らんかみち

童話から老話まで

リビアからの哀悼の意を聞いて

2011年03月17日 | 社会
 朝鮮民主主義人民共和国赤十字会が、日本赤十字社に哀悼の言葉を伝えたと聞いてちょっと驚きました。日朝和解のジェスチャーと受け止める向きも多いようで、なるほど、素振りってやつか、いやそうではなく、さすがの将軍様も日本の凄惨極まる状況を不憫に思われたのではないでしょうか。
 もっと驚いたのは、内戦の最中にあるリビアの反政府勢力から、「われわれも日本も同じように苦しい状況にある。人ごととは思えない」と、哀悼の意が伝わってきたことです。

 ああそれなのに、日本では民放アナウンサーの不謹慎ともとれる言動が非難されている。マイクの切り忘れとか中継の再開に気づかず、何やら良からぬことを口走ってしまったらしい。
 いくらなんでも激甚災害の現場に出てリポートしてるんだから、被災が他人事に見えるはずないと思います。だから魔女狩りみたいなことはせず、若気のいたりということで生温かく見守って、と思っていたら海外メディアでもそれが報道され……。

「カメラマンには、目の前で人が溺れかかっていてもシャッターを切る義務がある」みたいなことを力説する知人がいました。高みにあるジャーナリストはそういうもんか知れませんが、「このカメラにつかまれ」みたいな反応が普通じゃないでしょうか。
 真のジャーナリストに会ったことないぼくが言うのもナンですが、被災に対するインタビューを見て、「あんたら、パパラッチ?」と、テレビ画面のリポーター向かって突っ込んでしまいました。

 被災者の絶望する言葉と涙を伝えたら同情も募金も集まり、惨状が世界に伝わりやすくなるとしたら、それはそれで良い面もあるでしょう。だけど報道を見る側だって被災者の心情を察することはできるんだから、「今のお気持ちは?」みたいに思いやりを欠いたインタビューは遠慮して、とお願いしたい。
 被災者の目線に立って取材をしろと言うのではなく、被災者に対して冷静なな第三者であれ、みたいな物言いしたいのでもありません。ジャーナリストはどうあるべきで、メディアは今なにを伝えるべきかと、冷徹に自問しながらの報道を期待したいのです。