昭和・私の記憶

途切れることのない吾想い 吾昭和の記憶を物語る
 

旅情 ・ 兼六園

2021年06月29日 12時25分16秒 | 5 青春のひとこま 1973年~

昭和48年 (1973年) 7月
親友・長野と二人で旅をした、
心の旅 のプロローグ である。

イメージ画像は2015年  書込みは昭和48年 ( 1973年 )の記憶
真弓坂 から 兼六園に入った吾々、以後の経路は定かでない。 確かなことは記念に撮った写真だけである。
しかし、食堂やテニスコートは確かに存在した。ただ、それらの場所が何処にあったかは記憶しない。


午後11時半頃

大阪駅から特急列車に乗り、金沢へ向かった。
路行き、お互いの積もる話で花が咲いた。
若い頃 専らの関心と謂えば、やはり 女性とのロマンス。
此は、古今東西 普遍のもの。
「 是、読んでくれ 」
親友・長野、日記を出した。
そこには、彼が想いを寄せる女性との出逢いが綴られていた。
整ったきれいな文字で しっかりした文章で、それが いかにも彼らしかった。
「 先を越されてしまった・・・」
それにつけても 旅はいいもんだなあ。 ・・そう想った。
そして、旅の解放感もあって二人は夜を徹したのである。

寝袋の青春

暁払いの四時半頃、 金沢駅に着いた。
「 いざ、兼六園 」 ・・と、勢い駅舎を出た。
そこで最初に目にしたものが、ロータリーの舗道に横たわる、大きな蓑虫・・・だった。
「 なんやろ 」 と、通りすがりに覗いて見ると。
なんとそれは、
 『 寝袋 』 に包くるまって眠っている若者の姿だった。
「 ディスカバー・ジャパン、一人旅する若者が自転車で全国を周る 」
・・という話、テレビから雑誌から承知していた。
しかし、私の脚下で平然と眠る若者の姿を目の当たりにして、
その大胆とも謂える行為に感心したのである。
「 彼等にとっては、これが青春なんだ・・・ろう 」
・・と、そう想った。
しかし、それは あまりにも 無防備であろうが。


地図も持たずに、
只ひたすらに兼六園へと向かった

途中に、私の目を牽いた (当時) 金沢一髙いビル

食べられなかった親子丼
30分は歩いたろうか。 兼六園は目の前、其処にある。
( 真弓坂 ) 入口前に一軒の食堂を見つけた。
「 朝飯にしようや 」
幸運にも、朝早い時間にも拘らず店は開いていた。
ところが席に坐ったところで、
それまで意識もしなかったのに、食欲がないことに気付いたのである。
とりわけ食べる気がおきない。 否、何も食べたくないのだ。

相棒・長野も同じ状態だと云う。
五時という早朝の所為もあろうが、やはり 一睡もしなかったのが祟たたった。
メニューから適当なものを探したけれども、そんなものあるものか。
しかし、店に入ったからには 何か注文しなければなるまい。

「 親子丼なら 食えるかな 」
と、強いて注文した。 ・・・・のだけれど。
一口、つけただけ。 それだけで次に続かない。
躰が拒絶しているのである。 ・・・これはもう、どうしようもない。

揃って、箸を置いた

『 食べものを残してはなりません。粗末に扱ってはなりません 』
此が、吾々が子供の頃 大人達から享けた訓えだ。
「 すいません 」
吾々は、ゆっくり休憩も出来ずに、逃げる様に店を出たのである。

初めての旅ゆえ、不慣れは当然のこと。
しかし、体調を考慮するは基本の基本、それがスケジュールと謂うもの。
金沢駅に着いたところで、休息しておればよかったのだ。
・・・この事、おもい知らされた吾々であった。

兼六園・真弓坂から階段を上って園内に入る。
親子丼は食えなかった。 とはいえ、別に 『 しんどい 』 とは、想わなかった。
元気溌溂 だった。
なにせ、

社会人となって初の旅行。
これぞ日本三名園の兼六園 ・・と、
感慨一入、
興奮の中、歩いていたのである。
     
金沢の兼六園  花見橋の私   雁行橋の長野             どの辺りか不明・・残念

   
石川門 と 石川橋                   茶店通り                               徽軫灯籠


あなたを待つの テニスコート  木立の中のこる 白い朝もや
あなたは来るは あの径から  自転車こぎ 今日もくるわ
今年の夏忘れない  心にひめいつまでも
愛することをはじめて知った  二人の夏よ 消えないでねどうかずっと
                                        ・・・天地真理 ・ 「 恋する夏の日 」

旅情
快晴の夏空、陽射しが眩しかった。
しかし、ちっとも暑くはなかった。
園内をずっと上って行くと、テニスコートがあった。
爽やかな空気の下で、
白の上下を着て溌溂とプレイする、若い女性達の清々しい姿があった。

吾々は、人が入らない濠端の石垣を背にして腰を下ろした。
そこから 金沢の街が眺望できた。
二人 語ることもなく
前方に拡がる景色を トップリ 眺めたのである。
その時、フト
「 カーディガンに暑中見舞を送ろう 」
中学卒業して以来、年賀状すら出したこともないのに。
なぜか知らん・・・そう想った。
隣で肩を並べて同じ景色を眺めている親友・長野が、
何に想いを巡らしていたかは知らない。

天を仰いで小休止。
ウトウトっと・・・そのまま 眠った。
さもあらん。


コメント    この記事についてブログを書く
« 心の旅 | トップ | 鉄腕アトム »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。