らんかみち

童話から老話まで

観刀図の妖気

2011年07月27日 | 暮らしの落とし穴
    

 郷土史研究会の勉強会で、今治市大浜にある大浜八幡大神社にお参りしました。15名ほどのツアーでしたが、宮司さんが神社の歴史や故事来歴を熱心に説明して下さいました。
 ここに奉納されているこの絵馬は、今治出身の絵師、沖冠岳(おき かんがく 1817文化14年~1876明治9年)の作で、「観刀図」というらしく、「申請すれば国宝」だそうです。

 この神社は、自然の地形を活かしたのか、お堀の中の城といった趣の設計で、あたかもテーマパークを散策するかのような楽しさがありました。それがなんと1400年の由緒といいますから、半端じゃないですね。この神社を守り続けてきた地元の情熱に思いを馳せながら写真を撮影。
 ところが、絵馬に心霊写真のようなものが写り込んでいるではありませんか。向かって左手の刀鍛冶の顔にそれはあるんですが、判りませんよね。

 この図は、中国のとある刀鍛冶が二振りの剣を鍛えたところ、非常に素晴らしいものが出来あがったので、その片割れを殿様に披露しているシーンなのだそうです。
 殿様の装束がヤケに簡素なのは、刀鍛冶に気心を許しているからでしょうか。それにしても刀鍛冶の目つきは鋭く、今にも殿様を殺めんとしているように思えてなりません。
 二振りの刀の片方は恐らく聖剣であるけど、この図に描かれているのは邪剣の方で、直後に殿様は貫かれたに違いありません。なぜなら、稀代の絵師が、「殿様、ええ刀でっしゃろ」とやっているような、暢気な日常を描くとは思えないからです。

 つづく