法律の周辺

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公務員の酒気帯び運転に伴う懲戒免職について

2005-09-02 14:21:16 | Weblog
 酒気帯び運転で罰金命令を受け,懲戒免職処分となった元小学校教諭が,7月29日,処分は重すぎるとして処分の取り消しを求めていたところ,秋田県人事委員会は,先月9日,これを受理した。
県人事委員会は,先月18日,昨年3月に飲酒運転で警察の摘発を受け,懲戒免職処分となっていた秋田県大森町の職員に関する別事案につき,停職6カ月に改める裁決をおこなっている。今回の事案につき,県人事委員会がどのような裁決をするか注目される。

 県人事委員会は,大森町の職員の事案につき,次のようなことを処分修正の理由としてあげている。

・職員が摘発された後,直ちに町に報告・謝罪した
・職員は指導的な立場にはなく,交通安全指導などの職務にも就いていない
・特に勤務成績が悪いとはいえず,今後の公務遂行に期待できる

この処分修正に対し,寺田秋田県知事は,飲酒運転等で摘発された県職員等を原則懲戒免職とする方針に変わりはないとしている。

 しかし,県人事委員会が処分規定に基づく処分を改める裁決をおこなったにもかかわらず,「県の処分に問題があれば,人事委員会が裁決する」は,どうなのだろうか。被処分者は,常に,県人事委員会への処分取消の申立を強いられる形だ。
違反者に対する処分の厳正化は結構なこと。しかし,現行の「酒気帯び運転 即 懲戒免職」は,行為と処分の均衡が失われているように思えてならない。裁決は,処分規定そのものに対し,否定的な見解を示すもの。県は,個別の裁決の累積を待つことなく,速やかに,処分規定の「具体化・明確化・適正化」といった見直しを図るべきである。秋田市などは,酒気帯び運転と酒酔い運転で分類し,人身事故を起こした場合,無事故だった場合など,より明確な基準を設ける方針と聞いている。

 今年1月から5月までに飲酒運転で県警から摘発された公務員は計10人。しかし,公表されたのは3人だけ。残りは,本人が職場に報告していないか,職場が公表していないか。こういった弊害も出てきている。不公平が生じないよう,処分規定の見直しをおこなうべきだ。

コメント (1)
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