法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

郵政民営化法案に関する態度を変える議員の行動について

2005-09-10 13:25:54 | Weblog
郵政法案成立の流れ加速・参院自民の鴻池氏ら賛成に NIKKEI NET:政治 ニュース

 衆議院議員の総選挙の結果で,再提出された場合の郵政民営化法案につき,賛成あるいは反対に転じる議員の行動を「変節」と呼ぶのは,必ずしも当たっていないと思う。大事なのは,国民の投票が,他院の代表者の行動にどのような影響を与えたか,あるいは与えなかったかを見極めることだ。態度を変える議員は,支持団体だけではなく,国民全体に対し,その理由を明確にして欲しい。
これは,次回の参議院議員の通常選挙といったことにとどまらず,国民の選挙についての意識改革,二院制廃止の如何といった憲法改正,にも連なる重要なことだと思う。

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国民審査にあたっての最高裁裁判官に対するアンケートについて

2005-09-10 12:46:24 | Weblog
 一口に「司法の民主化」といっても,その意味するところは多様だ。裁判員制度の導入,法曹一元化がこれに含まれることについては異論はないだろう。
それでは,最高裁判所裁判官の国民審査はどうだろうか。これは,内閣による裁判官の選任(憲法第6条第2項の「内閣の指名」,同第79条第1項)に対して民主的コントロールを及ぼすことを目的とするもの。政治部門に対するコントロールが「司法と接する場面」で現れるものだが,広義の「司法の民主化」の1つに数えても良いのではないだろうか。

 今回の国民審査の対象になる最高裁裁判官は,次の6人(告示順)。

 古田佑紀
 中川了滋
 堀籠幸男
 今井 功
 津野 修
 才口千晴

最高裁のHPには「最高裁の裁判官の紹介」のページがあり,略歴のほか,「裁判官としての心構え」「好きな言葉」「印象に残った本」「趣味」「最高裁において関与した主要な裁判」の記載がある。国民審査にあたり参考にしたい。

 ところで,共同通信社が,今回の国民審査にあたり,対象となる6人の裁判官に対しアンケートをおこなっている。
項目は,「裁判員制度の円滑な運営に何が求められるか」「最高裁が憲法判断に消極的だとの批判についてどう思うか」「最近感動した本,好きな言葉など」。

 「裁判員制度の円滑な運営に何が求められるか」については,概ね,広報活動→国民(裁判員,勤務先)の理解,がポイントと考えているようだ。裁判官の増員,法廷の増設や弁護体制の整備を言っておられるのは今井氏。中川氏が「裁判所と裁判員に多大の負担となる云々」といっておられるのは本音がはからずも出てしまったというところか。

 「最高裁が憲法判断に消極的だとの批判についてどう思うか」については,行使をためらうべきではないと明確に言われるのは今井氏と堀籠氏。他の4氏は,概ね,批判は必ずしもあたっていないというもの。

 「最近感動した本,好きな言葉など」は,最高裁HPと重なるから省略といきたいが,津野氏の「好きな言葉」が違っているのがご愛敬。その時々の気分,心境の変化もあるでしょうから ^^; 。

 アンケートとは別に,「関与した裁判」が掲載されている(ただし,就任直後の古田氏を除く)。いずれも,住民側の上告を棄却した,といった悪印象を与えかねないものは避けられているように思う。このあたりのセレクトは新聞社としても悩むところではあろう。しかし,国民審査にあたって考慮の最重要ポイントとなるのは,この「関与した裁判」。あまり,腰が引けるのもどうかと思う。法原理機関(部門)の独立性と司法の民主化。矛盾するものというわけではないだろうが,この種のアンケート記事ひとつをとっても,いろいろ難しい問題を孕んでいるような気がする。

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