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羽生結弦選手の、最強4回転トーループの科学的分析と解説動画

2015-01-23 | フィギュアスケート技術と羽生選手

羽生結弦選手の、4回転トーループについて、比較的詳細に分析された、NHKの「ザ・データマン」という番組の動画です。(動画主様、拝借します。)

 

「秒速4.29m 羽生結弦・氷上の美」というサブタイトルがつけられたこの番組。

羽生選手の4回転トーループの凄さ、美しさについてのみならず、ジャンプやスケート靴のこと等についても比較的わかるようになるかと思い、ご紹介します。

見た方もいらっしゃるとは思いますが、まだ見ていない方は是非。

ジャンプは、毎回毎回少しずつ異なってくると思うので、数字については、実際には羽生選手でさえ、毎回毎回その都度少しずつ異なっているだろうと思いますので、参考としてご覧下さい。

 

本田武史さん(ソルトレイク五輪4位、2002年、2003年世界選手権銅メダリスト) が中心となって、解説して下さっています。  

 

① まず、こちらは、フィギュアスケートの基本的なルールについての解説と、羽生選手のジャンプの分析が入っています。(2014年時点)

 

ショートプログラムが、2分50秒。 フリースケーティングが、男子が4分30秒。(女子が4分。)(+-10秒まで可)

ショートが、ジャンプ3要素、スピン3個、ステップシークエンス1個を入れなければならず、

フリーが、ジャンプは男子8要素、(女子7要素)、スピン3個、ステップシークエンス1個、コレオグラフィックシークエンス1個、という構成であることが説明されます。男子はショートとフリーの合計で11要素のジャンプを跳ぶことになります。

得点は、現在は「技術点」と「演技構成点」の二つから成り立っており、技術点は、「基礎点」と「GOE(技の出来栄え点)」から成り立っていることの説明があります。

 

その後、この「GOE(出来栄え点)」が出た「美しさ」の秘密について、科学的に分析しよう、という試みに入ります。

中京大学の湯浅教授と、羽生選手のジャンプコーチを務めたこともあるという、プロスケーターの田中総司さんの協力で、羽生選手とのジャンプの違いを解析します。

本田さんの「GOE」(技術の出来栄え点)についての解説が面白いです。 

 

オリンピックの「パリの散歩道」時点では、羽生選手は、3.72mの飛距離で、4回転を跳んでいたようです。 ジャンプにはいる直前の助走の水平速度が、秒速4.29mだったそうです。

羽生選手の4回転トーループは、幅跳び型とはよく言われますが、水平速度が、秒速4.29m、 垂直速度が、秒速2.62mだそう。(ソチ五輪時)

つまり、水平速度が垂直速度の、なんと1.6倍にもなった、「幅跳び型」の選手たちの中でも特に、「超・幅跳び型」なのだと結論付けています。

「高さを出すほうが、軸が作りやすいから、回転はしやすい」。そして、「幅を出そうとすると、流れに乗って飛んでいかなければならないので、軸がブレやすくなる」のだと、説明して下さる本田さん。

その分、幅を出すジャンプのほうが難しく、跳ぶ側にも怖さが出るようです。

怖いもの知らずの、羽生選手らしいジャンプなわけですね。

 

 

② 次の、続きの動画では、ジャンプの回転軸やスピードと、腕を広げることの関係等がわかります。

 

まず、GOE(出来栄え点)の評価基準について、説明が入ります。

ジャンプのGOEの採点ガイドライン。

  ① 予想外の / 独創的な / 難しい入り

  ② 明確でハッキリとしたステップ / フリースケーティング動作から、直ちにジャンプに入る

  ③ 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ

  ④ 高さおよび距離が十分

  ⑤ (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方 

  ⑥ 入りから出までの流れが十分

  ⑦ 開始から終了まで無駄な力が全くない

  ⑧ 音楽構造に要素が合っている

 

羽生選手の4回転トーループの滞空時間は、わずか 0.7秒 程度だそう。 そこで、この高速回転の秘密に迫ります。

腕の広げ具合で、回転数が変わることを示し、慣性モーメント(=回りにくさ)が小さいほど、速い回転になることの説明があります。

人並み外れて極めて速いのは、細身の体型が可能にしている、と。

 

本田さんが、実際に陸上で、ジャンプをする時の身体の動きの再現をして下さっています。 (本田さん、カッコイイ!さすが元4回転ジャンパーです。)

羽生選手も、よくやっているのを映されていますが、陸上であっても、羽生選手は3回転近くまで回れるようです。軸が細く、回転速度が速い。

また、スケート靴の「エッジ」(刃の端)について、少し説明が入ります。

 

羽生選手の、滑ってくる時の助走速度は、秒速6.9mだそう。 これはトップ選手たちの中でも極めて速い、と。

千葉大学の吉岡教授の協力で、助走のどこが凄いのか、その謎を解析。

また、スリーターン(3を描くターン)についても説明されており、羽生選手のスリーターンが極めて深いカーブを描き、エッジワークが良く、滑らかに方向転換しているため、減速しにくくなっていることが明かされます。 (つまり、助走の速度が落ちずに済んでいる) 

 

注) この中で登場するトップ選手たちは、十分すぎるほど凄い方ばかりです。

 

 

③ さらに続きの動画です。 まとめに入ります。 

 

深いスリーターンを可能にしている、羽生選手の「巧みなエッジ・ワーク」(エッジの使い方)について。

動画3分ちょうどあたりから、エッジワークを磨き直している羽生選手の映像が見られます。(過去に何度もファンなら見たことがあるかと。)

羽生選手の、スリーターン(3を描くターン)の軌道が、前年度シーズン(2012年~2013年)と比べて、ソチ五輪(2014年)時に、どのように変化しているのかが解ります。

より軌道の深いスリーターンになっています。 それをするには、エッジをしっかり倒さなければならないので、上半身のコントロールが難しくなるが、滑りが良くなると、本田さんが説明しています。

スピードが速い分、着氷が難しくなる羽生選手の4回転トーループですが、羽生選手の着氷時の身体の傾きが43度になっていて、他の選手たちよりもかなり傾斜が小さく、それゆえ、着氷後のスピードも落ちずにすんでいる、という特徴があることが分析されています。

そして、体幹を鍛えてきた羽生選手の様子も、少し映っています。

 

 「空中で4回転(しっかり)回って、余裕がある状態で降りてくるから、美しい姿勢がキープできる」と、本田さんが解説して下さっています。

 

ここからは、ちょっとだけ、私の感想です。

確かに、超幅跳び型と呼ばれる羽生選手のジャンプは見栄えがすごく、迫力があります。特に羽生選手は軽く大きく速く跳ぶので、まるで羽が生えて飛んでいくかのように見られますし、移動距離(=飛距離)が凄いです。羽生選手のジャンプが非常に魅力的なのは確かです。

羽生選手は、ジャンプに理想的な体型をしていると良く言われますので、そこにさらに不断の努力が加わり、だからこそ可能となった結果なのだろうとも思います。

 

ただ、高跳び型のジャンプも、高さがある選手はそれはそれですごく違った迫力や美しさがあるように、私は思います。  着氷も、深く沈むタイプでも美しく見せることのできる選手は、美しいポーズで決めてくれますので、また違った魅力として、私は見ています。(笑)

 

 

最後に、今まで日本人で、フリープログラムに4回転を3回入れたことがあるのが、この「本田武史さん」一人だというのも、しっかり紹介されています。(笑)

4回転を3回入れることの精神的な大変さに、本田さんが実感を込めながら語って下さって、番組は終了。

 

では、本田さんの、4回転が3回成功したプログラム2003年の4大陸選手権のフリー「リバーダンス」を、どうぞ。(21歳) ↓

 

 

この中で本田さんは、最初に4回転トーループを、次に4回転サルコウを、そして、動画の2分20秒あたりに、再び4回転トーループを成功させています。

本田さんはこの大会で優勝しました。

(今とは、色々と採点や評価の基準も違いますので、間の取り方等も大きく違います。)

本田さんの演技は、良いもの色々ありますけど、1999年の世界選手権のフリーが、4回転トーループもキレイで、なおかつプログラム全体も素敵だったのでご紹介。「仮面の男」 (17歳~18歳になる頃)

 https://www.youtube.com/watch?v=vgx4st5qJP8

 

2002年ソルトレイク五輪4位の時のフリー「アランフェス協奏曲」(4回転は惜しくもステップアウト、でもプログラムがとても素敵です) (20歳) →https://www.youtube.com/watch?x-yt-ts=1421914688&v=QB1AjoD1oMw&x-yt-cl=84503534

 2003年の「ムーランルージュ」のボレロ (画像は悪いですがこれもプログラムが素敵で、滑りで魅了されます) → http://www.nicovideo.jp/watch/sm15177248 

 2003年世界選手権銅メダルの時のSP「レイエンダ」 (中盤のステップから後半が魅力的)→ https://www.youtube.com/watch?v=x6jEyFyZ1so

他にも、羽生選手が滑ったのと同じ「ロミオとジュリエット」、「sing sing sing」なども好きでした。

 

 

羽生選手の4回転トーループは、成功率も極めて高く、極めて高速で美しいのが特徴ですので、その詳細の科学的分析を試みたものは貴重かなと思い、ご紹介してみました。

フィギュアスケートの魅力は、多面的なものがあると思うので、これが全てではないけれども、ご参考までに。

 

 

 

 

 


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