花日和 Hana-biyori

ブックトーク講習会

ここ2年ほど、小学校で推薦図書を薦めることがあり、「子どもに本を薦めるツボ、コツがあったら知りたい」ということで、市立図書館から講師のかたをお招きし、ブックトーク講習会をやってもらいました。

すると、ブックトークというのは自分たちが思っていた、単に「子どもに本を紹介する」ということではなく、図書館のスタンダードは、1つのテーマにそって、あるいは何らかの関連を持たせて異なるジャンルの本を複数冊紹介していくことだと教わりました。

 * * * 内容の覚書 * * *

なぜ異なるジャンルの複数冊にするか

「複数の子どもを相手に本の面白さを伝える」というのが目的のため、物語だけ、ノンフィクションだけというのでは、興味のない子にとっては「自分は本に興味が持てない」ということになる。

読み物、図鑑、ノンフィクション、科学知識、社会問題や絵本・なぞなぞのようなオモシロ本など、なかば無理やりでもテーマに合わせて多彩なジャンルを紹介することで、子どもたちの趣味・嗜好を疎外しない。どれか一つでも興味を持ってもらえるようにする、という狙いがあるとのこと。

選び方、注意点

・中学年以上が対象。低学年は一緒に読んであげるほうがいい。子どものグレードにあっていること(全部でなく、少し難しい本を入れてもいいが)。
・基本的には自分の好きな、子どもに紹介するに値する本(昔から読み継がれてきた本など)を選ぶ。
・ただし、お披露目会ではないのでショーのようにしない、詰め込み過ぎないといった注意が必要。
・深刻な本(戦場ジャーナリストの本、3.11の本、等)は、できれば1冊くらい。事前に確認が必要なことも。語り手が内容をちゃんと消化していること、一定の覚悟も必要。

【実例】 (展開を考えたシナリオを作り、声を出して練習すること)

*テーマ【のびーる、のびる】

「まあちゃんのながいかみ」絵本。表紙の絵を見せてまあちゃんの説明をし、面白い場面に付箋し、展開が気になる場面で止めて、ブックスタンドに立てて紹介を終える。

「髪がつなぐ物語」ノンフィクション。ヘア・アドネーションの説明、髪を寄付する活動で、1人ぶん作るのに何人の寄付が必要でしょう?など、「へえ」というような知識の部分を問いかけながら展開する。数字やデータ、定規を出すなど分かりやすく。

「どんどんのびる草」科学絵本。実際に数字を具体的なモノ(教室ぐらいの長さ、等)に例える。

「長くつしたのピッピ」物語。表紙をみせて、ピッピがどんなにヘンテコな子なのか説明。ピッピのフルネームを長い紙に書き、巻紙にして広げてみせるなど、インパクトを与える。


*テーマ【すてきなお仕事】

「おおふじひっこし大作戦」写真絵本。きれいな大藤の写真を最初に見せ、樹木医の紹介。

「泥だらけのカルテ」ノンフィクション。東日本大震災の身元不明者の捜索に当たる歯医者さんのノンフィクション。体のなかで一番硬いのが「歯」で、日本は9割が歯医者さんに通院歴がある等紹介。

「伝説のエンドーくん」連作短編集。学校じゅうに落書きがある”エンドーくん”。落書きの一部を読み上げ、「エンドーくんって誰なんだろう?」と終える。

「お仕事ナビ」写真が多い天文学者の紹介本。今年ブラックホールの撮影に成功したという新聞記事を最初に紹介し、どんな一日を送っているかというページを紹介していく。

「ザ・裏方」写真が多いお仕事紹介本。内容はテレビ業界。番組制作にはこんな下準備や裏方の仕事があると紹介。

「これから戦場に向かいます」戦場で亡くなった戦場ジャーナリストの仕事を紹介する本。臨場感あふれる場面を朗読。

「105人のすてきなおしごと」絵本。それぞれが家で身支度をする様子が細かく描かれている。途中まで読んで、「さあどんな仕事でしょう?」と終わる。

 * * *

説明が上手くて流れるようにお話されるので、慣れていると同時に練習をきちんとしていることが伺えました。素晴らしかったです。確かに、どれかは読んでみたくなります。


推薦図書の紹介について

単にあらすじを紹介すればいい。入手困難になることが多いので、関連する自分の好きな本を薦めるのも一つの方法では。という話になりました。

推薦図書については図書館員さんは色々と思う所があるようで、色々話してくださいました。推薦図書にこだわらなくてもいい、というのがその場にいたみんなの共通認識とはなりましたが、学校に頼まれている以上、ちゃんと紹介しないと、という意識もあります。

学校司書さんから言わせれば、先生の意向としては「うまい作文があればいい」とのこと。だいたい、作文はテクニックなので…という話にもなりましたが、まあこの辺にしておきます。たいへん勉強になりました!

 * * *

ブックトークの参考図書として

『キラキラ応援ブックトーク』岩崎書店
『ブックトークのきほん』東京子ども図書館
『はじめてのブックトーク』図書館流通センター
『だれでもできるブックトーク』国土社
『小学生のためのブックトーク12か月』全国学校図書館協議会
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