虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

越訴 水戸藩・宝永一揆の謎

2008-01-30 | 一揆
オークションで、この本を手に入れた。500円。ネットの古本屋では2000円くらいするものだ。著者は農業ジャーナリストの長須祥行。著者の生家は、この一揆の頭領である藤衛門の屋敷の隣にあった、ということで、地元の人による一揆探索ドキュメントだ。よく調べていて、わかりやすい。この一揆は処罰者が出なかったとされるが、それは水戸藩の処罰隠しで、頭領藤衛門は闇討ちにされたのであろうと、推理している。今日、届いたばかりで、まだ全部を通読していないが、学者の書いた一揆本のように難解なところはなく、また、小説でもなく、一揆の本としては優れたものだ。1986年の出版。

水戸藩は、財政赤字、財政改革とばかり新法を立て、増税をすすめるが、百姓たちはその政策を中止させる。「生かさぬよう殺さぬよう」に不当な生活境遇にあるのは、江戸時代も、今も変わらないけど、あの橋下知事が圧倒的な支持を受ける今は、救いがないかもしれない。敵がだれなのか、自分たちの生活を見つめたらわかるのだが、われらみなテレビに釘付けだものな。

著者は、水戸藩といえば、だれも水戸光圀をあげ、幕末の斉昭をあげ、その名君ぶりをたたえるが、農民に過酷な生活を強いた悪政を語らない、という。NHKもそうだよ。

今年の「篤姫」。まだ1回も見ていない。NHKの大河は武将か将軍かお姫さまばかりになってしまった。早く「明治天皇」をやりたくてしょうがないのではなかろうか。薩摩は、西郷、大久保を生んだ雄藩だが、その農民収奪政策はおそらく日本一だったろう。ほんの少しでもそのへんにふれられたら西郷理解でもまたちがった見方が生まれるかもしれないのに。