花日和 Hana-biyori

『おおかみこどもの雨と雪』

家族三人で観ました。
私はけっこう泣いていましたが夫はそれほどでもなかった様子。息子(7歳)は、お父さんオオカミが亡くなるあたりからベソをかいていましたが、あとで何処が泣いちゃうところだったのか聞いても「その話はしたくない」と教えてくれませんでした。


初めの、花畑の映像でもう、映画館に見に来てよかったーと思わせる美しさ。
雪山をオオカミ目線で疾走するところも良かった。
雨が子供の時のたよりない可愛らしさや、自立しそうな頃の精悍な横顔が印象的。
それと、ユキの男友達が台風の夜に見せる男らしい発言が素敵。12歳ってこんなにかっこいいのか?
「オオカミ」だからファンタジーっぽいけど、これが「エイズ」とか何かの障害であった場合、周囲の迫害というか、こういう辛さを抱えている人たちはたくさんいるんだろう。異物が住みにくい世の中を描いていて、楽しいだけのおとぎ話ではないので、幅広い年齢層が見て面白いはず。

オオカミこども達を産み育てるハナが、とにかくしなやかで強い。後から考えるとかなり理想化された母親像だわと思うのだけど、映画を見ているときにはハナにかなり共感しているのであまり気にならなかった。自分しかこの子たちの世話をして守る存在がいない、というのはかなりのプレッシャーだし、病院だって、動物病院にも小児科にも連れていけないのだ。精神的にも肉体的にもおかしくなるだろうと思う。
けれども子供は可愛いし、なんとかして必死に自分が産んだいのちを守るという本能に従って行動しているんだという気がした。

さらに、このハナという母親の凄さ偉さは、子供たちのオオカミの部分を否定することなく、無事守り育てた上で自分で(オオカミか人間として生きるか)選ぶに任せるところ。もともと偏見の心がまったく無いとダメだし、かなり子供たちを信じていないと出来ないことだ。そりゃあそういう人でないとオオカミ男と恋に落ちないと思うけど。

私も含め、多くの親は子供に好きな道を行ってもらいたいと言いつつも、自分が軌道を作ってやらなくてはと思い込んだり、自分の考えを押し付けたりしがちだと思う。
そういう、子離れが難しそうな人(私)にとって、10歳で雨が分かれていくシーンはかなり泣きどころだ。

子供が精神的に大人で、じゅうぶん自分で正しく物事を判断したり注意したりできると、いつになればはっきりするだろう。いつまでもはっきりしないようにも、いつまでも自分がついてやらなくてはいけないようにも思う。でも、人生って自分一人でも親がついていてもうまく行くとは限らない。
だったら自分の好きなように生きるほうが、親がいつまでもついていて干渉するよりいいんだ。
しかしそれには、やはり子供を信じて、ハナが育てたじゃがいものように土を整えたのちは余計なことはしないで「ほっとく」のがいいんだろう。

土を整えるまでが親の仕事なのかな。それは親が決めるんじゃなくて子供が決めることなのかな。
というような事を思った。

子育てが10年ちょっとで終わったハナは羨ましいような、それじゃもの凄く寂しいような複雑な感じがした。
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