イオン「憲法上問題」 asahi.com
福島県議会,大型店出店規制条例を可決・全国初 NIKKEI NET
日経によれば,「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」は,大規模店舗の出店→中心市街地の空洞化,を防止するもの。規制類型としては,積極規制に該当することになるのだろう。憲法第22条との関係では,条例の違憲性は緩やかな「明白性の原則」で判断,ということになりそうだが,これとは別に,大規模小売店舗立地法第13条,憲法第94条との関係でも問題があるようだ。
「勧告・公表は,小売業にとって刑罰にも匹敵する制裁」という物言いは少々大袈裟な気もするが,出店計画の見直しは用地取得などとも関係する。企業としては是非とも避けたいところだ。気持ちは分からないではない。こちらは,憲法第31条の問題か。
イオン側が強調するとすれば,後の2つの論点だろう。憲法に関する論点が満載である。
徳島市公安条例事件最判(昭和50.9.10)
「普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが,条例が国の法令に違反するかどうかは,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない。」として,法律と条例が「別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,国の法令が必ずしもその規制を施す趣旨ではなく,それぞれの普通地方公共団体において,その地方の事情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,国の法令と条例との間にはなんらの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じえない。」
「しかしながら,およそ,刑罰法規の定める犯罪構成要件があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反し無効であるとされるのは,その規定が通常の判断能力を有する一般人に対して,禁止される行為とそうでない行為とを識別するための基準を示すところがなく,そのため,その適用を受ける国民に対して刑罰の対象となる行為をあらかじめ告知する機能を果たさず,また,その運用がこれを適用する国又は地方公共団体の機関の主観的判断にゆだねられて恣意に流れる等,重大な弊害を生ずるからであると考えられる。しかし,一般に法規は,規定の文言の表現力に限界があるばかりでなく,その性質上多かれ少なかれ抽象性を有し,刑罰法規もその例外をなすものではないから,禁止される行為とそうでない行為との識別を可能ならしめる基準といつても,必ずしも常に絶対的なそれを要求することはできず,合理的な判断を必要とする場合があることを免れない。それゆえ,ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反するものと認めるべきかどうかは,通常の判断能力を有する一般人の理解において,具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである。」
憲法の関連条文
第二十二条 何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も,外国に移住し,又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第九十四条 地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。
大規模小売店舗立地法の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,大規模小売店舗の立地に関し,その周辺の地域の生活環境の保持のため,大規模小売店舗を設置する者によりその施設の配置及び運営方法について適正な配慮がなされることを確保することにより,小売業の健全な発達を図り,もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(地方公共団体の施策)
第十三条 地方公共団体は,小売業を行うための店舗の立地に関し,その周辺の地域の生活環境を保持するために必要な施策を講ずる場合においては,地域的な需給状況を勘案することなく,この法律の趣旨を尊重して行うものとする。
福島県議会,大型店出店規制条例を可決・全国初 NIKKEI NET
日経によれば,「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」は,大規模店舗の出店→中心市街地の空洞化,を防止するもの。規制類型としては,積極規制に該当することになるのだろう。憲法第22条との関係では,条例の違憲性は緩やかな「明白性の原則」で判断,ということになりそうだが,これとは別に,大規模小売店舗立地法第13条,憲法第94条との関係でも問題があるようだ。
「勧告・公表は,小売業にとって刑罰にも匹敵する制裁」という物言いは少々大袈裟な気もするが,出店計画の見直しは用地取得などとも関係する。企業としては是非とも避けたいところだ。気持ちは分からないではない。こちらは,憲法第31条の問題か。
イオン側が強調するとすれば,後の2つの論点だろう。憲法に関する論点が満載である。
徳島市公安条例事件最判(昭和50.9.10)
「普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが,条例が国の法令に違反するかどうかは,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない。」として,法律と条例が「別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,国の法令が必ずしもその規制を施す趣旨ではなく,それぞれの普通地方公共団体において,その地方の事情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,国の法令と条例との間にはなんらの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じえない。」
「しかしながら,およそ,刑罰法規の定める犯罪構成要件があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反し無効であるとされるのは,その規定が通常の判断能力を有する一般人に対して,禁止される行為とそうでない行為とを識別するための基準を示すところがなく,そのため,その適用を受ける国民に対して刑罰の対象となる行為をあらかじめ告知する機能を果たさず,また,その運用がこれを適用する国又は地方公共団体の機関の主観的判断にゆだねられて恣意に流れる等,重大な弊害を生ずるからであると考えられる。しかし,一般に法規は,規定の文言の表現力に限界があるばかりでなく,その性質上多かれ少なかれ抽象性を有し,刑罰法規もその例外をなすものではないから,禁止される行為とそうでない行為との識別を可能ならしめる基準といつても,必ずしも常に絶対的なそれを要求することはできず,合理的な判断を必要とする場合があることを免れない。それゆえ,ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反するものと認めるべきかどうかは,通常の判断能力を有する一般人の理解において,具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである。」
憲法の関連条文
第二十二条 何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も,外国に移住し,又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第九十四条 地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。
大規模小売店舗立地法の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,大規模小売店舗の立地に関し,その周辺の地域の生活環境の保持のため,大規模小売店舗を設置する者によりその施設の配置及び運営方法について適正な配慮がなされることを確保することにより,小売業の健全な発達を図り,もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(地方公共団体の施策)
第十三条 地方公共団体は,小売業を行うための店舗の立地に関し,その周辺の地域の生活環境を保持するために必要な施策を講ずる場合においては,地域的な需給状況を勘案することなく,この法律の趣旨を尊重して行うものとする。