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高齢者虐待防止法の見直すべき点について

2007-09-23 14:51:24 | Weblog
asahi.com 高齢者虐待防止,対応に差 立ち入り調査は4自治体のみ

 記事には,法改正で見直すべき点のひとつとして,立入調査権が弱いところがあげられている。
高齢者虐待防止法第11条第1項には「市町村長は,養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは,介護保険法第百十五条の三十九第二項 の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして,当該高齢者の住所又は居所に立ち入り,必要な調査又は質問をさせることができる。」とあり,次条第1項には「市町村長は,前条第一項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようとする場合において,これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは,当該高齢者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。」とある。現行法でもそれなりの調査は可能のようにも思うが,不足するところがあるようだ。

参考 福井県 高齢者虐待発見チェックリスト


「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり,高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ,高齢者虐待の防止等に関する国等の責務,高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置,養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより,高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等に関する施策を促進し,もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「高齢者」とは,六十五歳以上の者をいう。
2  この法律において「養護者」とは,高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。
3  この法律において「高齢者虐待」とは,養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。
4  この法律において「養護者による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一  養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置,養護者以外の同居人によるイ,ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
二  養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
5  この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一  老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三 に規定する老人福祉施設若しくは同法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホーム又は介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第八条第二十項 に規定する地域密着型介護老人福祉施設,同条第二十四項 に規定する介護老人福祉施設,同条第二十五項 に規定する介護老人保健施設,同条第二十六項 に規定する介護療養型医療施設若しくは同法第百十五条の三十九第一項 に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)の業務に従事する者が,当該養介護施設に入所し,その他当該養介護施設を利用する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
二  老人福祉法第五条の二第一項 に規定する老人居宅生活支援事業又は介護保険法第八条第一項 に規定する居宅サービス事業,同条第十四項 に規定する地域密着型サービス事業,同条第二十一項 に規定する居宅介護支援事業,同法第八条の二第一項 に規定する介護予防サービス事業,同条第十四項 に規定する地域密着型介護予防サービス事業若しくは同条第十八項 に規定する介護予防支援事業(以下「養介護事業」という。)において業務に従事する者が,当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者について行う前号イからホまでに掲げる行為

(高齢者虐待の早期発見等)
第五条  養介護施設,病院,保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等,医師,保健師,弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は,高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し,高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。
2  前項に規定する者は,国及び地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止のための啓発活動及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護のための施策に協力するよう努めなければならない。

(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条  養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
2  前項に定める場合のほか,養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,速やかに,これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3  刑法 (明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

第八条  市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては,当該通報又は届出を受けた市町村の職員は,その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

(通報等を受けた場合の措置)
第九条  市町村は,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは,速やかに,当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに,第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「高齢者虐待対応協力者」という。)とその対応について協議を行うものとする。
2  市町村又は市町村長は,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は前項に規定する届出があった場合には,当該通報又は届出に係る高齢者に対する養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう,養護者による高齢者虐待により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時的に保護するため迅速に老人福祉法第二十条の三 に規定する老人短期入所施設等に入所させる等,適切に,同法第十条の四第一項 若しくは第十一条第一項 の規定による措置を講じ,又は,適切に,同法第三十二条 の規定により審判の請求をするものとする。

(立入調査)
第十一条  市町村長は,養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは,介護保険法第百十五条の三十九第二項 の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして,当該高齢者の住所又は居所に立ち入り,必要な調査又は質問をさせることができる。
2  前項の規定による立入り及び調査又は質問を行う場合においては,当該職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。
3  第一項の規定による立入り及び調査又は質問を行う権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(警察署長に対する援助要請等)
第十二条  市町村長は,前条第一項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようとする場合において,これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは,当該高齢者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。
2  市町村長は,高齢者の生命又は身体の安全の確保に万全を期する観点から,必要に応じ適切に,前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。
3  警察署長は,第一項の規定による援助の求めを受けた場合において,高齢者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは,速やかに,所属の警察官に,同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法 (昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

(養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置)
第二十条  養介護施設の設置者又は養介護事業を行う者は,養介護施設従事者等の研修の実施,当該養介護施設に入所し,その他当該養介護施設を利用し,又は当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者及びその家族からの苦情の処理の体制の整備その他の養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置を講ずるものとする。

(養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等)
第二十一条  養介護施設従事者等は,当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
2  前項に定める場合のほか,養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
3  前二項に定める場合のほか,養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,速やかに,これを市町村に通報するよう努めなければならない。
4  養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けた高齢者は,その旨を市町村に届け出ることができる。
5  第十八条の規定は,第一項から第三項までの規定による通報又は前項の規定による届出の受理に関する事務を担当する部局の周知について準用する。
6  刑法 の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,第一項から第三項までの規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。
7  養介護施設従事者等は,第一項から第三項までの規定による通報をしたことを理由として,解雇その他不利益な取扱いを受けない。

(通報等を受けた場合の措置)
第二十四条  市町村が第二十一条第一項から第三項までの規定による通報若しくは同条第四項の規定による届出を受け,又は都道府県が第二十二条第一項の規定による報告を受けたときは,市町村長又は都道府県知事は,養介護施設の業務又は養介護事業の適正な運営を確保することにより,当該通報又は届出に係る高齢者に対する養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護を図るため,老人福祉法 又は介護保険法 の規定による権限を適切に行使するものとする。

(公表)
第二十五条  都道府県知事は,毎年度,養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況,養介護施設従事者等による高齢者虐待があった場合にとった措置その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとする。

(成年後見制度の利用促進)
第二十八条  国及び地方公共団体は,高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに財産上の不当取引による高齢者の被害の防止及び救済を図るため,成年後見制度の周知のための措置,成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより,成年後見制度が広く利用されるようにしなければならない。

附則

(施行期日)
1  この法律は,平成十八年四月一日から施行する。
(検討)
2  高齢者以外の者であって精神上又は身体上の理由により養護を必要とするものに対する虐待の防止等のための制度については,速やかに検討が加えられ,その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
3  高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等のための制度については,この法律の施行後三年を目途として,この法律の施行状況等を勘案し,検討が加えられ,その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

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