と、タイトルはなんか禅問答みたい^^;
労働組合の役員になると「労組では『賞与』とか『ボーナス』という言葉は使わない。それは経営者側の用語で、まるで会社が特別に支給しているような誤解を与える。労組では民間労組でも公務員の労組でも、月例給の後払い的な性格のもので生活費の一部であり、労使交渉で決まるものであるから『一時金』という言葉を使う。」とまず教わる。(このほかにも、なるべく『給料』よりは『賃金』を使った方が良いとか、元号ではなく西暦を使うとかいろいろある)
もちろん、経営者と労働者が意識が違うというのはあたりまえで言葉使いが違うのはしょうがないのですが、そういう話を聞くと、マスコミが一般的に使う用語が「ボーナス」なのが、気になってしょうがなくなりますね^^;
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先日、全国一般という地域の中小労組の活動をしてきた方の講演を聞きました。
要約すると、経営者団体や自民党・御用経済学者は、この間ずっと『正社員・公務員が既得権にしがみついているから、非正規・派遣社員が増えて、格差が生じているんだ!』と喧伝し、労働者を差別・分断して、お互いの対立をあおりつづけてきたが、そもそもそういう構造は経営者団体が主導してつくりあげてきたものだ!2008春闘の役割は格差是正にあり、公務員・民間企業・職種・雇用形態の別をこえた共闘が必要だ!
という昔からある「万国の労働者団結せよ!」という話なのですが・・そんな難しい言い方をしなくても、給料があがれば喜ぶし、下げられれば頭にくる・・というのは別に公務員でも民間企業の従業員でも共通する感情だと思う。
さりとて、隣の人は年収500万です。自分は年収300万です・・・では、論理的には『本当に悪いのは経営者団体だ』とわかっていても、隣の人をやっかむのも心情的にはやむをえないんかなぁ・・・(だって、私の身近な労組の先輩ですら、「医者はいいよなぁ、銀行員はいいよなぁ・・」とか言ってるくらいなんだから・・・)
だからまぁ・・この産経の記事みたいな「労働者間の対立を煽ってやるぜ!」という意図が見え見えでの記事も比較的すんなりと受け入れられてしまうんだろう・・・
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とはいえ、聖学院大学大学院の真野輝彦教授が「公務員は民間のような倒産などのリスクはないのに、その報酬だけ民間にならうのはいかがなものか」とか言うのは・・全然わからない。
労組は賃金は生活給だと主張し、企業は会社の業績の配分だという主張するのは良く聞くのですが、給料が倒産リスクと関係するという理論は正直初めて聞いた。
つーかググって見ると、この人そもそも経済学者だけど労働問題は疎いみたいだし、なぜこの人にコメントを求めたのかも良くわからん。というか「役所はつぶれるリスクはない」と言うのがそもそも嘘で、古くは国鉄、今は社保庁、将来的には市場化テストでどこの部署がつぶされるかわからないというリスクがあるんですが・・・(独立行政法人なんか補助金がなくなったらすぐにつぶれてしまうだろうし・・)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071217-00000907-san-bus_all
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最後に社会保険事務所の職員を擁護したいのですが、今どこの役所の職員よりがんばってるのは、現場の社会保険事務所の職員だと思うよ。それなのに、現場を知らないヒステリックなマスコミの報道に引きづられて、労組までが一時金を自主返納するとか言い出すし・・・ほんと今後も誇りを持ってがんばってほしい。
そもそも、データの突合作業だって、中央からは破棄が指示されていた紙の台帳を、社会保険事務所の職員が現場判断で保存していたからある程度進んできたわけだけど、そういったことも広く知られていない。(また、結果オーライとはいえ、上の指示を無視した職員が上から高い評価を受けるはずもないのが役所社会) 自分はたまたま組合の青年部で社保事務所の若い職員と顔見知りだったから、どうしても擁護したくなる。
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顔見知りという言葉で思い出した歌。
見知らぬ人の笑顔も/見知らぬ人の暮らしも/失われても泣かないだろう/見知らぬ人のことならば/ままにならない日々の怒りを/物に当たる幼な児のように/物も人も同じに扱ってしまう/ならば見知れ/見知らぬ人の命を(「顔のない街の中で」中島みゆき)
なんかこの歌聞いた後、顔見知りになるということは、そんなに気楽なものではないものだな・・とか思った^^;
それではまた。