虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

鈴木紀夫という青年

2005-08-13 | 映画・テレビ
テレビドラマ「小野田寛朗ー遅すぎた帰還」の後半部分だけ見た。

小野田さんを発見した冒険家鈴木青年役に、昨年の大河「新選組」で山南敬助を好演した堺雅人がなってたので、見逃せないと思った。小野田さんと鈴木青年の交流、対話に興味があった。あの時、2人で何を語り合ったのか、当時の現代青年と旧軍人との邂逅、対話はそれだけで劇になると思った。ドラマでは2人の対話にはそんなにていねいにつっこんで描いていなかったのが残念だったけど、堺雅人はやはり好演していた。

このとき、ジャングルで鈴木青年が小野田さんに見せた日本の本がたしか2冊あって、1冊は忘れたけど、1冊は当時、岩波新書で出たばかりの小田実の「世直しの倫理と論理」だ。おー、鈴木青年も小田実のファンでその大放浪も小田実の「なんでも見てやろう」の旅行記に影響を受けたのだな、と思った。特に「世直しの倫理と論理」は、当時の若者にとって、反戦、市民運動の一種のバイブルみたいなものだった。

鈴木青年は、小野田さんを発見したあと、つぎは雪男を探しにいくといって、冒険を続け、38歳くらいで若死にしてしまった。小野田さんを発見した鈴木青年はマスコミからはそんなには賞賛されず、すぐ忘れられてしまったような気がする。

岩波新書「世直しの倫理と論理」はもう絶版になっているのではないか。鈴木青年のような若者も過去になってしまった。