久しぶりの更新になってしまいましたが、私はまだ生きてます
今日は、男爵邸シリーズ最新版!男爵邸でのその後の報告をば。
男爵夫人の別の顔に書いたように、コーンウォールから戻った奥方様は、
態度を改めてくださって今日に至っています。
以前なら地雷を(私が)踏んでしまって険しい表情ととげとげしい口調になっていただろうと思われる場面でも、
ぐっとこらえて穏やかでいるよう努めておられるのがわかります(←目が笑ってないからわかる)。
なので仕事環境は大きく改善されました。
しつこくもまたまた男爵邸のダイニング・キッチンです。我家のキッチンの何倍の広さだろう。
対角の位置から見たところ。
戸棚のうち、取っ手がついているのが冷蔵庫。右側の白いドアの向こうにシンク・洗濯機・冷凍庫などのある小部屋。
冷蔵庫の左は缶詰や瓶詰の収納庫、右は食器戸棚。
普段使いのグラスと食器が収納されています。
奥方様が娘さんからプレゼントされたという、九谷焼の大きなお皿のセットもありました。
8日前にはスターリング・ケアのケア・マネージャーと男爵一家の間でミーティングがありました。
ケア・マネージャーが男爵邸にやって来て、奥方様・男爵のご次男・奥方様の
娘さんとの計4人でダイニング・テーブルを囲んで(男爵殿はベッドでうたた寝していたのでわざわざ起こさず)、
ケア内容の見直しと確認や、これまではっきりしていなかったヘルパーに託される仕事の範囲や線引きが、
両サイドの合意のもとに取り決められました。
ミーティングは私の仕事の週にあったのですが、ケア・マネージャーには私が出席する必要はないと言われていたので、
私は奥方様のため車で食料品の買出しに行っていました。
(私の仕事がオフだったその前週、ミーティングに先立ち「何か取り上げて欲しい点はあるか」ケア・マネージャーにメールで
訊かれていたので、いくつか挙げておきました。)
私が買物から戻ったとき、ミーティングはちょうどお開きになったところで、私はケア・マネージャーから口頭で、
仕事内容の変更を伝えられました。主だったものは、以下の通りです。
まず掃除。男爵邸には毎週月曜日の午前中に掃除に来てくれるスーさんという女性がいて、奥方様はこのスーさんが
お気に入り。以前は「私はスーがしてくれることは一切変えたくない」と、私たち住み込みヘルパーは言われていたんです。
でもミーティングで話し合われた結果、男爵殿の寝室とバスルーム(シャワーしかないですが)の掃除と寝具カバーの取替えと洗濯は、
私たちの仕事になりました。当然ですよね。私たちは毎日いるのだから、その方がずっと効率的です。
それにバスルームの掃除は、朝の身支度介助のあとどのみちやっていたことだし。
男爵殿の衣類の洗濯も、男爵殿の着替えを介助するのは私たちなので、私たちの仕事になりました。
これも奥方様の了解のうえ、すでに私たちがしていましたが。
それから、これまでは奥方様、なぜかタオルの保管場所を私たちに教えたがらなかったんです。「スーと私の間で管理しているから」と。
でも話し合いの結果、男爵殿のタオルは奥方様のや客用のとは別の一箇所にしまわれ、いつでも私たちが使えるようになりました。
寝具カバーも同様です。
薬も、男爵殿のものに限っては、今後はすべて私たちヘルパーが管理することに。
男爵殿の健康状態に懸念が生じたときも、私たちヘルパーの判断で医者に見せられることになりました。
最後に買物です。奥方様が「買物は自分で行く」ことにこだわる理由のひとつは、自分で行けばカードで支払いができるけれど、
私たちに頼むと現金を渡さなければならないことでした。
男爵邸にはお掃除をしに来るスーだけでなく、広いお庭の芝刈り専門の庭師さん、植木の刈り込みや草花の手入れ専門の庭師さんが
毎週やってきます。
奥方様、彼等には現金払いするのが習慣になっているので、それ以外には現金はできるだけ使いたくないんです。
というのも、一度にATMの上限の4倍くらいの現金を引き出したいので、そのためには車で8kmほど離れた
銀行の窓口に出向かなければならないからです。
話し合いの結果、その点に関しては、ヘルパーたちが使えるカードを男爵殿の次男さんの助けを借りて申請することになったそうです。
もちろんそうなると、レシートとカード使用明細書を奥方様が毎月チェックしなければなりませんが、奥方様もこれに同意されたそう。
よかった、そうなれば買物がずっとラクになるでしょう。献立を決めたあと、足りない食材を買いにぱぱっと出かけられて。
運動不足解消のため、一週間の住み込み中、午後2時間ある休憩時間には、天気が許す限り散歩に出ています。そして住み込みの終わりが見えてきた頃、自分へのねぎらいとして一度だけ、カフェでケーキとドリンクの贅沢
といっても男爵邸がある村には、カフェは2軒しかないんですが。 (2軒あってラッキーだったと言うべきか。)
(毎回£5も遣うのももったいないな・・・)とケチ心が起きたときは、アイスを買ってきて男爵邸の庭で食べたり。
その後の奥方様は、努力して自分を抑えて私たちに対して好意的に振る舞ってくれています。
それを見ていて私も、自分でも驚いたことに、奥方様に好感をもちつつあります。信じられない!
(このクソBBAが!私は絶対こうはならないぞ!!)なんて思っていたのにね。
それでも私、やっぱり転職して別の介護サービス供給事業所で働きたく、ネットでサーチを続けています。
理由は、現在勤めているスターリング・ケア!
8日前の家族とのミーティングのあと、てっきりケア・マネージャーはミーティングの結果を文書化して同僚のマーガレットと私に
送ってくれるものと思っていました。なのになしのつぶて。驚いたことにマネージャーときたら、ミーティング翌日から
ホリデーに入ったそうなんです。信じられない。
ミーティングで決まったことはどれも、実際に男爵邸で働いている私たちにはすぐさま知る必要のあること。
翌日からホリデーが入っていたって、ミーティングの要点だけでもマーガレットと私にメールしてくれられたのでは?
そんな訳で一昨日の申し送りの際も、私はマーガレットに口頭で覚えているかぎりの新しい“ルール”を伝えることしかできませんでした。
このこと以外にも、スターリング・ケアには(・・・?)と思うようなことがあれこれありまして。
夢の住み込み介護の冒頭にも書きましたが、男爵邸で働くことになる前にも私、スターリング・ケアからは
十分に仕事が入りそうになかったし不満もあったので、派遣会社に登録しようとしていたんです。
なので今回の、ミーティングの結果を通達することなくホリデーに入るというケア・マネージャーの行為は、私に最後の一押しをくれました。
いくら口で「難しい状況下でよく頑張って働いてくれて、本当に感謝しているのよ~」なんて言われても、もう信じません。
スターリング・ケアのスタッフに対するサポートの乏しさにはウンザリです。
じつはマーガレットも同じ気持ちで、別の雇用主を探しているそう。
そうなると気の毒なのが、男爵ご夫妻。奥方様はミーティングのあと、
「私たちはマーガレットとゴン(私のことです)の仕事ぶりにとても満足しています。今後もこれまで通り、二人に交代で
働き続けて欲しいわ。」などと言ってくださっていました。
マーガレットと私が続けて辞めてしまうのは気の毒だなぁ・・・ 仕方ないけど・・・
不安定な天気も過去のものとなり、ようやく初夏らしい好天気が続くようになりました。
夕食前にワインを片手に前庭でくつろぐ男爵夫妻。
男爵ご夫妻は、来年結婚40周年を迎えるそうです。お二人は過去に、何度こうして二人きりでワインを楽しんだことか。
ここに越してくる前、本邸に住んでいた頃は、総勢70人のクリスマス・パーティーを催したこともあったそうです。
それでも使用人はすべて通いの人たちで、住み込みの使用人を置いたことは一度もなかったそう。
それを聞くと、奥方様が、住み込み介護ヘルパーという赤の他人を受け入れることに困難を覚えたのも、無理はないですね。
一昨日までの一週間で奥方様に好意を持ち始めたところなのに辞職するのは残念ですが、やむを得ません。
辞職するときは、奥方様にはもう何の問題もないこと、ただただスターリング・ケアに失望したことだけが
辞職の理由であることを、明確にしなくては!と思っています。
でもヘルパーが入るまでは高齢のご夫婦の二人暮らしでしたから、それほど量は食べないし、十分だったのではと思います。
90歳の奥方様は車で買物に行かれますし(ヘルパーが入ってからは週一の頻度になりましたが)、村に一軒だけある商店でちょっとしたものはその都度買い足せるので、それでまかなえています。