らんかみち

童話から老話まで

人が消えていく村で

2012年10月23日 | 暮らしの落とし穴


 造船所を作るための工事で、タヌキの楽園とも呼ばれていた塩田跡地が様変わりしてしまった。いつ変貌してもおかしくない、と前に書いた土地をバックホーで掘り進んでいくと、程なくして、お宝か! 
 軽トラックとか、実際の墓地に建っていた墓石やら、使い道のない岩石といった産廃が出るわ出るわ。

 どこぞの床下みたいに死体の一つや二つは出てくると睨んでいるんだが、遺跡と同じで発掘して公表してしまったら、ただでさえ遅れている工事はどうなることやら。
 それより何より、縁起が悪いじゃないか! 知らない方が幸せというケースはあるわけだから、ぼくが造船所の社長だったらきっと「極秘裏に処理して、私にも報告してくれるな」と、工事会社に頼むだろう。

 あ、でも駄目か。悪事千里を走るとも、人の口に戸は立てられぬともいうな。早晩「あそこの船は死体の上で組み立てられたらしい」などという心ない噂が流れることになるのだろう。そんなことになるくらいなら工事の遅れなど甘受して白骨の発掘を公表し、神主にお願いしてお祓いをするのが王道だろうか。

 さて、ねぐらを奪われたタヌキたちの末路やいかに……と心配していたら、なんてことだ、うちの庭先を闊歩してやがるじゃないか! 猫より少し大きく、丸々してて可愛いし、農作物を作っていないぼくとしては実害はない。餌を与えても良いかなと思うくらいなんだけど、「畑に入られた」という被害報告が相次いでいる。
 
 昔は人が多かったから里山が管理されてタヌキなど見かけなかった。目撃情報が寄せられたらテレビニュースになっていたほどだ。それが今やカワウソの絶滅するご時世で、イタチすら見かけることは少なくなった。
 イノシシの隆盛は言うに及ばず、タヌキやカラスのそれは人間生活との密接な関わり合いがあるのだろう。ではこれ以上人が減ったらどうなるのか……う~ん、たぶん外国人が増えると思う。