らんかみち

童話から老話まで

瀬戸内しま博覧会シンポジウム

2012年10月11日 | 暮らしの落とし穴
 当初、しまなみ海道における自転車ロードレースの開催権を巡って広島県と争う構えを崩さなかった愛媛県だけど、ここに来て両県知事が歩み寄ったようだ。愛媛県知事は歌舞伎役者のような男前なのだけど、これがまたなかなかの策士でもあり、落としどころを見据えて大芝居を打っていたと見る向きもあろう。

 一方の広島県知事は、さすが政令指定都市をかかえる広島県の知事を務めるだけあって頭も切れそうだし、ジャニーズ系とまでは言わないにしてもなかなかのイケメンだ。というか、育児休暇を取って「イクメン」首長と呼ばれていたんだよね。本日はそのお二方の主催する「瀬戸内しま博覧会(仮称)」のシンポジウムに出かけた。

 公開討論会といっても第1回目なので、オープニングセレモニーのように中身の乏しいものだったと表現して差し支えないと思われる。一、広島県と共働する。一、しま博の開催に当たってはエージョントを使う。一、新しいものを創るのではなく、既存の文化的財産を活用する。といったようなところが柱になると思われる。
 つまり、しま博の宣伝は外部に任せるとして、実働は島に住む人たちが担うのですよ。内容は特別なことではなく、普段の生活に磨きをかけたものを提供する、ということだろうか。

 我々のように田舎育ちの者でも、草鞋を編む爺さんとか見たら、すごいなとカメラを向けるだろう。それと同じで、都会に人から見たら、なんでこんな不便な島に住んでいるのだろう、とカメラを向けたくなるわけだ。それがすなわち観光であり、もてなしであると現代のツーリズムは教える。
 かつて農協のツアーが果たしてくれていたサイトシーイングは役目を終え、都会に暮らす人々に田舎の生活を見せることが観光になるらしい。テレビでも、俳優が自転車で旅をしたり歩いて田舎を訪れる番組が受ける時代になった。

 どうってこと無い日常の生活が失われつつあるのか、それとも日本が成熟した証なのだろうか。あるいは都会に暮らすのが苦しいと感じるくらいに日本は閉塞しているのか。
 いずれにしても、ご近所さんとトラブルになって日本刀を振り回したくなるほどなら田舎に住めばいい。島に住んだら、人恋しくなることだけは請け合う。