エドワード８世（１８９４～１９７２）は、
離婚歴のあるアメリカ女性と結婚するために
イギリスの王位を棄てました。
１６年間も愛人関係にあった間に
エドワード８世は、２６０通を下らない恋文を
彼女に送っていたとのことです。
エドワード８世は、
離婚歴のある平民のアメリカ人女性のウォリスと結婚するために
グレートブリテン王国成立以降、
歴代最短の在位期間３２５日でイギリス国王を退位しました。
乗馬、ゴルフ、パグパイプの演奏等々、
多趣味で知られていたエドワード８世は、
派手な女性遍歴からプレイボーイとしても有名だったようです。
そんなエドワード８世が運命の人との出会いとなる
アメリカ人の既婚者女性ウォリスとの交際が
１９３１年頃より始まります。
このウォリスは離婚歴があり、
しかも交際当時は、れっきとした人妻だった。
つまりは不倫関係が始まったことになります。
しかも、しかも、しかも、
イギリスの君主は、イングランド国教会首長を兼務しているので
イングランド国教会では離婚は禁じられていることを
重々知っているはずなのですが
当時、人妻のウォリスを無理やりに離婚させて
王太子妃として迎え入れようとしていました。
エドワード８世は、完全に恋は盲目状態で
首相らが出席しているパーティーの席上で
ウォリスの夫に対してなんと言うことか
「さっさと離婚しろ！」等と恫喝した挙句に
暴行を加える騒ぎまで引き起こしました。
でもまあ交際して数年後に分かれるような
熱情に突き動かされただけの恋じゃなくて
胸の奥でリンゴ―ンと鐘の音が鳴り響くような
運命の人であるなら、どれだけ非難を受けようが
突き進むしかないかあ。
エドワード８世は、ワンチャンに賭けていたのかも知れませんが、
離婚を禁じている国教会の首長が離婚をさせようとするなど
もっての外で絶対に許されることではなかったので
ならばと国王を退位してウォリスとの結婚を選ぶという
とんでもない選択をします。
エドワード８世のこうした行動は、
『王冠を賭けた恋』として呼ばれています。
退位後は、ウインザー公爵の称号を与えられ
約半年後にウォリスと再会し念願の結婚を果たし、
１９７２年５月に食道癌が原因で亡くなるまで
二人の熱い関係は続きます。運命の人だったあ。
イギリスの君主と言う途轍もない重責ある立場でありながら
我が心が求めるままに突き進んだエドワード８世って
突き抜けた自分勝手、超我儘、無責任男と見るのか、
どの様な障壁が立ちふさがろうとも突き進む強い男と見るのか、
私には一生、答えが出せないだろうなあ。
思い出したのですが
以前見た映画『英国王のスピーチ』で物語の中心となるのが
エドワード８世（ウインザー公爵）の弟のジョージ６世。
なかなかの映画だったなあ。
この映画は、吃音に悩むイギリス王ジョージ６世と
その治療にあたったオーストラリア人の言語療法士ロークとの友情を
史実に基づいて描いた作品でアカデミー賞で４部門を受賞しました。
この映画の物語の中心人物のジョージ６世をアゲアゲにするためか、
この映画内に登場するエドワード８世（ウインザー公爵）は、
良い印象を持てる感じには描かれていなかった記憶がありますが、
父親のジョージ５世から見たエドワード８世、
母親から見たエドワード８世。
弟のジョージ６世から見たエドワード８世。
イギリス国教会から見たエドワード８世。
運命の人ウォリスから見たエドワード８世。
エドワード８世に仕えた一人一人から見たエドワード８世。
イギリス国民から見たエドワード８世。等々、
それぞれの違ったエドワード８世像があるはずで、
何が実像により近いのかなんて言えるものではありません。
同じ人物なのに伝え方一つ違えば、
全く違った印象を受けてしまうのが面白いし、
怖いところです。
伝えるものが悪意を持って伝える。
悪印象を持っている者の主観によって伝える。
その人の真意を理解せずに勝手な解釈、理解で伝える。
こんなことって私達の日常のすぐ近くに
当たり前のように存在するんですよね。
誰かの誰かに対する印象って
正しくもあり間違いでもある。
誰かが語るその人の評価や印象は、
その人のその時点の印象でしかなくて
その人そのものではないので
半分は受け取って半分は保留しておく方が
良いかもね。
