らんかみち

童話から老話まで

本日の施行は、包丁を研ぐおじさん

2010年12月10日 | 暮らしの落とし穴
 ボランティアで助けに来てやっているんだから俺たちの言うことを聞け、と指図された被災地の人がブチ切れた話を聞いたことがあります。「金にもならんのに来て下さってありがとう、なんでも言うこと聞きまっさかい」と、全ての被災者が合掌礼拝する心境になれたら良いのですが、たとえボランティアといえど高飛車で恩着せがましい態度に出られたら反発したくなるのも理解できます。
 そこへいくと当地のような遍路ゆかりのお接待は「させていただきます」の精神もすがすがしく、見返りを求めない大らかさに横溢しております。というわけで、本日の施行は「包丁を研ぐおじさん」です。

               

 写真は元料理人のお爺ちゃんが、公共施設にある料理教室の包丁をボランティアで研いでいるところです。ぼくも弟子入りして研がせていただきましたが、純然としたボランティアというよりは、料芸クラブが我が物顔で料理教室を出入りする罪滅ぼしの意味合いが濃いです。散々人を殺めた悪人が改心し、洞門を掘らせていただく心境に近いでしょうか。

 包丁って毎日研ぐなら1回につき数十秒で良いらしいけど、週に1回だと2、3分かかり、月に一度だと5分程度かかるそうです。毎日研げと言われても料理人じゃあるまいし、いつでも研げるよう流し台に砥石をセットしている家庭ってどれくらいあるだろう。

 ぼくの包丁も持っていってたので教わりながら研いでみたところ、なんと良く切れるじゃありませんか。今まで良く分からずできなかったことが、ちょっとしたコツを教えてもらうことでやれるようになりました。
 それにしてもやけに親切に教えてくれるなと感謝しつつ、ふと気がついたら、じゃあ次回からはお任せね、みたいな雰囲気に、しまったー!

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