虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

かんぽの宿記事

2009-03-14 | 新聞・テレビから
3月14日
朝刊(朝日)に久々に「かんぽの宿」記事。
オリックスは日本郵政の入札担当者をオリックスの新しい運営会社の副社長にするという提案をしていたそうだ。13日の総務委員会で民主の原口氏が指摘したそうだ。この他にも、HMNというホテル運営会社は日本郵政よりも有利な雇用条件を示したこと、一括売却を検討する会議も1回しか開かれなかったことなどが書かれている。記事は60行余もあり長いのに(木村和規記者)、見出しは記事の長さに比べると小さい。6面に書かれていたが、これを1面トップに持ってきてもいいではないか。
これから、「かんぽの宿」問題についてどんな記事が出るか、逐一チェックしてみよう。

これは昨日の記事かもしれない。今日、たまたま見た。「あらたにす」という朝日、読売、日経の共同のネット新聞があるが、その中の新聞案内人の一人、桐山英一郎(元朝日新聞論説副主幹。現在 神戸大学客員教授)という人が、「大見得を切ったツケはだれが払う」と題して、鳩山大臣の「かんぽの宿」譲渡待った問題を批判していた。この新聞案内人は、竹中平蔵氏の説に賛同し、西川社長に同情する。
「この間、いちばんうんざりしているのは、西川社長ではなかろうか。民間感覚を根付かせるべく依頼されて、ぼろくそに言われるとあっては、後に続こうとする経済人は出て来れなくなるだろう。民間から人材が来なくなれば、それも「コスト高要因」になる」
これが言いたいことだ。
民間、民間というが、なにが民間だ。かれらが言う民間とは大企業ではないか。かれらのいう「民間感覚」とは何だ。こういう人物が論説の副主幹をやり、今も学生を教育しているとは。しかし、朝日新聞の幹部の本音を代わりに書いているのにちがいない。

3月15日、朝刊の19面の1面全部を使って「どう見た「かんぽの宿」。いつも3人の識者の意見を聞くという「耕論」というコーナーだ。
一見、かんぽの宿問題を大きく扱っているようだが、これは「かんぽの宿隠し」の記事といってもよい。なぜなら、この記事の中に、西川社長の名もオリックスの名もなく、入札に関わる疑惑についての事実は一切書かれてないからだ。一人は、自民党や民主党の事務局にいた伊藤淳夫。かんぽの問題を麻生勢力と小泉勢力の対立と位置づけ、「入札そのものの是非は定かではないが、政治は流れを作った方が勝ち」、鳩山さんの勝ち、ただし、パホーマンス政治から訣別しよう、という。入札の是非は問題ではないらしい。もう一人は、道路公団民営化委員会に所属していた民営化推進の大学教授田中一昭なる人。主張の半分以上は道路公団民営化の話で、官僚の抵抗が強いと書き、かんぽの話も「同じような官僚の抵抗があったはずだ」と書くだけで、これも具体的な入札やかんぽ問題の事実についてはふれない。
3人目は、荻上チキというネットに詳しいブロガー。新聞社からは、「かんぽの宿騒動についてのネットの反応」という観点からの話の依頼らしい。この人も、伊藤氏も「かんぽ問題は新聞やメデイアで大々的に取り上げられた」と語っているが、これは記者がそう話をふったのではないか。テレビでも新聞でも大々的に取り上げられたことはない。事実の詳細な情報は流していない。この荻上氏は、ネットでもそんなに盛り上がらなかった、と語り、「「かんぽの宿」がネットでもリあがらなかったのも、問題設定の「ゆるさ」を誰もが感じたからではないですか」と語っている。これは、新聞記者、あなたへの皮肉でもあるのだが、記者はわかっているのだろうか。ともあれ、この人の話の中にも、オリックスへの入札の経緯など、かんぽ問題の事実記事は何もなし。朝日は、かんぽを特集しながら、かんぽ問題から国民の目をそらそうとする問題設定をしているといえる。

4月3日夕刊 「日本郵政に改善命令へ」の見出しで、鳩山総務相が記者会見で、「かんぽの宿」をめぐって入札手続きが不適切だったとして、日本郵政に業務改善命令を出す方針を明らかにしたというもの。入札家庭の問題点16項目も公表する、と書いてあるが、夕刊にはその16項目の内容はない。明日の記事には当然、書くのだろう。

4月4日朝刊 「時時刻刻」というコーナーで、「入札騒動決着か」「出来レース疑惑素通りという見出し。「かんぽの宿問題」をあくまでも「騒動」としてとらえる朝日は、「3ヶ月間に及ぶ騒動は一応の区切りをつけた。ただ、公表された報告書は入札の不透明さを強調するものの、売却で誰かが利益を得ようとしたのでは、という「疑惑」は素通りした」と書く。疑惑を素通りしたことが不満なら、朝日よ、ジャーナリズム機能を活かして今後も独自に調査せよ。疑惑は、問題点16項目を見ただけでも判然としているではないか。オリックスとメリルリンチ、そして日本郵政。朝日は一貫してオリックスに疑惑の目がいかないように、郵政や総務省批判ばかり書いてきたが、そうせざるをえない大きな影の力があるのだろう。
さて、これから、朝日は、かんぽの宿事件(これは騒動ではなく、事件、疑惑だ)について記事を書くかどうか、注視しておこう。