らんかみち

童話から老話まで

デスパレートな文芸公募

2010年01月12日 | 童話
 ぎりぎりまで粘ってうまくいくこともあった。郵送なら当日消印有効の当日だったし、メールなら23時40分とかに「そりゃ、行ったらんかい」と送信ボタンをクリックして、「なぜ送れない!」と、必死になって原因を探ったこともあったけど、それでなんとかなってきた。
 しかし数ある失敗の中で最も情けなかったのは、普通の土曜日のつもりで本局まで郵便を出しに行ったものの祝日で、当然ながら消印がもらえなかったことでしょうか。
 ぎりぎりでやってたら、打っちゃりの目に遭うんだねと懲りたはずが、喉元は過ぎるもんですねぇ、本日もやってしまいました。
 
 直しに直し続けて、もうそろそろ印刷せんと間に合わんぞ、と満を持してプリンターを起動したら、動かん! 姉の使ってたのをもらったやつなんですが、機械ものっていうのは持ち主の癖が染るもんでしょうか。急きょ古いのを稼働して事なきを得ました。
 危ない危ない、普通郵便で出そうと思ったけど嫌な予感がしたので、エクスパック500で出すことにしました。表紙をホッチキスで止めて原稿の裏表や向きまでチョックしてシール……あっ、プリンタから出力したままでページ番号が逆のまま止めた気がする!
 慎重に両面テープをはがしながら開封してみたら、なんやぁちゃんとやってるがな。二度目は糊で封をして……あぅ、原稿を入れ忘れた!
 
「ぎりぎりで出してはいけません」と、お師匠さまは余裕を持って書き上げるようにおっしゃるけど、「推敲はすればするほどよろしい」ともおっしゃるんです。しかし推敲って掃除といっしょで、やればやるほどゴミが出てきて切りがないんです。頃合でやめてダメだったら、そこが自分の限界であると納得するしかないのでしょう。

 応募にあたってお師匠さまに見せることは無いのか、と聞かれたことがありますが、ぼくの場合はしません。原稿を見せたらオールラウンドプレーヤーのお師匠さまのことですから、たとえエッセイであろうと詩であろうと校正してくださるでしょうし、「わたしならこう書く」と推敲もしてくださるでしょう。ただでさえ忙しいお師匠さまなのに、編集さんの役割をしていただくわけにいきますかいな。
 でも「悪いから」というのが主な理由で見せないのではありません。お師匠さまの意見を取り入れて公募に出したとして、落選したら根に持つかもしれません。そんな心の狭い人間なんですよ、ぼくは。実際にそういう気持ちになったことがあるんです。

 お師匠さま、ぼくは一度だけお師匠さまを恨んだことがございます。どうかぼくをぶってください、そうでなければお師匠さまと抱擁することができないのです。ぶって、ぶってぇ、ぶって~ぇ!
 おっと、メロスもセリヌンティウスもぼくも、被虐趣味は無いのであった。
 
 今回の怖い話は構成が複雑な上に、ですます調と、だ、である調の混在した、この日記みたいに野放図な文章に仕立て上げました。お師匠さまに見せたらダメ出しを食らうに決まってます。だけどこの一年、日記でつちかってきたことを公募というフルイにかけてみたかったのです。