法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

募集株式発行に対する発行差止めの仮処分の申立について

2006-07-21 16:18:22 | Weblog
日本航空HP 少数株主による募集株式発行の差止の仮処分申立てのお知らせ

asahi.com 日航の公募増資調達額,目標割る 総会後発表で不信

 公募増資計画の発表のタイミングなどをめぐり,批判の多かった日航。
一昨日,保有株式1000株(1単元)の少数株主が,日航を相手取って,7億株の当該募集株式の発行につき,発行差止めの仮処分を東京地裁に申立てたようだ。

株主は完全に出し抜かれたようなかたち。怒るのは無理もない。


会社法の関連条文

(募集事項の決定)
第百九十九条 株式会社は,その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは,その都度,募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては,募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは,その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五 株式を発行するときは,増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は,株主総会の決議によらなければならない。
3 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には,取締役は,前項の株主総会において,当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4 種類株式発行会社において,第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは,当該種類の株式に関する募集事項の決定は,当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き,当該種類株主総会の決議がなければ,その効力を生じない。ただし,当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は,この限りでない。
5 募集事項は,第一項の募集ごとに,均等に定めなければならない。

第二百十条 次に掲げる場合において,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,株式会社に対し,第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合

会社法施行規則の関連条文

(公開会社の特則)
第百十九条  株式会社が当該事業年度の末日において公開会社である場合には,前条各号に掲げる事項のほか,次に掲げる事項を事業報告の内容としなければならない。
一  株式会社の現況に関する事項
二  株式会社の会社役員(直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していたものであって,当該事業年度の末日までに退任したものを含む。以下この款において同じ。)に関する事項
三  株式会社の株式に関する事項
四  株式会社の新株予約権等に関する事項

(株式会社の現況に関する事項)
第百二十条  前条第一号に規定する「株式会社の現況に関する事項」とは,次に掲げる事項(当該株式会社の事業が二以上の部門に分かれている場合にあっては,部門別に区別することが困難である場合を除き,その部門別に区別された事項)とする。
一  当該事業年度の末日における主要な事業内容
二  当該事業年度の末日における主要な営業所及び工場並びに使用人の状況
三  当該事業年度の末日において主要な借入先があるときは,その借入先及び借入額
四  当該事業年度における事業の経過及びその成果
五  当該事業年度における次に掲げる事項についての状況(重要なものに限る。)
イ 資金調達
ロ 設備投資
ハ 事業の譲渡,吸収分割又は新設分割
ニ 他の会社(外国会社を含む。)の事業の譲受け
ホ 他の会社(外国会社を含む。)の株式その他の持分又は新株予約権等の取得
ヘ 吸収合併(会社以外の者との合併(当該合併後当該株式会社が存続するものに限る。)を含む。)又は吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継
六  直前三事業年度(当該事業年度の末日において三事業年度が終了していない株式会社にあっては,成立後の各事業年度)の財産及び損益の状況
七  重要な親会社及び子会社の状況
八  対処すべき課題
九  前各号に掲げるもののほか,当該株式会社の現況に関する重要な事項
2  株式会社が当該事業年度に係る連結計算書類を作成している場合には,前項各号に掲げる事項については,当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の現況に関する事項とすることができる。この場合において,当該事項に相当する事項が連結計算書類の内容となっているときは,当該事項を事業報告の内容としないことができる。
3  第一項第六号に掲げる事項については,当該事業年度における過年度事項(当該事業年度より前の事業年度に係る貸借対照表,損益計算書又は株主資本等変動計算書に表示すべき事項をいう。)が会計方針の変更その他の正当な理由により当該事業年度より前の事業年度に係る定時株主総会において承認又は報告をしたものと異なっているときは,修正後の過年度事項を反映した事項とすることを妨げない。

(株式会社の株式に関する事項)
第百二十二条  第百十九条第三号に規定する「株式会社の株式に関する事項」とは,次に掲げる事項とする。
一  当該事業年度の末日において発行済株式(自己株式を除く。)の総数の十分の一以上の数の株式を有する株主の氏名又は名称及び当該株主の有する当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)
二  前号に掲げるもののほか,株式会社の株式に関する重要な事項

民事保全法の関連条文

(仮処分命令の必要性等)
第二十三条  係争物に関する仮処分命令は,その現状の変更により,債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき,又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2  仮の地位を定める仮処分命令は,争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3  第二十条第二項の規定は,仮処分命令について準用する。
4  第二項の仮処分命令は,口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ,これを発することができない。ただし,その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは,この限りでない。

(仮処分の方法)
第二十四条  裁判所は,仮処分命令の申立ての目的を達するため,債務者に対し一定の行為を命じ,若しくは禁止し,若しくは給付を命じ,又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。

(仮処分解放金)
第二十五条  裁判所は,保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り,債権者の意見を聴いて,仮処分の執行の停止を得るため,又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
2  第二十二条第二項の規定は,前項の金銭の供託について準用する。

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外国政府に対する民事裁判権の免除に係る判例変更について

2006-07-21 14:33:59 | Weblog
商取引巡る訴訟,外国政府相手も可能・78年ぶり判例変更 NIKKEI NET

 「国家主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り,民事裁判から免除されない」とのこと。
記事にある大審院判例(S3.12.28)とは,中華民国代理公使振出しの約束手形に基づく手形請求事件につき,中華民国に主権免除を認めた事案であった。

 日本の民事裁判権が外国に対し例外的に及ぶ場合については,これまで,条約に特別な規定があるような場合のほか,外国が自発的に日本の裁判権に服する意思を明示して応訴するような場合があげられるのが通例であった。
これとの関係では,外国に応訴意思があるかを照会する手続を定めた通達があったが,これは先般廃止された。穿った見方をすれば,外国といえど,絶対免除から制限免除,という流れはあったわけだ。

確かに,純然たる商取引に係る訴訟であるにもかかわらず,主権を有する外国政府であるとの一事をもって,我が国の民事裁判権が一切及ばないというのは理不尽極まりない話し。外国政府相手の取引は,ある意味,一番危ない,といったことにもなりかねない。


民事訴訟法の関連条文

(趣旨)
第一条  民事訴訟に関する手続については,他の法令に定めるもののほか,この法律の定めるところによる。

(裁判所及び当事者の責務)
第二条  裁判所は,民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め,当事者は,信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。

(最高裁判所規則)
第三条  この法律に定めるもののほか,民事訴訟に関する手続に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。

(普通裁判籍による管轄)
第四条  訴えは,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2  人の普通裁判籍は,住所により,日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により,日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。
3  大使,公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人が前項の規定により普通裁判籍を有しないときは,その者の普通裁判籍は,最高裁判所規則で定める地にあるものとする。
4  法人その他の社団又は財団の普通裁判籍は,その主たる事務所又は営業所により,事務所又は営業所がないときは代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
5  外国の社団又は財団の普通裁判籍は,前項の規定にかかわらず,日本における主たる事務所又は営業所により,日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
6  国の普通裁判籍は,訴訟について国を代表する官庁の所在地により定まる。

(財産権上の訴え等についての管轄)
第五条  次の各号に掲げる訴えは,それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
一  財産権上の訴え
     義務履行地
二  手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え
     手形又は小切手の支払地
三  船員に対する財産権上の訴え
     船舶の船籍の所在地
四  日本国内に住所(法人にあっては,事務所又は営業所。以下この号において同じ。)がない者又は住所が知れない者に対する財産権上の訴え
     請求若しくはその担保の目的又は差し押さえることができる被告の財産の所在地
五  事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
六  船舶所有者その他船舶を利用する者に対する船舶又は航海に関する訴え
     船舶の船籍の所在地
七  船舶債権その他船舶を担保とする債権に基づく訴え
     船舶の所在地
八  会社その他の社団又は財団に関する訴えで次に掲げるもの
     社団又は財団の普通裁判籍の所在地
イ 会社その他の社団からの社員若しくは社員であった者に対する訴え,社員からの社員若しくは社員であった者に対する訴え又は社員であった者からの社員に対する訴えで,社員としての資格に基づくもの
ロ 社団又は財団からの役員又は役員であった者に対する訴えで役員としての資格に基づくもの
ハ 会社からの発起人若しくは発起人であった者又は検査役若しくは検査役であった者に対する訴えで発起人又は検査役としての資格に基づくもの
ニ 会社その他の社団の債権者からの社員又は社員であった者に対する訴えで社員としての資格に基づくもの
九  不法行為に関する訴え
     不法行為があった地
十  船舶の衝突その他海上の事故に基づく損害賠償の訴え
     損害を受けた船舶が最初に到達した地
十一  海難救助に関する訴え
     海難救助があった地又は救助された船舶が最初に到達した地
十二  不動産に関する訴え
     不動産の所在地
十三  登記又は登録に関する訴え
     登記又は登録をすべき地
十四  相続権若しくは遺留分に関する訴え又は遺贈その他死亡によって効力を生ずべき行為に関する訴え
     相続開始の時における被相続人の普通裁判籍の所在地
十五  相続債権その他相続財産の負担に関する訴えで前号に掲げる訴えに該当しないもの(相続財産の全部又は一部が同号に定める地を管轄する裁判所の管轄区域内にあるときに限る。)
     同号に定める地

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幽霊会員の強制脱退に係る信用金庫法の改正の検討について

2006-07-21 11:30:18 | Weblog
信金の「幽霊会員」,強制脱退可能に・金融庁検討 NIKKEI NET

 会社法には,既に,株主管理コストの軽減のための制度として,所在不明株主の株式売却制度がある(会社法第197条)。売却代金は当該株式の株主に交付することになる。
もっとも,相手の所在は不明。受領を催告して保管というのも,これはこれで新たな負担である(民法第493条)。
過失なく債権者を確知できないケースと考えれば,供託も可能のように思われる(同第494条)。


信用金庫法の関連条文

(会員たる資格)
第十条  信用金庫の会員たる資格を有する者は,次に掲げる者で定款で定めるものとする。ただし,第一号又は第二号に掲げる者に該当する個人にあつてはその常時使用する従業員の数が三百人を超える事業者を除くものとし,第一号又は第二号に掲げる者に該当する法人にあつてはその常時使用する従業員の数が三百人を超え,かつ,その資本金の額又は出資の総額が政令で定める金額を超える事業者を除くものとする。
一  その信用金庫の地区内に住所又は居所を有する者
二  その信用金庫の地区内に事業所を有する者
三  その信用金庫の地区内において勤労に従事する者
四  前三号に掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者
2  信用金庫連合会の会員たる資格を有する者は,その連合会の地区の一部を地区とする信用金庫であつて,定款で定めるものとする。

(加入)
第十三条  金庫に加入しようとする者は,定款の定めるところにより加入につき金庫の承諾を得て引受出資口数に応ずる金額の払込を了した時又は会員の持分の全部若しくは一部を承継した時に会員となる。

第十四条  死亡した会員の相続人で会員たる資格を有するものが,金庫に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは,前条の規定にかかわらず,相続開始の時に会員になつたものとみなす。この場合においては,相続人たる会員は,被相続人の持分について,その権利義務を承継する。
2  死亡した会員の相続人が数人あるときは,相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り,前項の規定を適用する。

(法定脱退)
第十七条  会員は,次の事由によつて脱退する。
一  会員たる資格の喪失
二  死亡又は解散
三  破産手続開始の決定
四  除名
五  持分の全部の喪失
2  会員は,その出資額が金庫の出資一口の金額の減少その他やむを得ない理由により第十一条第一項に定める出資の最低限度額に満たないこととなり,かつ,その満たないこととなつた日から一年以内に当該最低限度額に達しない場合には,その期間を経過した日に脱退する。
3  除名は,定款の定める事由に該当する会員につき,総会の決議によつてすることができる。この場合においては,金庫は,その総会の会日の十日前までに,その会員に対しその旨を通知し,かつ,総会において弁明する機会を与えなければならない。
4  除名は,除名した会員にその旨を通知しなければ,これをもつてその会員に対抗することができない。

(脱退者の持分の払戻)
第十八条  会員は,前条第一項第一号から第四号まで又は第二項の規定により脱退したときは,定款の定めるところにより,その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2  前項の持分は,脱退した事業年度の終における金庫の財産によつて定める。

(剰余金の配当)
第五十七条  金庫の剰余金の配当は,事業年度終了の日における純資産の額(貸借対照表上の資産の額から負債の額を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)から次に掲げる金額を控除して得た額を限度として行うことができる。
一  出資の総額
二  前条第一項の準備金の額
三  前条第一項の規定によりその事業年度に積み立てなければならない準備金の額
四  その他内閣府令で定める額
2  剰余金の配当は,定款の定めるところにより,会員の金庫の事業の利用分量又は出資額に応じてしなければならない。
3  出資額に応じてする剰余金の配当の率の最高限度は,定款で定めなければならない。

会社法の関連条文

(株主に対する通知の省略)
第百九十六条 株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には,株式会社は,当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
2 前項の場合には,同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は,株式会社の住所地とする。
3 前二項の規定は,登録株式質権者について準用する。

(株主に対する通知の省略)
第百九十六条 株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には,株式会社は,当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
2 前項の場合には,同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は,株式会社の住所地とする。
3 前二項の規定は,登録株式質権者について準用する。

(株式の競売)
第百九十七条 株式会社は,次のいずれにも該当する株式を競売し,かつ,その代金をその株式の株主に交付することができる。
一 その株式の株主に対して前条第一項又は第二百九十四条第二項の規定により通知及び催告をすることを要しないもの
二 その株式の株主が継続して五年間剰余金の配当を受領しなかったもの
2 株式会社は,前項の規定による競売に代えて,市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって,市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により,これを売却することができる。この場合において,当該許可の申立ては,取締役が二人以上あるときは,その全員の同意によってしなければならない。
3 株式会社は,前項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては,次に掲げる事項を定めなければならない。
一 買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)
二 前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
4 取締役会設置会社においては,前項各号に掲げる事項の決定は,取締役会の決議によらなければならない。
5 第一項及び第二項の規定にかかわらず,登録株式質権者がある場合には,当該登録株式質権者が次のいずれにも該当する者であるときに限り,株式会社は,第一項の規定による競売又は第二項の規定による売却をすることができる。
一 第百九十六条第三項において準用する同条第一項の規定により通知又は催告をすることを要しない者
二 継続して五年間第百五十四条第一項の規定により受領することができる剰余金の配当を受領しなかった者

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民事裁判へのビデオリンク等の導入について

2006-07-21 08:45:49 | Weblog
民事裁判にもビデオ尋問導入へ…犯罪被害者に配慮 YOMIURI ONLINE

 記事にある京都府八幡市の損害賠償訴訟については,先日,このブログで触れたところ

記事にもあるとおり,犯罪被害者等基本計画では,今後講じていく施策のひとつとして,「民事訴訟におけるビデオリンク等の措置の導入」があげられており,具体的には「法務省において,民事訴訟においても,遮へい措置,ビデオリンク,付添いを民事訴訟法(平成8年法律第109号)上認めることについて検討を行い,2年以内を目途に結論を出し,その結論に従った施策を実施する。」としていた。

犯罪被害者等基本法第19条の求める「必要な施策」にあたる。

内閣府HP 犯罪被害者等基本計画


犯罪被害者等基本法

 安全で安心して暮らせる社会を実現することは,国民すべての願いであるとともに,国の重要な責務であり,我が国においては,犯罪等を抑止するためのたゆみない努力が重ねられてきた。
しかしながら,近年,様々な犯罪等が跡を絶たず,それらに巻き込まれた犯罪被害者等の多くは,これまでその権利が尊重されてきたとは言い難いばかりか,十分な支援を受けられず,社会において孤立することを余儀なくされてきた。さらに,犯罪等による直接的な被害にとどまらず,その後も副次的な被害に苦しめられることも少なくなかった。
もとより,犯罪等による被害について第一義的責任を負うのは,加害者である。しかしながら,犯罪等を抑止し,安全で安心して暮らせる社会の実現を図る責務を有する我々もまた,犯罪被害者等の声に耳を傾けなければならない。国民の誰もが犯罪被害者等となる可能性が高まっている今こそ,犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ,その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。
ここに,犯罪被害者等のための施策の基本理念を明らかにしてその方向を示し,国,地方公共団体及びその他の関係機関並びに民間の団体等の連携の下,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため,この法律を制定する。

(目的)
第一条 この法律は,犯罪被害者等のための施策に関し,基本理念を定め,並びに国,地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに,犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し,もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「犯罪等」とは,犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
2 この法律において「犯罪被害者等」とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
3 この法律において「犯罪被害者等のための施策」とは,犯罪被害者等が,その受けた被害を回復し,又は軽減し,再び平穏な生活を営むことができるよう支援し,及び犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするための施策をいう。

(基本理念)
第三条 すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。
2 犯罪被害者等のための施策は,被害の状況及び原因,犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。
3 犯罪被害者等のための施策は,犯罪被害者等が,被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間,必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう,講ぜられるものとする。

(国の責務)
第四条 国は,前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり,犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は,基本理念にのっとり,犯罪被害者等の支援等に関し,国との適切な役割分担を踏まえて,その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し,及び実施する責務を有する。

(国民の責務)
第六条 国民は,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに,国及び地方公共団体が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努めなければならない。

(保護,捜査,公判等の過程における配慮等)
第十九条 国及び地方公共団体は,犯罪被害者等の保護,その被害に係る刑事事件の捜査又は公判等の過程において,名誉又は生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ,犯罪被害者等の負担が軽減されるよう,犯罪被害者等の心身の状況,その置かれている環境等に関する理解を深めるための訓練及び啓発,専門的知識又は技能を有する職員の配置,必要な施設の整備等必要な施策を講ずるものとする。

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年内最終営業日に送達された仮差押命令について

2006-07-20 19:19:18 | Weblog
振り込み依頼後の退職金,仮差し押さえ「有効」・最高裁 NIKKEI NET

 仮差押えの効力は,第三債務者に当該仮差押命令が送達された時に生じ(民保法第50条第5項,民執法第145条第4項),第三債務者及び債務者は当該仮差押債権についての処分制限の効力を受ける。
この効力,典型的には,第三債務者に対し不作為を命じるものを想起するが,事案によっては,作為が求められる場合もあろう。債務者の財産保全に資するのであれば,作為も不作為もない。同価値であれば,別異に解する必要はないわけだ。

 本ケース,送達が年内最終営業日で,しかも,業務終了の約1時間前とのこと。このあたりは,確かに,宥恕すべき事情といえる。しかし,仮差押命令が送達された時点で,退職金の振り込みが現に完了しているわけではない。
振り込み依頼の撤回が可能であることを知りつつ,「仮差押命令に係る債権は存在しない」と裁判所に回答したあたりは,少し安易に過ぎたようだ。
本判決の,「送達を受けた時点において,その第三債務者に人的又は時間的な余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がある場合に限り,上記振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することができるにすぎないものと解するのが相当である。」からは,保全制度の維持に係る最高裁の強い調子が伝わってくる。

判例検索システムHP 差押債権取立請求事件


民法の関連条文

(支払の差止めを受けた第三債務者の弁済)
第四百八十一条  支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは,差押債権者は,その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
2  前項の規定は,第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

民事保全法の関連条文

(債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行)
第五十条  民事執行法第百四十三条 に規定する債権に対する仮差押えの執行は,保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行う。
2  前項の仮差押えの執行については,仮差押命令を発した裁判所が,保全執行裁判所として管轄する。
3  第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭の支払を目的とする債権の額に相当する金銭を供託した場合には,債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したものとみなす。ただし,その金銭の額を超える部分については,この限りでない。
4  第一項及び第二項の規定は,その他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。
5  民事執行法第百四十五条第二項 から第五項 まで,第百四十六条から第百五十三条まで,第百五十六条,第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十七条の規定は,第一項の債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。

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NPO法人に係る看板の掛け替えについて

2006-07-20 17:58:43 | Weblog
asahi.com 「NPO法人」の名消える? 「市民活動」に法改正検討

 NPO法人,公益法人とも,「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」点は同じ。
NPO法第2条第1号と「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(以下,認定法という)第2条第4号の別表は,それぞれ以下に示すとおり。同じではないが,記事のいうとおり,相当程度重なる。

NPO法の別表
一 保健,医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 学術,文化,芸術又はスポーツの振興を図る活動
五 環境の保全を図る活動
六 災害救援活動
七 地域安全活動
八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
九 国際協力の活動
十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十一 子どもの健全育成を図る活動
十二 情報化社会の発展を図る活動
十三 科学技術の振興を図る活動
十四 経済活動の活性化を図る活動
十五 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十六 消費者の保護を図る活動
十七 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡,助言又は援助の活動

認定法の別表
一 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
二 文化及び芸術の振興を目的とする事業
三 障害者若しくは生活困窮者又は事故,災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
四 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
五 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
六 公衆衛生の向上を目的とする事業
七 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
八 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
九 教育,スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し,又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
十 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
十一 事故又は災害の防止を目的とする事業
十二 人種,性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
十三 思想及び良心の自由,信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
十七 国土の利用,整備又は保全を目的とする事業
十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業
二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
二十一 国民生活に不可欠な物資,エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
二十三 前各号に掲げるもののほか,公益に関する事業として政令で定めるもの


それでは,中身の見直しかと思いきや,記事には,「検討委はNPOの性格をより明確にするため,法律名に「市民活動」か「社会貢献」を入れる案を示す。」とある。
この辺り,制度の有り様(よう)としては,きちんと棲み分けをおこなうというのが望ましい姿のように思えるのだが・・・。

行政改革HP 公益法人の改革について


特定非営利活動促進法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「特定非営利活動」とは,別表に掲げる活動に該当する活動であって,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
2  この法律において「特定非営利活動法人」とは,特定非営利活動を行うことを主たる目的とし,次の各号のいずれにも該当する団体であって,この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一  次のいずれにも該当する団体であって,営利を目的としないものであること。
イ  社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないこと。
ロ  役員のうち報酬を受ける者の数が,役員総数の三分の一以下であること。
二  その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ  宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ  政治上の主義を推進し,支持し,又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ  特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し,支持し,又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。

「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条 この法律は,内外の社会経済情勢の変化に伴い,民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業の実施が公益の増進のために重要となっていることにかんがみ,当該事業を適正に実施し得る公益法人を認定する制度を設けるとともに,公益法人による当該事業の適正な実施を確保するための措置等を定め,もって公益の増進及び活力ある社会の実現に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
一 公益社団法人 第四条の認定を受けた一般社団法人をいう。
二 公益財団法人 第四条の認定を受けた一般財団法人をいう。
三 公益法人 公益社団法人又は公益財団法人をいう。
四 公益目的事業 学術,技芸,慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって,不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。

(公益認定)
第四条 公益目的事業を行う一般社団法人又は一般財団法人は,行政庁の認定を受けることができる。

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警察幹部による出版物の内容に関する公式見解の表明について

2006-07-20 07:24:23 | Weblog
世田谷一家殺人の本「事実と違う」と警視庁捜査1課長 YOMIURI ONLINE

 記事には,「警視庁捜査1課の光真章課長は19日,「内容がことごとく事実と異なっており,捜査に悪影響を及ぼす」などとするコメントを発表した。」とある。
件の出版物に係る出版社並びに執筆者が警察当局の捜査に対する偽計業務妨害罪(刑法第233条)に問われる可能性はあるだろうか。

 公務が業務に含まれるかについては様々な見解があり複雑な様相を呈しているが,少なくとも判例は,いわゆる権力的公務のうち強制力を行使するものは,そもそも,業務としては扱っていないようだ。この立場からは,偽計業務妨害罪の成立はないということになりそう。
因みに,公務はすべて業務に含まれるという立場では,危険犯か侵害犯かといった問題はあるものの,偽計業務妨害罪の成立はあり得る。ただ,記事には,主観面に関する話しとして,「連名で「著者が取材で知り得た情報をありのままにまとめたもの。捜査を妨げる意図はない」とコメントしている。」とある。これを言葉どおり受け取れば,偽計業務妨害罪の故意はないということになるか。

いずれにしても,表現の自由と絡む部分。判例が動かない限り,偽計業務妨害罪の成立はなさそうだが,「捜査への悪影響」といったコメントにしても,言論に対する影響としては決して小さくはない。警察当局には慎重な対応をお願いしたいもの。


日本国憲法の関連条文

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

刑法の関連条文

(公務執行妨害及び職務強要)
第九十五条  公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,三年以下の懲役又は禁錮に処する。
2  公務員に,ある処分をさせ,若しくはさせないため,又はその職を辞させるために,暴行又は脅迫を加えた者も,前項と同様とする。

(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条  虚偽の風説を流布し,又は偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

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定款による剰余金配当請求権の行使期間の制限について

2006-07-19 21:16:50 | Weblog
 株主の剰余金配当請求権について,通説は,これを民事債権とし,10年の消滅時効にかかるとする。
しかし,株式会社の定款には,剰余金配当請求権の行使期間を3年あるいは5年に制限するような条項が盛り込まれている場合が少なくない。この種の条項を有効とする大審院判例もある(S2.8.3)。
上記の3年,5年という期間は一般に除斥期間と解されている。除斥期間については,通常,「法律関係の速やかな確定を目的に設定された純然たる権利行使期間」(内田)といった説明がされる。
公益性に重点を置いて除斥期間の制度趣旨を考える立場からすれば,私人間のこの種の条項の設定には問題もないわけではない。
この点,件の大審院判例は,概略,次のような理由で上記のような定款規定を有効とする。

 当事者は,権利の本質に反せずまた公序良俗に背かない限り,特約をもって権利の行使期間を制限し,一定の期間内に請求しないときはその権利は初めから成立しなかったものとなると定めたり,期間経過とともに当然に消滅すると定めることができる。
その場合には当該権利は特約によりそのような特質を帯びるようになったものと解することができるのであり,必ずしも時効期間の短縮と解する必要はない。
このことは,利益配当請求権の行使期間を定款をもって制限した場合も同様である。


 一方,学説(龍田ほか)は,理論上の理由として剰余金配当請求権が株式から流出する際に受ける社団的制約,実際上の理由として集団的事務処理上の便宜,等をあげる。


民法の関連条文

(消滅時効の進行等)
第百六十六条  消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する。
2  前項の規定は,始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために,その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし,権利者は,その時効を中断するため,いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は,十年間行使しないときは,消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は,二十年間行使しないときは,消滅する。

商法の関連条文

(商事消滅時効)
第五百二十二条  商行為によって生じた債権は,この法律に別段の定めがある場合を除き,五年間行使しないときは,時効によって消滅する。ただし,他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは,その定めるところによる。

会社法の関連条文

(株主に対する剰余金の配当)
第四百五十三条 株式会社は,その株主(当該株式会社を除く。)に対し,剰余金の配当をすることができる。

(剰余金の配当に関する事項の決定)
第四百五十四条 株式会社は,前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは,その都度,株主総会の決議によって,次に掲げる事項を定めなければならない。
一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
二 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
三 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日
2 前項に規定する場合において,剰余金の配当について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは,株式会社は,当該種類の株式の内容に応じ,同項第二号に掲げる事項として,次に掲げる事項を定めることができる。
一 ある種類の株式の株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは,その旨及び当該株式の種類
二 前号に掲げる事項のほか,配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは,その旨及び当該異なる取扱いの内容
3 第一項第二号に掲げる事項についての定めは,株主(当該株式会社及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては,各種類の株式の数)に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
4 配当財産が金銭以外の財産であるときは,株式会社は,株主総会の決議によって,次に掲げる事項を定めることができる。ただし,第一号の期間の末日は,第一項第三号の日以前の日でなければならない。
一 株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利をいう。以下この章において同じ。)を与えるときは,その旨及び金銭分配請求権を行使することができる期間
二 一定の数未満の数の株式を有する株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは,その旨及びその数
5 取締役会設置会社は,一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。この場合における中間配当についての第一項の規定の適用については,同項中「株主総会」とあるのは,「取締役会」とする。

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くじ引きによる当選決定について

2006-07-18 14:16:06 | Weblog
「当選無効」決定でくじ引き,次点者が“逆転”当選 YOMIURI ONLINE

 件の票は,公選法第68条第1項第2号・第7号・第8号との関係でも,無効票にはあたらないというのを前提にしているのであろう。

公選法第95条第2項には,「当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは,選挙会において,選挙長がくじで定める。」とある。「選挙長がくじで定める。」は,選挙長がくじ引きによる当落を確認し,当選人を定める,という意味のよう。選挙長が自らくじをひいたら,後々いろいろ起きそうだ ^^; 。


公職選挙法の関連条文

(開票の場合の投票の効力の決定)
第六十七条  投票の効力は,開票立会人の意見を聴き,開票管理者が決定しなければならない。その決定に当つては,第六十八条の規定に反しない限りにおいて,その投票した選挙人の意思が明白であれば,その投票を有効とするようにしなければならない。

(無効投票)
第六十八条  衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については,次の各号のいずれかに該当するものは,無効とする。
一  所定の用紙を用いないもの
二  公職の候補者でない者又は第八十六条の八第一項,第八十七条第一項若しくは第二項,第八十七条の二,第八十八条,第二百五十一条の二若しくは第二百五十一条の三の規定により公職の候補者となることができない者の氏名を記載したもの
三  第八十六条第一項若しくは第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体で同条第一項各号のいずれにも該当していなかつたものの当該届出に係る候補者,同条第九項後段の規定による届出に係る候補者又は第八十七条第三項の規定に違反してされた届出に係る候補者の氏名を記載したもの
四  一投票中に二人以上の公職の候補者の氏名を記載したもの
五  被選挙権のない公職の候補者の氏名を記載したもの
六  公職の候補者の氏名のほか,他事を記載したもの。ただし,職業,身分,住所又は敬称の類を記入したものは,この限りでない。
七  公職の候補者の氏名を自書しないもの
八  公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの
2  衆議院(比例代表選出)議員の選挙の投票については,次の各号のいずれかに該当するものは,無効とする。
一  所定の用紙を用いないもの
二  衆議院名簿届出政党等以外の政党その他の政治団体(第八十六条の二第十項の規定による届出をした政党その他の政治団体を含む。)の名称又は略称を記載したもの
三  第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体で同項各号のいずれにも該当していなかつたもの又は第八十七条第五項の規定に違反して第八十六条の二第一項の衆議院名簿を重ねて届け出ている政党その他の政治団体の名称又は略称を記載したもの
四  第八十六条の二第一項の衆議院名簿登載者の全員につき,同条第七項各号に規定する事由が生じており又は同項後段の規定による届出がされている場合の当該衆議院名簿に係る政党その他の政治団体の名称又は略称を記載したもの
五  一投票中に二以上の衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称又は略称を記載したもの
六  衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称及び略称のほか,他事を記載したもの。ただし,本部の所在地,代表者の氏名又は敬称の類を記入したものは,この限りでない。
七  衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称又は略称を自書しないもの
八  衆議院名簿届出政党等のいずれを記載したかを確認し難いもの
3  参議院(比例代表選出)議員の選挙の投票については,次の各号のいずれかに該当するものは,無効とする。
一  所定の用紙を用いないもの
二  公職の候補者たる参議院名簿登載者でない者,第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項後段の規定による届出に係る参議院名簿登載者若しくは第八十六条の八第一項,第八十七条第一項若しくは同条第六項において準用する同条第四項,第八十八条,第二百五十一条の二若しくは第二百五十一条の三の規定により公職の候補者となることができない参議院名簿登載者の氏名を記載したもの又は参議院名簿届出政党等以外の政党その他の政治団体の名称若しくは略称を記載したもの。ただし,代表者の氏名の類を記入したもので第八号ただし書に該当する場合は,この限りでない。
三  第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体で同項各号のいずれにも該当していなかつたもの若しくは同条第二項において準用する第八十六条の二第十項の規定による届出をしたもの又は第八十七条第六項において準用する同条第五項の規定に違反して第八十六条の三第一項の参議院名簿を重ねて届け出ている政党その他の政治団体の同項の規定による届出に係る参議院名簿登載者の氏名又はその届出に係る名称若しくは略称を記載したもの
四  参議院名簿登載者の全員につき,第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項各号に規定する事由が生じており又は第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項後段の規定による届出がされている場合の当該参議院名簿に係る政党その他の政治団体の名称又は略称を記載したもの
五  一投票中に二人以上の参議院名簿登載者の氏名又は二以上の参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称若しくは略称を記載したもの
六  一投票中に一人の参議院名簿登載者の氏名及び当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等以外の参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称又は略称を記載したもの
七  被選挙権のない参議院名簿登載者の氏名を記載したもの
八  公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名又は参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称及び略称のほか,他事を記載したもの。ただし,公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名の記載のある投票については当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等の同項の規定による届出に係る名称若しくは略称又は職業,身分,住所若しくは敬称の類を,参議院名簿登載者の氏名の記載のない投票で参議院名簿届出政党等の同項の規定による届出に係る名称又は略称を記載したものについては本部の所在地,代表者の氏名又は敬称の類を記入したものは,この限りでない。
九  公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名又は参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称若しくは略称を自書しないもの
十  公職の候補者たる参議院名簿登載者の何人又は参議院名簿届出政党等のいずれを記載したかを確認し難いもの

(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における当選人)
第九十五条  衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては,有効投票の最多数を得た者をもつて当選人とする。ただし,次の各号の区分による得票がなければならない。
一  衆議院(小選挙区選出)議員の選挙
             有効投票の総数の六分の一以上の得票
二  参議院(選挙区選出)議員の選挙
             通常選挙における当該選挙区内の議員の定数をもつて有効投票の総数を除して得た数の六分の一以上の得票。ただし,選挙すべき議員の数が通常選挙における当該選挙区内の議員の定数を超える場合においては,その選挙すべき議員の数をもつて有効投票の総数を除して得た数の六分の一以上の得票
三  地方公共団体の議会の議員の選挙
             当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは,議員の定数)をもつて有効投票の総数を除して得た数の四分の一以上の得票
四  地方公共団体の長の選挙
             有効投票の総数の四分の一以上の得票
2  当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは,選挙会において,選挙長がくじで定める。

(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する異議の申出及び審査の申立て)
第二百二条  地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において,その選挙の効力に関し不服がある選挙人又は公職の候補者は,当該選挙の日から十四日以内に,文書で当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対して異議を申し出ることができる。
2  前項の規定により市町村の選挙管理委員会に対して異議を申し出た場合において,その決定に不服がある者は,その決定書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から二十一日以内に,文書で当該都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。

(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟)
第二百三条  地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において,前条第一項の異議の申出若しくは同条第二項の審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に不服がある者は,当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし,その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から三十日以内に,高等裁判所に訴訟を提起することができる。
2  地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟は,前条第一項又は第二項の規定による異議の申出又は審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起することができる。

(地方公共団体の議会の議員又は長の当選の効力に関する異議の申出及び審査の申立て)
第二百六条  地方公共団体の議会の議員又は長の選挙においてその当選の効力に関し不服がある選挙人又は公職の候補者は,第百一条の三第二項又は第百六条第二項の規定による告示の日から十四日以内に,文書で当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対して異議を申し出ることができる。
2  前項の規定により市町村の選挙管理委員会に対して異議を申し出た場合において,その決定に不服がある者は,その決定書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から二十一日以内に,文書で当該都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。

(地方公共団体の議会の議員及び長の当選の効力に関する訴訟)
第二百七条  地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において,前条第一項の異議の申出若しくは同条第二項の審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に不服がある者は,当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし,その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から三十日以内に,高等裁判所に訴訟を提起することができる。
2  第二百三条第二項の規定は,地方公共団体の議会の議員及び長の当選の効力に関する訴訟を提起する場合に,準用する。

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パスポートの電子申請サービスの停止について

2006-07-17 20:24:34 | Weblog
asahi.com 旅券電子申請,コストは1件1600万円 今年度で停止

 状況が変われば再開も検討するとのこと。
しかし,そもそも,申請に必要な住基カードの普及自体が進んでいない。再開はあるとしても相当先ではないだろうか。
それにしても,記事の,「利用者側の視点を欠いたまま,巨額の開発費や運営費を投じた見通しの甘さ」は痛烈。申請1件の経費が1600万円となれば,この種の批判はあって当然だが・・・。
ところで,この類の話,外務省だけだろうか。

内閣府HP 電子政府の総合窓口

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