花夢

うたうつぶやく

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006:自転車のうた

2006年09月16日 | 題詠2006感想
自転車って青春の王道ですねー。
その中でも好きな色はこれです。


自転車の後ろに乗せるひとがもうわたしではなくなって花冷え
田丸まひる

「花冷え」ってとても綺麗な言葉で好きなんだけど、
綺麗すぎて「効果」だけを狙って使われがちな言葉だと思う。
(私が作歌するときに、よくハマるのですが・・・)

そんななかで、このまひるさんの「花冷え」は収まるべき場所に収まってきたな。
と思わせられる、とても空気感のある作品でした。
この最後の「花冷え」はオチのように最後にパチンと決める。というより、グラデーションの最後の色。って感じがします。
この「花冷え」は、ただ最後に与えられた結果でしかないようなイメージ。

緩やかに温度が変わっていく果ての花冷え。
それが心の温度と連動していて、しずかに、しずかに沁みこんで来ます。



倒されてよりよいかたち見せているわたしの青いよわい自転車
村上きわみ

村上きわみさんの作品は、どれも題との接し方がなにかちょっと違うので、かなり引き寄せられます。
なんなのでしょう。
この「自転車」も、先にとりあげさせていただいた「風」の短歌も、
なにか、もののもつ個々の性格のような雰囲気を捉えているように感じます。

“もの”を詠んでいても、それは単純な“もの”ではないように感じるのですね。
“もの”自身が纏っている濃厚な空気みたいなものを掬っているような気がします。
だから、風も、自転車も、ただの“もの”ではない。
それらは、人間の周りに存在する道具としてではなく、
存在感のあるひとつの“もの”として捉えているように感じます。

世界の接し方がとてもやわらかく、そしてひそやかな重さを帯びているように感じます。



自転車で走る海岸通りこの風景とまだ溶け合えないまま
フワコ

この作品を読んで気づいたのですが、
自転車って、風景と溶け合いやすいものですよね。比較的。
自転車の走る光景ってのはたいてい、絵になるのです。
青春の1ページみたいな。

しかし、ここでは、「風景とまだ溶け合えないまま」と言っています。
自転車で走る海岸通りなんて、とても自転車に似合う風景なのに。
風景と溶け合えない。

こころになにかわだかまりかなにかあるのかなぁ。などと思います。
なにか、その海岸通りを漂う空気と違う空気を自分がまとっていて、
だから、溶け合えないのではないだろうか、と。
こころがなにかに捉われたまま走っているような。そんな印象を受けました。


風景と溶け合えないようなこと、感じることがある気がします。
ひどく落ち込んでいるのに、美しい夕焼けが空にひろがっている日とか。



まったくの余談ですが、
一青窈の「今日わずらい」という歌に
「使い道ない景色」
という歌詞が出てきて、お気に入りのフレーズです。

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2 コメント

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大人の青春。 (田丸まひる)
2006-09-22 22:43:58
追いかけていいかどうか、

迷ってしまうものが増えて、

大人になってしまうと思う今日この頃です。



花冷え、ありがとうございます。

関係は、じわじわと変わっていくものですね。



きわみさんのこの歌、わたしも好きです。大好き。

強くないものに注ぐ視線が、やさしいの。

ありがとうございます。 (花夢)
2006-09-23 13:30:15
書き込みありがとうございます。

まひるさんの作品は、うっかりするとかなりの割合でひろってしまいそうです~。



まひるさんは、大人になっても、自分のなかのほんとうを見失わないのだろうなぁ、と思ってます。

羨ましい。





きわみさんの言葉は、とてもしなやかな感じがします。やわらかいですねー。

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