認知症の高齢者治療,医師の8割「同意得るのに困った」 NIKKEI NET
いわゆる,認知症の高齢者を対象としたインフォームド・コンセントの問題。
インフォームド・コンセントは,医療行為(投薬・手術・検査など)や治験,人体実験の対象者(患者や被験者)が,治療や実験の内容についてよく説明を受け,理解した上で (informed) ,施行に同意する (consent) 事。内容としては,対象となる行為の名称・内容・期待されている結果,副作用,成功率,予後までを含むことが望ましいとされている。
手術などは,医的侵襲をともなう。結果によっては,傷害罪,殺人罪等の刑事責任も問題になり得るから,原則として,本人の同意を得ておこなわれる(刑法第35条参照)。
本人の同意を得るのが困難な場合は,家族の同意ということになるが,法的にどのように位置づけられるかを考えると,いろいろ悩ましい問題が潜んでいることに気付く。
民法上,成年後見人の権限とされているのは,本人の財産に関する法律行為についての包括的な代理権と財産管理権(民法第859条第1項)および本人がおこなった法律行為に関する取消権(民法第9条,同第120条第1項)。
成年後見人には,身上配慮義務として本人の心身の状態および生活の状況に配慮すべき義務が課せられているが,本人に対する医療行為に関する同意見・代理権が認められているわけではない。
この点,立法的に解決をはかり,成年後見人の権限として医療行為に関する同意見・代理権を認めるべき,との考え方もある。
それにしても,調査の回答率が,20.1%と,随分と低い。
刑法の関連条文
(正当行為)
第三十五条 法令又は正当な業務による行為は,罰しない。
民法の関連条文
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は,取り消すことができる。ただし,日用品の購入その他日常生活に関する行為については,この限りでない。
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は,制限行為能力者又はその代理人,承継人若しくは同意をすることができる者に限り,取り消すことができる。2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は,瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り,取り消すことができる。
(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第八百五十八条 成年後見人は,成年被後見人の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては,成年被後見人の意思を尊重し,かつ,その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
(財産の管理及び代表)
第八百五十九条 後見人は,被後見人の財産を管理し,かつ,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は,前項の場合について準用する。
いわゆる,認知症の高齢者を対象としたインフォームド・コンセントの問題。
インフォームド・コンセントは,医療行為(投薬・手術・検査など)や治験,人体実験の対象者(患者や被験者)が,治療や実験の内容についてよく説明を受け,理解した上で (informed) ,施行に同意する (consent) 事。内容としては,対象となる行為の名称・内容・期待されている結果,副作用,成功率,予後までを含むことが望ましいとされている。
手術などは,医的侵襲をともなう。結果によっては,傷害罪,殺人罪等の刑事責任も問題になり得るから,原則として,本人の同意を得ておこなわれる(刑法第35条参照)。
本人の同意を得るのが困難な場合は,家族の同意ということになるが,法的にどのように位置づけられるかを考えると,いろいろ悩ましい問題が潜んでいることに気付く。
民法上,成年後見人の権限とされているのは,本人の財産に関する法律行為についての包括的な代理権と財産管理権(民法第859条第1項)および本人がおこなった法律行為に関する取消権(民法第9条,同第120条第1項)。
成年後見人には,身上配慮義務として本人の心身の状態および生活の状況に配慮すべき義務が課せられているが,本人に対する医療行為に関する同意見・代理権が認められているわけではない。
この点,立法的に解決をはかり,成年後見人の権限として医療行為に関する同意見・代理権を認めるべき,との考え方もある。
それにしても,調査の回答率が,20.1%と,随分と低い。
刑法の関連条文
(正当行為)
第三十五条 法令又は正当な業務による行為は,罰しない。
民法の関連条文
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は,取り消すことができる。ただし,日用品の購入その他日常生活に関する行為については,この限りでない。
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は,制限行為能力者又はその代理人,承継人若しくは同意をすることができる者に限り,取り消すことができる。2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は,瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り,取り消すことができる。
(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第八百五十八条 成年後見人は,成年被後見人の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては,成年被後見人の意思を尊重し,かつ,その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
(財産の管理及び代表)
第八百五十九条 後見人は,被後見人の財産を管理し,かつ,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は,前項の場合について準用する。