上遠野浩平／講談社タイガ
（読書会の課題本）
半仮面の戦地調停士ED（エド）が探偵的な活躍をするファンタジー。
初めて読む作家でシリーズ三作目からという暴挙だったので読む前は面白いのか不安もあったけど、アニメ的なエンタメという感じで十分楽しめた。
あらすじ＞世界規模のマフィアのような海賊団が海上に作った都「海賊島」に、あるリゾート地で起こった密室殺人の容疑者が逃げ込んだ。殺されたのは聖ハローラン公国から追放されていた夜壬琥姫（やみこひめ）。姫は水晶に閉じ込められ、芸術品のように亡くなっていた。
容疑者を引き渡すよう帝国軍が大艦隊で海賊島に迫るが、引き渡しを拒否した海賊は仲介役に女性軍人レーゼ・リスカッセを招聘する。一方、レーゼの仲間である戦士調停士EDは、姫殺害の謎解きへ赴く。
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密室殺人の謎解きといっても魔法や呪い術が使えるファンタジーな世界では意味ないんじゃ…と思ったけどそのへんはあんまり重視していないっぽい。いや、しているのかもしれないけど気にしだすと話には乗れなくなりそう。
登場人物が多くて誰のどのエピソードが軸になっていくのか把握するまでが長く感じてしまった。が、海賊の頭インガ・ムガンドゥ三世やパパたちの継承譚は引き込まれた。風の騎士などそれぞれのキャラクターも魅力的に仕立ててあったように思う。
要人殺人事件や戦争寸前の大騒ぎがなぜ起こったかを突き詰めると、結局かなり個人的な事情だった、というのが人を喰ったような感じで好き嫌いが分かれるところかも。まあ私は嫌いではなかったかな。突っ込みどころは色々とあるのだけど、そういうものだと思ってあんまり気にしないようにしていたので普通に楽しめた。
