日本の児童文学を語るうえで、語らずに済ますことはできないお方。内容自体は興味深いのだが、私にとってはこの著者（尾崎さん）の文章が読みづらくてとても時間がかかってしまった。難しい文章ではないのだけど、いわゆる新聞調なのだと気付いたのは最後まで読んでから。それと、細部を誠実に書き起こさんがための関係者たちの説明が長すぎて、私の集中力ではぐいぐい読めなかった。
でも、山本有三や吉野源三郎、高橋健二、瀬田貞二など、好きな作家の色々な側面が見られたのは嬉しかったし、読み聞かせを始めた様子なども興味深い。
太宰治の死後、「私なら太宰さんを死なせなかった」という井伏鱒二との対話が印象的。数々出てくる絵本のタイトルが、いまなじみ深くてとても嬉しくなった。
