きのうは『エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人』のオンライン読書会でした。参加者は5人。
エリザベス女王2世(90歳)が、ウィンザー城で起きた殺人事件を解決に導くミステリー小説です。
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一人ずつ感想を言う順番は、主催者様が画面上の並びでご指示くださいます。私はいつもギリギリか遅れて出席するせいか、けっこう最初の方になることが多いです…。
きのうも最初だったのでしどろもどろで「女性たちが男たちに一矢報いる話かと思ったのですが、ちがくて、女王ほめほめ小説」ですね、などとブログに書いたような話しました。
概ね共通した感想は、女王や周辺の人々のキャラクターが魅力的で、読後感がいい。ミステリーというよりそれぞれの人物像や背景が面白い話、という感じでしたね。
■「おばあさん」が見下される構造
みなさんの感想をきいて、同じことでも捉え方の角度が違っているなと感じられるのが、また面白かったです。
たとえば、保安局長官のハンフリーズが、女王陛下をまるで無知で耄碌したおばあさんのように考えている(無意識に態度に出る)ことについて。
私は「女王陛下といえども高齢女性というだけで見下される」と感じて憤慨を表明したわけですが。
八方美人男さんは「ということにしつつ男たちを手のひらで転がす」という面白さを語っておられました。確かにそういう話になっていましたね。
他方、くらさんは「(そういうことにしておくのは)すごい男尊女卑の世界」というご指摘。よくいう“かかあ天下”という言葉でうわべだけ持ち上げて、不公平を温存させている…といった構造を批判されていて、これもなるほどなと。
そして、実権はないけど最高権力者という看板を持ち続けなきゃいけない、国民に愛されないとやがて命さえ危うくなるという、現代の「王室、女王陛下」の奥深さ、立場の難しさがわかる話でもありました。
■シスターフッドの物語
あと私は、女王陛下の密命をうけた秘書補佐のローズが活躍することから、これは「話を聞かない男たちと戦う女性たちの話」だと感じ、しかし最後まで読んだらそういう話でもなかった…と思ったわけですが。
読書会ではきなさんが「これはシスターフッドの物語」と言って下さったので、あ、確かにそういう側面の強い話ではあったんだなと感じて嬉しかったです。女の連帯ですね。
※シスターフッドとは、1960年代から70年代にかけての女性解放運動でよく使われた言葉で、男性優位の社会を変えるため、階級や人種、性的嗜好を超えて女性同士が連帯することを表すもの。(ネトフリ宣伝サイトから引用)
日本でシスターフッドの物語といえば、清少納言と定子中宮を描いた「むかしあけぼの」(田辺聖子)と教えて頂いたので、こんど読んでみたいと思います!
■そのほか
「王室のしくみが垣間見える、王室お仕事小説として面白い」
「(2016年の時点で)プーチンはすでにオフィシャル悪者として書いていいことになってるのが面白い」
といった声がありました。確かに~。