愛ーエステ

長年のエステティシャンとしての経験を生かし正しいスキンケアをお伝えします。

西京区・桂・シミ・シワ・タルミ・リフトアップ・小顔専門店

2019年11月22日 | 美容

 

「ての字」

 

 

高校時代、手相を見るのに病みつきになってしまった男の子がいた。

 

 

 

頼みもしないのに五味康佑の本を片手にすり寄ってきて

 

 

 

「さあ、手相を見てしんぜよう」と言う。

 

 

 

彼は柔道部に所属していて最初は無条件でいうことをきく、

 

 

 

後輩をつかまえては手相を見ていたが、

 

 

 

あまりにしつこいので段々、

 

 

 

後輩も彼を避けるようになった。

 

 

 

そこで今度は女子に目を向けた。

 

 

 

ある日、授業と授業の休み時間に彼は私に

 

 

 

「手相を見てあげる」と言い、

 

 

 

乗り気じゃない私の手のひらをのぞきこんだ。

 

 

 

 

「どれどれ」と彼が目を輝かせた。

 

 

 

 

そのとたん「ひゃーー、こりゃなんだ」と叫びゲラゲラと笑いだした。

 

 

 

 

何で笑われるのか?わけがわからず、

 

 

 

むっとしていたら彼は皆に「こいつの手相、変!!」と言ってまた笑うのだ。

 

 

 

 

「どれどれ」と皆が私の手のひらをのぞきながら

 

 

 

「あらーーっ」と言うではないか!

 

 

 

 

私の手相はものすごく単純で細かいシワがほとんどなく、

 

 

 

掌にくっきりと「て」の字の筋があるだけなのだ。

 

 

 

 

「おい、左手も見せてみろよ」無理矢理、開かせた左の掌には、

 

 

 

やっぱり逆「て」の字が書いてあった。

 

 

 

「これは手相、以前の問題だ」

 

 

 

さすがのしつこい彼も、この手相には観念し、

 

 

 

ひとこと「おまえは、変」と言うので「ねぇ、私ってどんな運命?」

 

 

 

と聞いても聞こえないふりをしていた。

 

 

 

それから私は名字を失い、

 

 

 

卒業するまで「おーい、「ての字」」

 

 

 

と皆に名前がわりに呼ばれるハメになったのであった。

 

 

 

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