花日和 Hana-biyori

デフ・ヴォイス オンライン読書会



『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』のオンライン読書会で楽しかったです。参加者は私含め7人の予定でしたが、ZOOM接続がうまく行かず出られなかった方がいて残念でした。

ほぼ皆さんに共通していた感想が、デフ(ろう者)の世界、文化を深く知れて良かった、それが一番興味深く面白かったという感想で、私もそうでした。出ていた発言を、すみませんが勝手に書いてしまいます。(ウロ覚え)

【小説に寄り添った感想、考察】

・『図書館の魔女』のなかにも、一般的に手話は「文字を手でやってるという誤解があるが、それ自体が一つの言葉なんです」というエピソードがある
・手話をちゃんと習っていなかったろう者に「黙秘権(の意味)が通じない」のが驚いた。
・手話を習得していないと書けないというのも初めて知った。
・雨音で自分の孤独に気付くシーンが上手いと思った

・(コーダは)自動的に家族の通訳になってしまう。世界が広がると言えば聞こえは良いが、子どもの生き方が限定されてしまう。ひっかかりを持ったまま大人になってしまった。ポジティブな生き方になっていない。
・好感をもてるような男ではない、というのが良かった。作者は、荒井を凡庸な男として描いたのではないか。

・「敵か味方か」という対立構造にしたのは残念。「通訳」はどちらの側でもない。
・線引きの仕方が激しすぎる。
・敵か味方かではなく、「寄り添うもの と 無関心なもの」というほうがいいのに。割食ってるほうが、周囲を敵と思うかもしれないけど…。
・どんな世界でも派閥とヒエラルキーができてしまうのが悲しい。
・何森刑事は高評価。スピンオフを読むべし。

【その他ツッコミ】

・デフ文化は興味深いが、その他の部分、男女の恋愛関係の描き方はヘタ。女性の書き方も古い、虫干しはないわ。
・みゆき(恋人)に対する荒井(主人公)の態度はかなりアウト。とくに子供を元ダンナに会わせてしまうシーンはドン引きもの。
・女性が、話を進めるために都合よく配置されているように見える。
・作家がそうなのか、主人公をそういう風に描いたのか、啓蒙心にあふれているが、マウント気質。介護ヘルパーと比べたり、他の人を落とすような言葉が気になった。
・ミステリ部分は火サスっぽかった。2時間ドラマにしたらちょうど良さそうな…。
・リアリティのあるところと突拍子もないところが混在している。
・「模倣犯」で、宮部みゆきは作品ありきで実際の障害者と違うこと(フィクション)を書いた。それに比べれば誠実に書いてくれた。小説としては宮部みゆきのほうがずっと上手いけど。


などなど、ほかにも色々ありました。(たぶん勘違いや適当に補正してしまったところもありますが、気になった間違いがあったらこっそり教えて下さい。)概ね好評でありながらツッコミどころが満載だったのが、盛り上がって楽しかったです。勝手に色々言ってすいません。

みなさんの話を聞くのが面白くて、時間があっという間でした。私は話すのがヘタで、日本語がいまだに上手く操れない…と反省しきり。またやりたいです。

***

《関連するものとして名前が出た本や映画》

・84年に出ているノンフィクション「神様は手話ができるの?」
・「わが指のオーケストラ」
・映画「ビヨンド・サイレンス」コーダの子どもが主人公で、音楽の才能があったが親が嫌がる。親の既存の条件によって子どもの人生を狭めていいのかという問題
・映画「きらめく拍手の音」
・映画「トガニ 幼き瞳の告発」韓国の聴覚障害者学校で起きた虐待事件を扱うノンフィクション
・映画「聲の形」

《その他、最近読んだ、これから読む本など》

「肉食の社会史」「江戸川乱歩と横溝正史」
「ラスト・トライアル」
「成功者の告白」「ギブアンドテイク」
「スマホ脳」「ギリシア神話」石井桃子編

コメント一覧

スウ
風太さん コメントありがとうございます!断りもなく勝手に上げてしまっていてすみません。嬉しいと言って頂けたら幸いです~。もっと分かりやすくまとめればいいんですけど大雑把で恐れ入ります。

久々に風太さん親子のパワフルトーク(笑)が聞けて凄く楽しかったです!またやりたいですね!
風太
おはようございます。
初めてのオンライン読書会楽しかったです!
レポート上げてくださってありがとうございます。せっかくの皆さんのお話、忘れてしまってはもったいないので、こうしてブログ残してくださってとても嬉しいです。自分でやらないで他力本願ですみません(^_^;)
久しぶりにみなさんのお顔も拝見できたし(yuiさんもお顔だけは確認できてよかったです)またぜひやりたいですね。
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