らんかみち

童話から老話まで

金縛りって、マジ怖いっす!

2006年11月15日 | 童話
「先生、眠れなくなったじゃありませんか! ぼくには怖い話は書けそうにありません。ラブストーリーより困難です」
 童話教室の先生に「怖い話を書いてきなさい」といわれて考えたけど、ぼくは人を殺したいと心底思ったことないし、ホラー映画も観ない。だがそんなことをほざこうものなら「人を殺めた経験がないと人を殺すシーンは書けないのですか?」と一喝されるに決まっている。なので一生懸命怖い話を考えていたら目がさえてしまったのだ。
 
 難しいからといって手ぶらで教室に顔を出すわけにも行かないので、数年前に体験したことを思い出して書き始めた。日記に書くのは実家の近所のことなので非常に問題があるから書かないが、とにかく恐ろしい金縛り体験なのだ。
 とはいっても、金縛りなんて子どもの頃から何十回となく体験しているぼくだからあんまりダメージはない。ただ、聞いた人にあらぬ誤解をされて、よからぬ噂が立つのだけは避けたいと思う。
 
 金縛りに遭っている瞬間は本当に怖い。なぜかというと、ビジネスホテルに泊まって金縛りに遭うと、とんでもない風景が見えるのではなく、まさにぼくが泊まっているホテルの一室で、現実の状況と区別がつかない場所に何者かが現れる。
 例えばその部屋で首をつったという人や、何もしないで部屋の隅にただ座っているだけの人もいれば、ぼくの首を絞めに来る化け物も入る。夢なら何も怖れることはないが、はっきりと目が覚めているのにもかかわら、体を動かそうにも動かない。
 
 一人で寝ているからそんなことになると思ったら大間違いで、一度なんか兄と実家で寝ているときに金縛りに遭った。そのときは兄に助けられたのだが、「オレ、どんな感じになってた?」と聞いたら、「もがき苦しんで死ぬかと思った」らしい。
 そりゃそうだと思う。だって本当に死にそうになっているんだから。
「でもな兄貴、今日の金縛りに出てきたのはあんたなんだよ!」
 そういってやろうかとも思ったが、気に病むといけないのでやめた。金縛りはただの悪夢なのだが、怖いのは間違いない。