M派のもやもや

　サリン事件後、やはり、教団の中に、犯行を行った者がいたみたいだという話が流れた。しかし、それは、教団の中にも、スパイがいたんだねえ、という結論で締めくくられ、決して、教団が主体となって、事件を犯したのではないと考えていた。なんせ、敵はユダヤであり、フリーメーソンである。このくらいの仕掛けはしてくるだろう。この程度のことで、我々の帰依が揺らぐことは無いぞと、逆に結束を固めたくらいである。

　しかし、今回上祐氏の勇気ある発言によって、教団によって事件が起こされたということが明らかになった。教団が、犯罪を犯したことを認めたということは、とりもなおさず、教祖が、犯罪を犯したということとイコールであろう。現在、本人は、詐病なのか、拘禁反応なのか分からないが、まともに会話も出来ない状態になっている。しかし、かつての教団において、教祖の指示なしに、何か事を起こすなど、考えられないのであるから、事件に関して、教祖から何らかの指示があったとみるのが妥当である。

　とするならば、教祖は、大量殺人を指示した首謀者ということになる。おまけに、教祖は、神を超えた絶対者でなく、過ちを犯す人間であったということになると、最終解脱はしていなかったということになる。最終解脱を果たした魂が、過ちなど犯すはずがないからだ。
もちろん、この論理の展開は、上祐氏の話を全て肯定的に捉えた上での見解である。A派の方々には、到底容認できない話であることは理解している。

　そこで、M派の新教団立ち上げなのだが、何のために新教団を立ち上げるのだろうかという疑問が出てきた。

　かつての教祖は、犯罪者である。それも大量殺人を指示した稀代の犯罪者である。その犯罪者が作り上げた、教団を何ゆえに引き継ぐ必要があるのだろうか？教団を割る時の、最初の大義名分は、グルの意思は救済であるとの位置づけによるものであった。確か、大乗仏陀イニシエーションの詞章を持ち出して、説明していたと記憶している。その意思を引き継ぐのに、A派では、先が無い。衆生の救済を進めるためにも、社会との融和を図れるような、教団に作り変えていかなくてはならないということから、M派に分かれていったはずである。

　しかし、すでに、M派はグルを否定した。ということは、グルの意思という大義名分を掲げること自体が矛盾である。もちろん、現在は、いろいろ検討を重ねているだろうから、今更、グルの意思などということを言うわけが無い。単に衆生の救済のためとしか言わないだろう。しかし、元々は、グルの意思の実現のために、M派は作り上げられたのである。もちろん、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いじゃないが、教祖が犯罪者だからといって、教えの全てが悪かったなどという気は毛頭無い。しかし、グルの意思の実現のために、新教団を立ち上げるというなら、教祖否定路線に対する矛盾が生じてくる。この点は、しっかり否定すべきであろう。

　M派が、いまいちもやもやして、つかみどころの無い理由が、かつての教祖の検証を徹底的に行わないところにある。教祖をどう捉えるのかと質問すると、かなり回りくどい説明を、長時間し始める。しかし、突き詰めれば、犯罪を犯したグル麻原彰晃は否定するが、人間松本智津夫は、仏教的見地から否定しないということではないだろうか。

　これはこれで、理解出来ないでもないが、現在、M派では、分裂から新教団設立までを、移行期と位置づけている。この間に、教祖を断ち切れない人達のケアをしていくということのようだが、だとすれば、尚更、しっかりと、かつてのグルであり、教祖であった人物の検証と、教えの検証をすべきである。

　最も教祖に近かった、上祐氏が、かつての教祖の嘘と、間違いを語れば、教祖に執着している人間も、すみやかに教祖から離解脱出来ると思う。2チャンネルに最近現れた、シヴァの喜びさん（元シヴァナンダさん）を講師に招いて、M派で語ってもらっても良いかもしれない。かなり、強烈なインパクトのある話をしてくれるのではないだろうか。

　でも、上祐さんには、無理な注文なのかもしれないなあ。