作:ルース・エインズワース/訳:荒 このみ/絵:山内 ふじ江/福音館書店
この時期にぴったりの、優しさにあふれた童話です。作者は『こすずめのぼうけん』も書いているエインズワース。
貧乏なおじいさんのもとに、お腹をすかせてびしょぬれの黒ねこが訪れます。おじいさんは、家にあったとっておきの食べ物をみんな黒猫にやってしまい、大切な薪も黒猫のためにすべて使い果たしてしまいます。それでもおじいさんは、黒猫を追い出すなど思いもよらず、ねこの存在を温かく感じながら眠ります。
『マーロンおばさん』というお話や、日本なら『笠地蔵』に似ています。貧乏だけど、持っているものはみんな困っているものにやってしまう。でも、神様はちゃんとご存知で、ある「報い」がおじいさんにもたらされます。
瀬田貞二さんの『幼い子の文学』という新書の中で引用し(瀬田氏の訳で)、エインズワースの構成のうまさなどを話題にしていました。この本の訳者は瀬田氏ではないのですが、善人が報われるいいお話として素直に胸に落ちる物語になっています。
とはいえ、集団の読み聞かせにはあまり向かないかな。絵がとてもイメージにあっていて美しいので、1対1でゆっくり読みたいような絵本です。
息子は「(題名から)猫のところにお客さんが来たのかと思った」と言っていましたが、一応全部読んでいたみたいです。
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