弾劾を受けてる時点でこらぁ

日記や著作権切れ小説を書いていきます

その時あの印度人の

2012-12-20 14:48:04 | 日記
その時あの印度人の婆さんは、ランプを消した二階の部屋の机に、魔法の書物を拡げながら、頻しきりに呪文じゆもんを唱へてゐました。書物は香炉かうろの火の光に、暗い中でも文字だけは、ぼんやり浮き上らせてゐるのです。 婆さんの前には心配さうな恵蓮ゑれんが、――いや、支那服を着せられた妙子たへこが、ぢつと椅子に坐つてゐました。さつき窓から落した手紙は、無事に遠藤さんの手へはひつたであらうか? あの時往来にゐた . . . 本文を読む

遠藤サン。コノ

2012-12-20 14:46:25 | 日記
「遠藤サン。コノ家ウチノオ婆サンハ、恐シイ魔法使デス。時々真夜中ニ私ノ体ヘ、『アグニ』トイフ印度インドノ神ヲ乗リ移ラセマス。私ハソノ神ガ乗リ移ツテヰル間中、死ンダヤウニナツテヰルノデス。デスカラドンナ事ガ起ルカ知リマセンガ、何デモオ婆サンノ話デハ、『アグニ』ノ神ガ私ノ口ヲ借リテ、イロイロ予言ヲスルノダサウデス。今夜モ十二時ニハオ婆サンガ又『アグニ』ノ神ヲ乗リ移ラセマス。イツモダト私ハ知ラズ知ラズ、 . . . 本文を読む

私にはそれ以上言う権利が

2012-12-04 14:18:06 | 日記
「私にはそれ以上言う権利がないのだ。それは私の秘密じゃないんだからなあ、シルヴァー。でなけりゃ、きっと、お前に話してやるんだが。しかし私は自分の言えるだけのことをお前に言うとしよう。一歩だけ先へ出て言うのだ。 でないと、船長に叱られるからねえ、きっと! 第一に、私はお前にちっとばかり望みを持たせてやろう。シルヴァー、もし私たちが二人ともこの狼の罠から生きて出られたら、私は、偽誓だけはしないが、自分 . . . 本文を読む