らんかみち

童話から老話まで

痴話喧嘩のエネルギー、いただきぃ!

2006年11月26日 | 男と女
 何で痴話げんかにぼくが巻き込まれにゃならん? そりゃ、たままたま離婚寸前の夫婦のヨリを、おばあちゃんが説教して戻すという話を書いている途中ではあるが。

 たまには場末の飲み屋に顔を出しておかないと忘れられるので、ゴミの枢軸みたいな店で飲んだくれる。場末はくつろげる店なんていうなんてもんじゃない。
糞な店主はくわえタバコで物を作るわ、2、3日休んでも、おでんのダシは替えないわで危険極まりない。安心して食えるのは缶詰くらいなもんだろう。

 というわけで、金が無くて缶詰をつついていたのじゃなく、いや、それもあるが、とにかくそんな状況のところに、恋人同士がもめながら暖簾をくぐって来たのだ。
「もうあんたなんか見限ってHALと付き合う!」
 はあ、なんでぼくをダシに使うの? それはまあいいとして、二人は50才台。いいなあ情熱があって! だってけんかするのも眠るのといっしょで、パワーがないとできないこと。年寄りは眠れなくて目が早く醒めるっていうのと同じ。
 
 あの二人は結局タクシーでいっしょに帰ったけど、仲直りしたんだろうか。なんか男の方に非があったみたいで、彼女には気の毒な気がしたけど、振られそうになっていた彼もかわいそう。
 おっと、そんな事言ってる場合じゃない。おかげでおばあちゃんのせりふが決まったね。やっぱり場末の日常はおもしろい。

虚礼忘年会廃止

2006年11月26日 | 暮らしの落とし穴
 場末の飲み屋にたむろする一人のじいさんが、何かに似ているような気がして気になって仕方がなかったけど、ようやくそれが何か分かった。コモドオオトカゲとか、コモド竜とも、コモド・ドラゴンとも呼ばれている爬虫類だ。
 
 コモド・ドラゴンはインドネシアのコモド島に生息する肉食のトカゲで、体長3m、体重100kgほどあり、凶暴な上に大そう俊敏。その上に100歳くらいまで生きるらしい。そしてコモド島の人たちは、あの恐竜が女の子の化身だといってかわいがるらしいが、あの場末のじいさんはちょっとかわいがる気にはなれない。
 
 あと、場末の飲み屋には、かつて赤鬼も生息していたが今は絶滅した。他には、カダフィ大佐とか、シラク大統領、木枯らし紋次郎といった有名人に似ている人もいたりして飽きが来ないといえば言えるかもしれない。
 
 昨夜のこと場末に顔を出したら、早くも忘年会の企画が持ち上がっている。よっぽど忘れたいことの多い人ばっかりが集まっているに違いないのだが、店を始めて20年の内で、まともに忘年会が開かれたのは恐らく4、5回しかないと思う。
 
 ドタキャンになることもあるし、開いたら開いたで必ず事件が起きるんだから、マスターが二の足を踏むのは分かる。そして今年は、コモド・ドラゴンが音頭をとるらしいから、すでに企画の段階から風雲急を告げている。
 今年のぼくは「君子危うきに近寄らず」か、それとも「大人は危うきに遊ぶ」のどちらを選択すべきかで迷っている。