花餅屋廼徒然書附帖

歌舞伎の世界に魅入られた男の、余りにも刺激的でグダグダ過ぎる日々…

今年は素の『吉例顔見世興行』ですよ…(違)

2008年12月15日 02時27分10秒 | 徒然に歌舞伎噺なと…
ハイハイ、今年も遣って参りました…南座の顔見世です。
平成十二年から連続観劇記録更新中です…って言うほどじゃぁないか(苦笑)
今回は夜の部のみです…流石に此処、数年みたいに昼夜通しはキツイです(涙)
其れに、朝が早いよ…終演時刻も遅いし…昼夜通しとなれば、半日仕事の歌舞伎マラソンとなります…。
で…今年は、避けました…英気を養わないと…先月に東京に行ったのだから、今月は我慢です。

夏の七月大歌舞伎以来の、紅染屋さんと合流して…いざっ!南座に突入だ~っ!
しかし…相変わらずに、すごい人だかりです(汗)

夜の部
第一 傾城反魂香-けいせいはんごんこう-



此のお芝居は二度目です…しかも前回も顔見世でして…。
たしか、猿之助さんが又平をする予定だったのが、ご病気で倒れられて、急遽、翫雀さんに替わられたことを覚えています。
今回は其の折と同じ配役かな…?

近松のお話ですから…勿論、義太夫狂言。
藤十郎さんの当たり役の一つです♪

吃音の又平とおしゃべりなおとくとの夫婦愛を綴るお話しです…。
又平が石の手水鉢に描いた自画像が奇跡を生み、
『かか、抜けた』
という名ゼリフは有名…。
おとくの鼓に合わせて、又平が大頭の舞を舞うところも大きなみどころです。
藤十郎丈のおとく、翫雀丈の又平、狩野雅楽之助に扇雀丈という好配役でご覧頂きます。
…ハイハイ、そうでしたそうでした。
まぁ…上方の山城屋と成駒屋…親子ですが…もう、屋号が変われば…でも家は一緒?
こう言った場合は…やはり、山城屋御一門と言うのでしょうか?

『みどころ』では、簡単に書かれていましたよね…毎回と言うか…二回しか観ていないのですが…。
翫雀さんのドモリは、いささかキツイようにも思えます…。
しかし…しゅん(涙)としたところとか…何でしょうか…絵を画かせたら実力はあるのに、自分の吃音を非常に気にし過ぎて…アカン垂れと言うか…。
愚直な面が程よく出ていたと、私は思いますが…。
ストレスって…気に成り出すと…もう駄目ですよね。
私も、喋りが旨くなので…あがり症だし…ドモル場合もあるしぃ…(涙)

藤十郎さん…もう、言うことありません(苦笑)
此処までお喋りなおばちゃんは…地か?芝居か?
奥様も、奥様ですが…流石は、上方の御大。
遣ってくれますよ(笑)
大好きです♪

……………………。

第ニ 元禄忠臣蔵
   大石最後の一日-おおいしさいごのいちにち-



此のお芝居は初めてです。
同じ『元禄忠臣蔵』でも、『御浜御殿綱豊卿』は観たことがありますが…と言っても、一回だけですが(汗)
新歌舞伎です…見応えがあるか…否か?…其れとも…???
討ち入りの日に観る『元禄忠臣蔵』、楽しみです。

吉良上野介の屋敷へ討入り後、大石内蔵助をはじめとする17人の赤穂浪士の切腹当日の出来事を描いた物語で、『元禄忠臣蔵』の最終篇。
浪士・磯貝十郎左衛門と許嫁おみのの秘められた恋物語が美しい色どりを添えています。

父・白鸚から受継ぎ、自身の当たり役である吉右衛門丈の大石内蔵助をはじめ、歌六丈の堀内伝右衛門、芝雀丈のおみの、荒木十左衛門に歌昇丈、磯貝十郎左衛門に錦之助丈と充実した顔合わせでお楽しみ頂きます。

ハイハイ…やはり、歌舞伎歌舞伎ってモノでは無かったですよ。
でも、大石の心理描写は…流石の吉右衛門丈…いいですよねぇ。
唯、やけに登場人物が多いのは…まぁ、細川家にお預けの浪士だから…省略ってことは出来ないでしょうが…何かなぁ。
台詞が無くても…配役に名前があるのは…微妙。
いや…致し方ないが…此の場合は。
其れ以上に、松次郎さんが小野寺十内って…其れこそ、微妙です(涙)
ご自身も、老人の拵えをするとは…思ってもいなかったでしょうか?

うぅぅぅん…やはり、見得を切ってと言う場面が無いのは…新歌舞伎なら致し方ないでしょうが…寂しいなぁ。

…………………………………。

第三 信濃路紅葉鬼揃-しなのじもみじのおにぞろい-



以前、お江戸の歌舞伎座での上演で好評を博したので…今回、南座の顔見世に登場といった…触れ込みです。
まぁ…私も今回此れがお目当てでして…。
勿論、玉三郎さんの美学の追及ですよね…此の狂言は。

信濃の戸隠山を通りかかった平維茂を紅葉狩りに誘う、美しい上臈と侍女たち。
酒に酔ってまどろむ維茂のもとに、山神が訪れ、危難を告げて、直ちに逃げるように促します。
間もなく鬼女に豹変した上臈と侍女一行が現れ、維茂に襲いかかります--。
 
玉三郎丈の鬼女、海老蔵丈の平維茂、そして仁左衛門丈の山神と華やかな一幕です。
新歌舞伎十八番の内『紅葉狩』を玉三郎さんの美学でアレンジし直した演目ですが…。
舞台は、松羽目を擁した能舞台風でして…うぅぅぅん。
流石に、更科姫とは言わないようです…鬼女とあるのみ…。
上方の役者を応援する者としては、吉弥さんが最近、玉三郎さんや海老蔵さんの舞台とかにもよく出ていられるのが…嬉しいような…引き抜かれたりしないでしょうね(汗)
いつの間にか…成田屋一門ってことには…。
上方勢がお江戸でも出番が増えるのは嬉しいですが…やはり、上方がホームグランドとして、飽くまでも江戸は江戸と言った感じで挑んで貰いたいような…意味わからんが微妙です。

仁左衛門さんが、御馳走役で山神で出ておられたが…御馳走で嬉しいのですが…うぅぅぅん。
其れこそ、微妙…(涙)
まぁ、上方の役者は、二枚目も三枚目も出来て当たり前ですが…まぁ、夜の部しか観ていない者としては…嬉しいかも。

……………………………………………………………。

第四 源氏物語千年記念   
   源氏物語-げんじものがたり-

 
あっ!ピンボケだよ…(涙)

源氏物語が誕生して千年を迎える記念の年に、夕顔を題材とした、情趣溢れる舞台をご覧頂きます。
光の君に海老蔵丈、夕顔に扇雀丈、そして六條御息所には玉三郎丈と、期待の配役で上演致します。
…『みどころ』には、此れだけしか書かれていない…。
で…うぅぅぅん。
ノーコメントと言いたいところですが…流石に突っ込み所が多過ぎて。

一応、舞踊劇と言うお話でしたが…。
余りにも期待していたものとは懸け離れていましたよ…。
まぁ…無理は申しませんが…。

先ずは…惟光…義弟の三河守を呼ぶのを…確か、こう言ったよなぁ。
『みかわのもり』
って…そう聞こえたよ、私には…違っていたか?
あのぉ…此れは…こう書いて、『みかわのかみ』って言うんですよ。
でも…どちらにしても…国守ですよ…三河の国の国司が、あんな平礼烏帽子とは…ましてや、惟光と揃って…袴を絡げて(怒)何ですか!
見分不相応な格好をしてはいけません!!

まぁ…源氏の君…流石に海老蔵丈ですので…美しいのですが…。
余りにも台詞が“素”過ぎて…ドウ此れって感じが…漂う。
まぁ…歌舞伎歌舞伎じゃぁないのはいいけれども…何か物凄く違和感が漂う。
直衣らしき装束は…まぁ、衣裳ですから…無理は言えませんが…烏帽子はいいよ♪

で…問題は、夕顔が出て来ました…演出上仕方ないでしょうが…はぁ(溜息)
袴無しはいかんでしょっ!
演出上…無理ならば…でも、出て来なくても…なぁ。

で、夜になって…夕顔の屋敷に遣って来た源氏の君ですが…。
またもや、此処でも夕顔は袴を穿いていませんよ…うぅぅんん。
考えない。
でも…何時代?あれは一応…袿ですよね…打掛じゃぁない。
袴無しの小袖で…袿を引っ掛けて…室町時代か?←ヲイッ!
深夜になって…現れたのが…玉三郎さん演じる六條御息所ですが…どうも生霊らしい。
じゃぁ、本体は?…???
でも、まぁ…此処で現れた物凄く高貴な御息所までもが袴を着けていないのですから…もういいか…(涙)
怖いですよ…綺麗ですよ…美しいですよ…妖しげですよ…でも、生霊です。
しかし…此の生霊…夕顔を呪い殺して去って行くのですが…これまた、薄絹のような袿を被衣のように頭から被って…引っ込んで行きました…。

で、私思うのですが…確か学生の頃は、御息所と書いて、『みやすんどころ』と読んでいたと思うのですが…今は、『みやすどころ』って読むようですね…でも、其の時代の呼び方で呼ぶのが一番だと思うのですが…まぁ。


さて…今回の顔見世、此れにて喜利となりますが…此れで今年の歌舞伎の総仕上げというか…大喜利となりましょうか?
何か…チョット…複雑。
踊りというか…舞踊で華やかに…一年を締め括ってっ!
来年も宜しくって言うのが…元々のというか…顔見世でしょに。
何か…物凄く、消化不良…。

見得もなければ、大向こうさんの掛け声も掛からずに…緞帳が下りるのは…いいのか?!
華やかに打ち出しって感じにはなれないぞ~っ!

まぁ…今年は久し振りに襲名披露の掛からない顔見世となりました。
其の通り…全くの“素”のままの顔見世で…でも、吉例となるのか…(汗)



劇場を出て来ましたが…案の定、紅染屋さんは、怒り狂っています。
うぅぅぅん…装束好きに言わせれば…此処まで度が過ぎると。
キツイです…。

ブツクサと…ボヤキながらも家路にとつきましたとさ(汗)
また、来年~ッ!♪


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2 Comments

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わはははは。 (紅染屋)
2009-02-17 04:49:55
怒り狂った帰り道の巻き添え、すんませんでした……。
いや、あれから二ヶ月経ってもあれだけ日記に書ける恨み節は我ながらすごいなぁ、と。
まぁそれだけ破壊力があったからなんですが。
えーと。
「傾城反魂香」のどもり芸は素晴らしかったし、初めて本業やってるきっちーを観れたのでよしとします。
花餅屋さんの日記で「そうやん、顔見世やのに、大向こうの声もかからん仕舞い方って何よ……」とまたむかついてきたなんてことはございませんですよっ。
えへへへへへ~。 (太夫元)
2009-02-17 23:24:00
紅染屋さん、こんばんは…其の節は、どうもです。

>怒り狂った帰り道の巻き添え、すんませんでした……。
イエイエ、ドウ致しまして…幾ら衣裳だとわかっていても…装束すきから言わせて貰えば…キツイですものね。

>いや、あれから二ヶ月経ってもあれだけ日記に書ける恨み節は我ながらすごいなぁ、と。
いやはや…『王様の耳はロバの耳』状態だったのでは?誰かに言いたくて、言いたくて…積もり積もって…エライコトニ(汗)

>まぁそれだけ破壊力があったからなんですが。
はい、新作とは…そう言ったエネルギーが漲るものです(違)

>花餅屋さんの日記で
>「そうやん、顔見世やのに、大向こうの声もかからん仕舞い方って何よ……」
>とまたむかついてきたなんてことはございませんですよっ。
…其れは、其れは…(滝汗)
どうぞ…むかつかなくても…キレナイデ下さいね←コラッ!
じゃぁ…この紅染屋さんの好演に…一丁っ!
『っそめや~っ!!』(汗)

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