らんかみち

童話から老話まで

純と愛のでたらめぶりはどうよ

2012年10月15日 | エンタメ
 ろくちゃんの可愛らしさだけで観ようかなって思った「梅ちゃん先生」だけど、途中で挫折してしまった。そりゃ無いだろう、というようなシーンがたびたび出てくるし、ヒロインの演技力にも戸惑った。脇役に良い俳優が出演していただけに、観れば良かったなと思う反面、あれで役者さんたちを嫌いになっても困るしね。

 あり得ない、というシーンなら今度の「純と愛」はもっとでたらめだろう。毎回があり得ない状況で、よくぞヒロインは今の今まで生き延びてこられたもんだと感心する。
 客とトラブって契約を破棄されたかと思うと、次の日には安易に解決している。ホテルのオーナーがゴルフバッグをジャラジャラさせながら部長の部屋に入ってくるシーン、ないない、そんな人いない。ゴルフの後一風呂浴びてスーツとかに着替えたら、ゴルフバッグなんか担がない。

 このドラマの脚本家は「NHKの朝ドラではあり得ない物語」にあえて挑戦しているのだろう。とにかく、なにもかもぶっ飛んでいるわけだが、面白いと思う。何がって、それはたぶん、軽いストーリーを書いているようであって、実は人間模様を描いているからじゃなかろうか。
 それぞれの登場人物のキャラが立っているのはもちろんだけど、重苦しい過去を持っているとか女癖が悪いといったような、ドラマに出てくる設定だけじゃなく、ストーリーに関係のない設定がちゃんとできていればリアリティーは出せるということだろう。あり得ない展開も、「ひょっとしたら、あるかも」と許せるのだろう。

「梅ちゃん先生」が人間を描かなかったというつもりはない。ヒロインの生き方よりも、昭和という時代と雰囲気を今に伝えたかったのだろうと思う。「三丁目の夕日」みたいにね、あそうか、だからろくちゃんなのか!
「純と愛」は、まさにこの生き様というものに焦点が当てられている。自らの力で運命を切り開いていこうとする危なっかしいヒロインを、人の顔もまともに見られない愛がストーカーのように見守る。
 起承転結の起の段階はこのパターンで行くとして、承も同じというわけには行くまい。転あたりで愛を死なせてしまうのも悪くないけど、結で選択肢が限られてくる。う~んどうしたもんか……そう、このドラマの面白いところは、脚本自体の危うさにあるのだ。実績のある脚本家が、ヒロインを暴れるだけ暴れさせ、どうやって物語を締めくくるんだろうね。

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