法律の周辺

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本人確認書類としての運転経歴証明書について

2008-03-18 22:09:06 | Weblog
時事ドットコム 高齢者免許返納に特典=民間が協議会を発足-東京

 毎日によれば,秋田県では,運転免許証の返納者へのタクシー料金割引制度が始まってから返納者が急増しているとのこと。

さて,金融機関等の本人確認に係る本人確認法施行規則第4条では,有効期間の無い本人確認書類は提示等を受ける前6カ月以内に作成されたものに限るとされていた。
運転経歴証明書には有効期間がない(見本参照)。このため,運転経歴証明書は,身分証明書ではあるものの,本人確認書類としては,実際のところ,使えないという不都合が指摘されていた。
本人確認法は犯罪収益移転防止法の本格施行に伴い廃止されたが,運転経歴証明書に係る上記扱いは犯罪収益移転防止法下でも変わっていない(犯罪収益移転防止法施行規則第4条第1号ヘ参照)。
運転免許証は身分証明書の代表的なもの。運転経歴証明書は,運転免許証返納による社会生活上の不都合を回避するために創設されたものと言っても差し支えないと思うが,完全に代替できているとまではいえないようだ。

警察庁 運転経歴証明書制度の運用について 平成14年5月13日

追記 現在,上記本文記載の運転経歴証明書に係る期間制限は外されている(犯罪収益移転防止法施行規則第7条第1号イ参照)。(平成28年12月6日記)


道路交通法の関連条文

(七十歳以上の者の特例)
第百一条の四 免許証の更新を受けようとする者で更新期間が満了する日における年齢が七十歳以上のものは,更新期間が満了する日前三月以内にその者の住所地を管轄する公安委員会が行つた第百八条の二第一項第十二号に掲げる講習を受けていなければならない。ただし,当該講習を受ける必要がないものとして政令で定める者は,この限りでない。
2 公安委員会は,免許を現に受けている者で更新期間が満了する日における年齢が七十歳以上のものに対し,免許証の更新を受けようとするときは更新期間が満了する日前三月以内に前項の規定により講習を受けていなければならない旨,当該講習を受けることができる日時及び場所その他当該講習に係る事務の円滑な実施を図るため必要な事項を記載した書面を送付するものとする。

(免許の取消し,停止等)
第百三条 免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは,その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし,第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは,当該処分は,その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ,することができない。
一 次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ及びロに掲げるもののほか,自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
一の二 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第十六項に規定する認知症であることが判明したとき。
二 目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるものが生じている者であることが判明したとき。
三 アルコール,麻薬,大麻,あへん又は覚せい剤の中毒者であることが判明したとき。
四 第五項の規定による命令に違反したとき。
五 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき。
六 重大違反唆し等をしたとき。
七 道路外致死傷をしたとき。
八 前各号に掲げるもののほか,免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
2 公安委員会は,前項の規定により免許を取り消し,又は免許の効力を九十日(公安委員会が九十日を超えない範囲内で期間を定めたときは,その期間)以上停止しようとする場合において,当該処分に係る者がその住所を他の公安委員会の管轄区域内に変更していたときは,当該処分に係る事案に関する第百四条第一項の意見の聴取又は聴聞を終了している場合を除き,速やかに現にその者の住所地を管轄する公安委員会に内閣府令で定める処分移送通知書を送付しなければならない。
3 前項の処分移送通知書が当該公安委員会に送付されたときは,当該公安委員会は,その者が第一項各号のいずれかに該当する場合(同項第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは,その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後に限る。)には,同項の政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は六月を超えない範囲内において期間を定めて免許の効力を停止することができるものとし,処分移送通知書を送付した公安委員会は,同項の規定にかかわらず,当該事案について,その者の免許を取り消し,又は免許の効力を停止することができないものとする。
4 第二項の規定は,公安委員会が前項の規定により免許を取り消し,又は免許の効力を停止しようとする場合について準用する。
5 公安委員会は,第一項第一号から第四号までのいずれかに該当することを理由として同項又は第三項の規定により免許の効力を停止する場合において,必要があると認めるときは,当該処分の際に,その者に対し,公安委員会が指定する期日及び場所において適性検査を受け,又は公安委員会が指定する期限までに内閣府令で定める要件を満たす医師の診断書を提出すべき旨を命ずることができる。
6 公安委員会は,第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当することを理由として同項又は第三項の規定により免許を取り消したときは,政令で定める基準に従い,一年以上五年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定するものとする。
7 第一項又は第三項の規定により免許を取り消され,又は免許の効力の停止を受けた時におけるその者の住所が当該処分をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内にあるときは,当該処分をした公安委員会は,速やかに当該処分をした旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
8 公安委員会は,第一項又は第三項の規定による免許の効力の停止(第一項第一号から第四号までのいずれかに該当することを理由とするものを除く。)を受けた者が第百八条の二第一項第三号に掲げる講習を終了したときは,政令で定める範囲内で,その者の免許の効力の停止の期間を短縮することができる。

(申請による取消し)
第百四条の四 免許を受けた者は,その者の住所地を管轄する公安委員会に免許の取消しを申請することができる。この場合において,その者は,第八十九条第一項及び第九十条の二第一項の規定にかかわらず,併せて,当該免許が取り消された場合には他の種類の免許(取消しに係る免許の種類ごとに政令で定める種類のものに限る。)を受けたい旨の申出をすることができる。
2 前項の規定による申請を受けた公安委員会は,政令で定めるところにより,当該申請に係る免許を取り消すものとする。
3 前項の規定により免許を取り消した公安委員会は,第一項の申出をした者から第百七条第一項第一号の規定による当該免許に係る免許証の返納を受けたときは,その者に対し,当該申出に係る免許を与えることができる。
4 前項の規定により与えられる免許は,第二項の規定により取り消された免許を受けた日に受けたものとみなす。
5 第二項の規定により免許を取り消された者(第三項の規定により免許を受けた者を除く。)は,当該取消しを行つた公安委員会に対し,当該取消しを受けた日前五年間の自動車等の運転に関する経歴について,第九十二条の二第一項の表の上欄に規定する優良運転者,一般運転者又は違反運転者等の区分に準じた区分により表示する書面(次項において「運転経歴証明書」という。)の交付を申請することができる。
6 前項の規定による申請を受けた公安委員会は,政令で定めるところにより,運転経歴証明書を交付するものとする。この場合において,運転経歴証明書は,免許証と紛らわしい外観を有するものであつてはならない。
7 前各項に定めるもののほか,第二項の規定による免許の取消しについて必要な事項は,内閣府令で定める。

(免許証の返納等)
第百七条 免許を受けた者は,次の各号のいずれかに該当することとなつたときは,すみやかに,免許証(第三号の場合にあつては,発見し,又は回復した免許証)をその者の住所地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
一 免許が取り消されたとき。
二 免許が失効したとき。
三 免許証の再交付を受けた後において亡失した免許証を発見し,又は回復したとき。
2 第百四条の二の二第一項,第二項若しくは第四項又は第百四条の四第二項の規定により免許を取り消された者がなお他の種類の免許を受けている場合において,前項の規定により免許証を返納したときは,公安委員会は,当該他の種類の免許に係る免許証を交付するものとする。
3 免許を受けた者は,第九十条第四項,第百三条第一項若しくは第三項,第百四条の二の三第一項又は同条第三項において準用する第百三条第三項の規定により免許の効力が停止されたときは,速やかに,免許証をその者の住所地を管轄する公安委員会に提出しなければならない。
4 前項の規定により免許証の提出を受けた公安委員会又は第百三条の二第四項若しくは第五項の規定により免許証の送付を受けた公安委員会は,当該免許証に係る免許の効力の停止の期間が満了した場合においてその提出者から返還の請求があつたときは,直ちに当該免許証を返還しなければならない。

道路交通法施行令の関連条文

(運転経歴証明書の交付)
第三十九条の二の四 法第百四条の四第六項の規定による運転経歴証明書の交付は,同条第五項の規定による申請をした日前一月以内に同条第二項の規定により免許を取り消され,かつ,現に受けている免許がない者に対して行うものとする。

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の関連条文

(本人確認義務等)
第四条  特定事業者(第二条第二項第三十九号に掲げる特定事業者(第八条において「弁護士等」という。)を除く。以下同じ。)は,顧客(同項第三十五号に掲げる特定事業者にあっては,利用者たる顧客。以下同じ。)又はこれに準ずる者として政令で定める者(以下「顧客等」という。)との間で,次の表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(以下「特定業務」という。)のうち同表の下欄に定める取引(以下「特定取引」という。)を行うに際しては,運転免許証の提示を受ける方法その他の主務省令で定める方法により,当該顧客等について,本人特定事項(当該顧客等が自然人である場合にあっては氏名,住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては,主務省令で定める事項)及び生年月日をいい,当該顧客等が法人である場合にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない。
(表は省略)
2  特定事業者は,顧客等の本人確認を行う場合において,会社の代表者が当該会社のために当該特定事業者との間で特定取引を行うときその他の当該特定事業者との間で現に特定取引の任に当たっている自然人が当該顧客等と異なるとき(次項に規定する場合を除く。)は,当該顧客等の本人確認に加え,当該特定取引の任に当たっている自然人(以下「代表者等」という。)についても,本人確認を行わなければならない。
3  顧客等が国,地方公共団体,人格のない社団又は財団その他の政令で定めるものである場合には,当該顧客等のために当該特定事業者との間で現に特定取引の任に当たっている自然人を顧客等とみなして,第一項の規定を適用する。
4  顧客等(前項の規定により顧客等とみなされる自然人を含む。以下同じ。)及び代表者等は,特定事業者が本人確認を行う場合において,当該特定事業者に対して,顧客等又は代表者等の本人特定事項を偽ってはならない。

「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」の関連条文

(本人確認書類)
第四条  前条第一項に規定する方法において,特定事業者が提示又は送付を受ける書類は,次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める書類のいずれかとする。ただし,第一号ハからホまでに掲げる本人確認書類及び第三号に定める本人確認書類並びに有効期間又は有効期限のある第一号ヘ及びト,第二号ロに掲げる本人確認書類並びに第四号に定める本人確認書類にあっては特定事業者が提示又は送付を受ける日において有効なものに,その他の本人確認書類にあっては特定事業者が提示又は送付を受ける日前六月以内に作成されたものに限る。
一  自然人(第三号及び第四号に掲げる者を除く。) 次に掲げる書類のいずれか
イ 特定取引を行うための申込み又は承諾に係る書類に顧客等が押印した印鑑に係る印鑑登録証明書
ロ 印鑑登録証明書(イに掲げるものを除く。),外国人登録原票の写し,外国人登録原票の記載事項証明書(地方公共団体の長の外国人登録原票に登録された事項を証する書類をいう。),戸籍の謄本若しくは抄本(戸籍の附票の写しが添付されているものに限る。),住民票の写し又は住民票の記載事項証明書(地方公共団体の長の住民基本台帳の氏名,住所その他の事項を証する書類をいう。)
ハ 国民健康保険,健康保険,船員保険,後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証,健康保険日雇特例被保険者手帳,国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証又は私立学校教職員共済制度の加入者証(当該自然人の氏名,住居及び生年月日の記載があるものに限る。)
ニ 国民年金法第十三条第一項 に規定する国民年金手帳,児童扶養手当証書,特別児童扶養手当証書,母子健康手帳,身体障害者手帳,精神障害者保健福祉手帳,療育手帳又は戦傷病者手帳(当該自然人の氏名,住居及び生年月日の記載があるものに限る。)
ホ 道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項 に規定する運転免許証,外国人登録証明書,住民基本台帳法 (昭和四十二年法律第八十一号)第三十条の四十四第一項 に規定する住民基本台帳カード(当該自然人の氏名,住居及び生年月日の記載があるものに限る。)又は旅券等
ヘ イからホまでに掲げるもののほか,官公庁から発行され,又は発給された書類その他これに類するもので,当該自然人の氏名,住居及び生年月日の記載があり,かつ,当該官公庁が当該自然人の写真をはり付けたもの
ト イからヘまでに掲げるもののほか,官公庁から発行され,又は発給された書類その他これに類するもので,当該自然人の氏名,住居及び生年月日の記載があるもの
二  法人(第四号に掲げる者を除く。以下この号において同じ。) 次に掲げる書類のいずれか
イ 当該法人の設立の登記に係る登記事項証明書(当該法人が設立の登記をしていないときは,当該法人を所轄する行政機関の長の当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地を証する書類)又は印鑑登録証明書(当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるものに限る。)
ロ イに掲げるもののほか,官公庁から発行され,又は発給された書類その他これに類するもので,当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるもの
三  前条第一項第二号に掲げる者 旅券等
四  外国人(日本の国籍を有しない自然人をいい,本邦に在留しているもの(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第九条第一項又は日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定第三条第一項の規定により本邦に入国し在留しているものを除く。)を除く。)及び外国に本店又は主たる事務所を有する法人 第一号又は第二号に定めるもののほか,日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので,第一号又は第二号に定めるものに準ずるもの(自然人の場合にあってはその氏名,住居及び生年月日の記載のあるものに,法人の場合にあってはその名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載のあるものに限る。)

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