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花日和 Hana-biyori

向田邦子『男どき女どき』聴き終わり

なぜか田辺聖子の本だと勘違いしていた、向田邦子の『男どき女どき』(新潮社)を聴き終わりました。朗読は中村ルン。

最初に短編小説「鮒」(フナ)と「ビリケン」があって、あとはエッセイ。この短編2つがなかなかいい味していました。

「鮒」
中高生の娘と息子を持つ中年男の家に、ある日鮒入りの水槽が出現する。それは、男が一時期不倫していた女が勝手に置いていったものだった。それを息子が「ぼくが飼う」と言い出して…。

「ビリケン」
ある中年男が出勤時いつも目を合わせる近所の果物屋のオヤジは、ビリケンに似ていた。ビリケンの変化によって、学生時代のあるやらかしを思い出した男は…。

***

後で考えると、両方とも中年男性の日常生活にわずかな波紋が起きて、心の内で右往左往する様を描いているのでした。

向田邦子といえば「父の詫び状」をはじめ、この後のエッセイをみても、父親の面影や影響を色濃く受けていることがわかります。

いつも家族に偉そうな口をきいては威張っている家長たる男の、家族には絶対に明かせないのっぴきならない秘密。この短編2つは、そんな父の姿を想像しながら書いた話かもしれません。





 
 



コメント一覧

hana-biyori
なおともさん、こんにちは~。
コメントありがとうございます。

田辺聖子も向田邦子もいいですよね。私はこれ、聞いているのでほんとは読んだとは言えませんが(^^;
いろいろと複雑で重いテーマの物語もいいけど、その合間にこういう、人間のおかしみをさらりと描いた、歯応えがちょうどいい文章を読みたくなります。
なおとも
こんにちは!
私、向田邦子大好きで、ほぼ読んでいると思います。ドラマや映画化されたら、必ず見ます。この作品も読みました。そして、田辺聖子も大好きです!作風は違いますが、どちらも大好きです!
なおとも
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