4月9日。
昨年のこの日、胸部動脈瘤手術のために東京に向かっていた。
10日に入院することになったので病院近くのホテルに前泊する。
地元の大学病院の医師から「そろそろ限界の大きさになっている」と告げられていた。
3月上旬から中旬にかけて2度外来での診察を受けに東京まで出かけ、心臓外科部長の
教授に「手術しないと死ぬよ」と言われた。
3月中にも手術ができると言われたけれど、3月下旬は旅行の計画をしていたのと
1人暮らしの身にはいろいろしておかねばならないこともあってこの日・4月10日に
入院を決めてきたのだ。
幸い、5月中ほどに無事退院してきた。******
それから1年。今年の4月9日。
北陸の温泉に行くために「しらさぎ」に乗った。
富山・大牧温泉は風景は昔夫と来たときのままだったが、違ったのはここが
ロケ地になった出演者の写真が廊下に何十枚も張られていたことである。
また、ふすまにガラスがはめ込まれているので不思議に思ってよく見ると
鶴太郎の4枚の襖絵だった。
これらと「秘境」との兼ね合いはどうだろう?
この温泉が舞台になったテレビドラマは何作も見ている。
それを見て一度行ってみたいと思った人は多い。
でも、ロビーから続く長い長い廊下に張り出された写真の中を通りながら
ふと感じた感想である。
「秘境」けばけばしい宣伝より静かでひっそりたたずんでいたほうがよいな。