法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

福島県商業まちづくりの推進に関する条例について

2005-10-12 20:41:11 | Weblog
イオン「憲法上問題」 asahi.com

福島県議会,大型店出店規制条例を可決・全国初 NIKKEI NET

 日経によれば,「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」は,大規模店舗の出店→中心市街地の空洞化,を防止するもの。規制類型としては,積極規制に該当することになるのだろう。憲法第22条との関係では,条例の違憲性は緩やかな「明白性の原則」で判断,ということになりそうだが,これとは別に,大規模小売店舗立地法第13条,憲法第94条との関係でも問題があるようだ。

「勧告・公表は,小売業にとって刑罰にも匹敵する制裁」という物言いは少々大袈裟な気もするが,出店計画の見直しは用地取得などとも関係する。企業としては是非とも避けたいところだ。気持ちは分からないではない。こちらは,憲法第31条の問題か。

イオン側が強調するとすれば,後の2つの論点だろう。憲法に関する論点が満載である。


徳島市公安条例事件最判(昭和50.9.10)

「普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが,条例が国の法令に違反するかどうかは,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない。」として,法律と条例が「別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,国の法令が必ずしもその規制を施す趣旨ではなく,それぞれの普通地方公共団体において,その地方の事情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,国の法令と条例との間にはなんらの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じえない。」

「しかしながら,およそ,刑罰法規の定める犯罪構成要件があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反し無効であるとされるのは,その規定が通常の判断能力を有する一般人に対して,禁止される行為とそうでない行為とを識別するための基準を示すところがなく,そのため,その適用を受ける国民に対して刑罰の対象となる行為をあらかじめ告知する機能を果たさず,また,その運用がこれを適用する国又は地方公共団体の機関の主観的判断にゆだねられて恣意に流れる等,重大な弊害を生ずるからであると考えられる。しかし,一般に法規は,規定の文言の表現力に限界があるばかりでなく,その性質上多かれ少なかれ抽象性を有し,刑罰法規もその例外をなすものではないから,禁止される行為とそうでない行為との識別を可能ならしめる基準といつても,必ずしも常に絶対的なそれを要求することはできず,合理的な判断を必要とする場合があることを免れない。それゆえ,ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反するものと認めるべきかどうかは,通常の判断能力を有する一般人の理解において,具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである。」


憲法の関連条文

第二十二条  何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。
2  何人も,外国に移住し,又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第九十四条  地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。


大規模小売店舗立地法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,大規模小売店舗の立地に関し,その周辺の地域の生活環境の保持のため,大規模小売店舗を設置する者によりその施設の配置及び運営方法について適正な配慮がなされることを確保することにより,小売業の健全な発達を図り,もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与することを目的とする。

(地方公共団体の施策)
第十三条  地方公共団体は,小売業を行うための店舗の立地に関し,その周辺の地域の生活環境を保持するために必要な施策を講ずる場合においては,地域的な需給状況を勘案することなく,この法律の趣旨を尊重して行うものとする。

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国勢調査の見直しについて

2005-10-12 18:02:35 | Weblog
国勢調査見直しへ,郵送やネット利用も検討 NIKKEI NET

 個人情報保護関係5法案が成立したのは,平成15年5月。先般の,戸籍法といい,住民基本台帳法といい,対応が後手後手になっている。総務省は,有識者らによる検討会を設置し,年内に改革の方向性をまとめるという。しかし,次回の国勢調査は2010年。もう少し時間をかけても良いのではないか。何だか,やっていることがチグハグのような気がしてならない。
記入方法の簡略化も検討の対象ということだが,簡略化にとどまらず,調査項目の洗い直しも含め,ジックリ検討していただきたいもの。「勤め先名」の必要性などは,相当に疑問だ。

 調査票の回収については,郵送のほか,インターネットの活用も検討するとのこと。調査票の記入は,世帯ごとだから,ネットの場合もそうなるのだろう。しかし,セキュリティー面などを考えると,別の不安が頭をもたげてくる。紙の場合はいずれ溶解処分されるが,世帯単位の電子データが一度盗み見られた場合は ・・・。

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地方債に係る事前協議制への移行について

2005-10-12 17:55:39 | Weblog
地方債発行,財政難の自治体に制限・総務省 NIKKEI NET

 地方債については,平成11年のいわゆる「地方分権一括法」により,許可制を定める地方自治法第250条が削除され,事前協議制を定める地方財政法第5条の3が新設されていた。なお,「許可制から事前協議制への移行」は,記事のとおり,来年度から。

 地方債の起債に係る許可制は,地方自治の本旨(自主財政権)などに絡む一大論点。昨今の「三位一体の改革」もこれに連なっている。

 起債は原則自由になるといえるが,「実質収支の赤字が政令で定める額以上の赤字団体」「地方債の元利償還金が遅延している団体」等のほか,「地方債許可制限比率に当る比率が政令で定める率以上の団体」の場合,総務大臣等の許可を要する(地方財政法第5条の4参照)。記事によると,自治体を3グループ化して起債の許否を判断する模様。国としては,財政面で,独立独歩の自治体を増やしたい半面,任せっきりにもできないといったところだろうか。地方はなかなか信頼してもらえない。
因みに,秋田県の平成15年の地方債残高は,1兆1749億円。


憲法の関連条文

第九十二条  地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基いて,法律でこれを定める。

第九十四条  地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。

地方財政法の関連条文

(地方債の協議等)
第五条の三  地方公共団体は,地方債を起こし,又は起債の方法,利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合は,政令で定めるところにより,総務大臣又は都道府県知事に協議しなければならない。ただし,軽微な場合その他の総務省令で定める場合については,この限りでない。
2  前項に規定する協議は,地方債の起債の目的,限度額,起債の方法,資金,利率,償還の方法その他政令で定める事項を明らかにして行うものとする。
3  地方公共団体は,第一項に規定する協議において総務大臣又は都道府県知事の同意を得た地方債についてのみ,当該同意に係る政令で定める公的資金を借り入れることができる。
4  総務大臣又は都道府県知事が第一項に規定する協議において同意をした地方債に係る元利償還に要する経費は,地方交付税法 (昭和二十五年法律第二百十一号)第七条 の定めるところにより,同条第二号 の地方団体の歳出総額の見込額に算入されるものとする。
5  地方公共団体が,第一項に規定する協議の上,総務大臣又は都道府県知事の同意を得ないで,地方債を起こし,又は起債の方法,利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合には,当該地方公共団体の長は,その旨をあらかじめ議会に報告しなければならない。ただし,地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認める場合その他政令で定める場合は,当該地方公共団体が,当該同意を得ないで,地方債を起こし,又は起債の方法,利率若しくは償還の方法を変更した後に,次の会議においてその旨を議会に報告することをもつて足りる。
6  総務大臣は,毎年度,政令で定めるところにより,総務大臣又は都道府県知事が第一項に規定する協議における同意並びに次条第一項及び第三項から第五項までに規定する許可をするかどうかを判断するために必要とされる基準を定め,並びに総務大臣又は都道府県知事が第一項に規定する協議において同意をする地方債(次条第一項及び第三項から第五項までの規定により許可をする地方債を含む。)の予定額の総額その他政令で定める事項に関する書類を作成し,これらを公表するものとする。
7  総務大臣は,第一項に規定する協議における総務大臣の同意並びに前項に規定する基準の作成及び同項の書類の作成については,地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

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