1年も生ものを食べてなかった
みたいで、なんだか気の毒でした。
私なんてすぐお寿司食べちゃいましたよ。入院中(たった5日ですけど)生もの食べられませんでしたからね。

次に栄養士の先生から栄養指導の講演がありましたが、長くなりましたので次にします。
ダラダラと書きましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しでも参考になればと思います。



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長期戦

2012-07-04 23:08:51 | その他
今日は、大学病院の呼吸器内科の2回目の受診でした。
2週間前に飲み始めた薬の影響の血液検査と、前回保留にした
薬の件です。

血液検査の結果は腎臓・肝臓への影響はなしでした。
前回提出した喀痰の検査では菌は検出されませんでした。
ただ、保留した薬については問題ありでした。

先週、問い合わせの手紙を持ってかかりつけの眼科に行きました。
「どのくらいの期間使うのですか?」と聞かれたので、
「1年以上になるらしいです」と答えると、
「う~ん…」と首をひねって
「私としては、できれば使わない方が良いと思います」と。

この薬は視神経に影響を受け、視野狭窄が進む可能性が高い
らしい。
しかも中心の視野に影響が出るとのこと。
もしどうしても使うことになったら「視野検査」を2週間ごと
に行わないといけないと。
現在、視野検査は年に1回です。
この話からも、影響は非常に深刻なことが分かります。

両目とも主に右上方に視野狭窄がありますが日常生活には支障のない範囲です。
これが薬によって狭窄が進むのであれば、特に中心部分に影響が出るのはちょっと怖いです。
実質、目が見えなくなるということなので深刻です。
私自身は、絶対に使いたくありません。
(私の場合緑内障なので、病気のない場合はまた違うかも
しれません)

2週間前から飲み始めた薬については、副作用はなく、何より
症状(咳・痰)が軽減したことを伝えました。
三剤使わないと効果的ではないのかと、内心ドキドキしましたが、
「ああ、効果出てるんですね、じゃあ、この二剤で行きましょうか」
「ただし、この菌はなかなか無くすることが難しいので、長く飲んで
もらうことになりますよ」
どのくらいか尋ねると、
「2年以上ですね」と。

初診の時は「1年以上」と聞きましたが、今回ははっきりと
「2年以上」。
多少覚悟はしていましたが、やっぱりという感じです。

次回は2か月後です。
血液検査とレントゲン検査で、経過を診るそうです。

血圧とコレステロールの薬を2年前から常用するようになり
ましたが、それは一度に貰う量は大体4~5週間分。
今回2か月分なので、薬の量の多さに少し驚きました。

ともかく、治療方針がはっきりしたので、気持ち的にはスッキリ
しました。

ドナーの体験談としては腎臓に関係のない話しでしたが、
次回は先週行われたドナーの会主催の勉強会について書きたいと
思います。
なかなかまとめるのが難しいので(能力不足で…)少し先になると
思いますが、期待しないで待ってて下さるとありがたいです。



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非結核性抗酸菌症、治療へ

2012-07-02 10:19:49 | その他
4月のドナー検診(2年半)の時に、先生に「非結核性抗酸菌症」に
感染したことを相談しました。
すると、基本、ドナーは腎臓に問題がないからドナーになれたわけ
だから、腎臓的には服薬は大丈夫とのこと。
早く治療を始めたほうが良いという意見でした。

受診した呼吸器内科の医師が腎移植のドナーであること、緑内障で
あることで治療に消極的なことを話すと、
「じゃあ、ここの呼吸器内科で診てもらう?」と。
受診している医師をイマイチ信頼しきれない思いがあるし、妹も心配
している。 
ああ、良かったーと、安堵の思いで
「はい、紹介してもらえますか?」
とお願いしました。
「じゃあ、今行っている病院に情報提供してもらうように手紙を書き
ますから、担当医に渡してください」
と、その場で手紙を書いて、呼吸器内科の予約もしてくれました。
今の病院の情報を入手し次第、いつ来ても受診できるとのこと。

近所の病院の呼吸器内科の予約が5月末でしたので、ドナー検診
から約1か月半後に受診しました。
この日レントゲンを撮ったのですが、1月に撮ったものと比較して、
影は薄くなっているから悪化はしていないとのこと。
対応は前回通り経過観察です。
しかし私の症状(軽い咳と痰)は良くも悪くもならず、依然気になる
状態。
このまま経過観察でいいのかという一抹の不安はぬぐえません。

で、移植手術をした病院のドナー検診の時に話したら、同病院で
診るということになったと話し、医療情報提供依頼の手紙を渡し
ました。
読むと「では、もうこちらへは来ないということですね?」と一言。
気分を害したのかどうかは、もともと無表情なのでわからないし、
そうだとしてもしょうがない。
1週間か10日位で用意しておくので取りに来るように言われて、
この病院での診察は終了。

10日ほどあとに取りに行くと、手紙と情報の入ったCDを渡されました。
大学病院へは、今後長期にわたって通うことになるだろうと、ドナー
検診と同じ曜日を選んで行くことにしました。(一日に両方受診できればと)
しかしその日は季節外れの台風が来ていて、次週に持ち越しかなー
と思っていましたが、予報より速いスピードで通り過ぎて行ったので、
台風一過の晴天の中、大学病院の呼吸器内科を受診しました。

前病院の情報処理などもあって受付にやや時間がかかったものの、
呼吸器内科に行くと、あら、割と空いています。
ドナー検診で行く腎センター(私は腎臓外科)はいつ行っても
混んでいますから、それに比べたら「がら空き」と言ってもいいくらい。
でも、担当の先生は1時間前の予約の人を診ているということが
表示されています。
まだ余裕ありそうなので、病院内のコンビニに水分を調達しに。
コンビニはお昼近くなので大混雑。

戻ると、あらら、私の時間帯の受診になっていて、番号は私より後の
番号の人が表示されています。
ちょっとあわてましたが、私は情報処理で待たされたので、通常の
受付の人より番号は先でも科の受付は後になったのでしょう。
空いてるように見えてもそこそこ待つのだろうと覚悟して
いたのですが、30分も待たずに呼ばれました。
ドナー検診は2時間、3時間は当たり前ですから、驚きの速さです。

診察室に入ると小柄な女医さんでした。
パソコン上には肺のCТ画像が2枚ならんでいました。
ひとつは移植前検査で撮った約3年前のもの。
そしてもうひとつは、近所の病院で1月に撮ったものです。

「診断は(前病院の)「非結核酸菌症」で間違いないです」
といい、
「こちらにある3年前の検査でも感染していたようですから、
それと比較すると少し進んでいるみたいですね」と。

3年前の術前検査でCТ撮ったことは、そういえばそうだったと思うの
ですが、比較するということはまったく考えていなかったし、その時
すでに感染していたというのには驚きました。
当時無症状だったし、移植手術に影響はなかったようですが。

素人の私にはあまり良くはわからないのですが、肺は正常なら大体
真っ黒のよう。
私の3年前のものを見るとかすかに白い点々があるよう。(言われて
みれば…)
それと比較すると今年のものは、その白い部分が明らかに増えて
おり、数か所大きくなっています。

「一番大きなのはこの右胸のです」
と指摘されましたが、それが去年11月の健康診断のレントゲンにも
写っていたので精密検査となったのです。
「他に左のこことか、ここ」といくつか指摘され、
ああ右だけではないのかと、がっかりするような、納得するような。

で、先生の見解としては
「3年の間に少し進行しているようですね。
症状も出ているし治療を始められる時だと思います。
治療は3種類の抗生剤を合わせて使うのが今は主流です。
ただし薬の効きが非常に悪いので完治は難しいです」と。

再度CТ画像をみながら
「まだこの程度ですけど、空洞ができてからだと治療は一層難しく
なりますから、そこまで進まないうちに始められるのが良いと思い
ます。
薬の効きは個人差があるのですが、最低でも1年くらいは飲んで
もらうことになります」
と明瞭です。

しかし、その中の一つは、腎臓と視神経に影響があるのだそう。
10年ほどまえから緑内障の治療中という話をすると、その薬は
眼科医の承諾がないと使えないとのことで、早速、かかりつけの
眼科医あてに問い合わせの手紙を書いてくれました。
腎臓への影響については、腎臓外科の主治医に聞いておくとの
ことです。
ケースバイケースで、人によって1種類、2種類の人もいる
らしいので、私はまず前述の薬を除いた2種類の薬で始める
ことになりました。
これです↓


やはりこの病院に変えて良かったと思います。
前のデータがあったこともそうですが、対応が全然違います。
病気の研究をしている大学病院と公立病院の差なんでしょうか。
前病院の無口で無表情、消極的な対応とは対照的によく説明して
くれるし、こちらの話も良く聞いてくれます。
薬に対する知識というか姿勢もはっきりしていてわかりやすく
安心できました。

その後、薬を服用する前の状態把握のために採血してから帰り
ました。
次回は2週間後で、診察前に採血して肝臓等への影響があるか
どうかなど判断するようです。

記事を書くのが遅くなったので、もうすでに服薬を開始してから
12日目ですが、明らかに咳と痰が減少しています。
菌を完全になくしてしまうのは難しいのかもしれませんが、威力は
抑えてくれているのではと素人判断ですが感じています。
初めなので薬の影響、副作用などをみるために2週間分だった
ので、もう今週また受診です。
その結果についてはまた、なるべく早く書きたいと思います。


病気の概要を知りたい方は下のサイトを参考にしてください。
非結核性抗酸菌症
慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト




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