白龍のオウム・アーレフで過ごした日々

オウム・アーレフと新団体「ひかりの輪」について考える。

パーフェクト・サーベーション・イニシエーション

2006-11-24 02:19:51 | Weblog
 2チャンネルで、パーフェクト・サーベーション・イニシエーションについての書き込みがあったので、こちらでも取り上げることにする。パーフェクト・サーベーション・イニシエーションは、略してPSIと呼ばれた。1993年12月頃から始まったイニシエーションである。

 この時の触れ込みは凄かった。93年11月27日の亀戸道場での説法で教祖は、PSIについて、このようなことを言っていた。


「・・・そして、わたしは、その皆さんをわずか一週間で、例えば阿羅漢の状態、つまり、今の正悟師レベルの状態までにもっていく技術というものを獲得した。これは「パーフェクト・サーヴェーション」つまり「完全なる解脱のイニシエーション」と呼ぶわけですが、一週間ぐらい前から実際、このための準備に入り、総費用は概略的にだいたい七億円ぐらいかかるんじゃないかと。・・・」

「・・・つまり、一週間ぐらいの間に完全なる解脱を果たさせようと。そしてもし、これが達成できるならば、わたしが一九八〇年代の中間に言っていた、つまり八五年・六年ごろに言っていた三万人の解脱者、三万人の成就者というものは可能となる。・・・」

「・・・今までわたしと契約していた人、つまり信徒として活動していた人もそうであるが、これからわたしの弟子として頑張る人も、最も速い道、つまり最高のヴァジラヤーナの道を皆さんにお見せしたいと思う。しかも完全なる他力本願の道をね。----いや、もともとオウム真理教というのは他力本願の教団だから。・・・」

また、1993年12月25日亀戸での説法では、

「・・・今までの----そうですね、この地球始まって以来かどうかについては非常に難しいけども----少なくともムー大陸、あるいはアトランティス大陸以来の最高のイニシエーションがここに現われた、ということができると思います。したがってこのイニシエーションは、例えば「グルヨーガ・マイトレーヤ」あるいは「小乗のツァンダリー」「グルヨーガ」等いろいろイニシエーションがありますが、このようなものと比較できるものではありません。・・・」 


 PSIはムー大陸以来、アトランティス以来の最高のイニシエーションで、わずか一週間でマハームドラーを成就してしまう。おまけに、何もしないでただ寝ているだけでいいのだ。このPSIの説明を聞いたときに、信じられなくて、「本当に、ただ寝ているだけでいいんですか?」と尋ねたところ、「へたに考えたり、行動したりしないで、静かに横になっていたほうが良いのです。」と言われたので、これはまた、楽なイニシエーションが出てきた物だと、びっくりしてしまった。今まで苦労して受けてきた、セミナーやイニシエーションはいったいなんだったのだろうという感じだった。

 しかし、帰依信徒として、ここまで凄いイニシエーションを受けないわけにはいかない。なんせ、一週間で、ピンク色の服の方々と同じステージに立てるのである。それも、完全他力本願で!寝ているだけで良いのだ。このイニシエーションの後、人に完全に依存することを、仙台の信徒間では大完全他力本願と言って笑っていた。

 それはともかく、こんな、甘い話に乗らないわけにはいかなかった。1000万だと、死ぬまで何度でも富士でPSIを受けまくることが出来るということであったが、さすがに、1000万のコースには手が出なかった。100万の1週間のコースには、なんとか借金しつつ申し込むことが出来た。以前に書いた同郷のSさんは、私よりも、もっとイニシエーション好きだったので、1000万のコースを申し込んだ。当時は、Sさんが、なんとも羨ましかった。死ぬまで、何度でもPSIを受けることが出来るという触れ込みだったのに、1年くらいでうやむやのうちに終了してしまった。事件で断ち切れになったのか、事件前に終ってしまったのかは定かでない。

 私は、100万の1週間コースを受けたのだが、富士(上九だったかな?)の道場に行ったら、パソコンがずらっと並んでいて、その前で、みな頭にPSIを装着して横になっていた。ずい分たくさんの人がいたが、かかった費用の7億は回収出来たのだろうか?

 とにかく効果のあるイニシエーションだから、出来るだけ100%の出力で受けてくださいと師に言われていたので、1週間で解脱するためにも、100%でお願いしますと係りの方にお願いした。そして、いよいよPSIを装着し電流を流してもらった。

 そうしたら、途端に、目の中に火花が散った。頭を強くぶん殴られて火花が散るというが、あんなものは、目が多少ちかちかする程度だが、これは、本当に青白い火花が散るのである。なんと表現したらよいのだろうか?目の中に稲妻が走るのである。

 それでも、解脱のためと思い、耐えてじっと我慢していた。電流の流れは、パソコンで管理されていて、流れる場所が少しずつずれていくのである。話によると、煩悩のつまりのある箇所は、痛いのだそうである。私の場合、どこもかしこも痛かったので、煩悩だらけだったのであろう。でも、あれで、痛くない人がいたのだろうか?アージュニャーのところに来た時は、眉間にドリルで穴が開けられるのではないかというような、痛みを感じた。グリグリグリという感じで、外から内へ強い圧力を感じて、脳がどうにかなってしまうのではないかという恐怖を感じた。痛みも最高潮に達してきて、1時間くらいで、ギブアップして電圧を下げてもらった。電圧を下げてもらって、ようやく横になってくつろぐことが出来るようになった。

 甘露水飲み放題で、お供物も十分もらって、横になっているだけだったから、確かに楽だったけど、かなり飽きてくることも事実だった。時々、ゲルの交換をしながら、他支部の信徒さんと話をして気を紛らわせた。

 そんなこんなで、1週間が過ぎてしまった。果たして、私は成就したのだろうか?残念ながら否であった。まあ、一週間でラージャヨーガ、クンダリニーヨーガと飛び越して、マハームドラーの成就をしようと思うこと事態甘いと判断すべきだったのだが、事前の教団側のプレゼンにまんまと載せられてしまった。

 1000万コースのSさんは、それでも、がんばって、数ヶ月受けっぱなしで入っていた。それでも、成就しないので、一度奥さんのところに戻ってきてしまった。それっきり、後は、富士に行けなくなってしまった。なんともはや・・・。

 PSIの効果のほどは、どうであったのだろうか?私のように鈍感なものは、何がどうなったのか、さっぱり分からないのだが、非常にナーディが通ったと言う人もいた。

 ネットで見つけたのだが、「日蓮宗現代宗教研究所」というところの第11回公開講座では、こんなことを述べている。以下抜粋。


 ヘッドギアは、オウム側の触れ込みによれば、頭に装着した信者の脳波を、教祖麻原の脳波に同調させる機能があるとの由だった。値段は一台、一千万円以上もした。テレビ各局の報道で、ヘッドギアを四六時中、装着した信者の姿をご覧になった方も多いだろう。あれを見た人々の反応は、ほぼ決まっていた。「なんと馬鹿げた話だ!」というのが、共通の反応だった。頭に装着するだけで、他人の脳波と同調するなんて、まるで子供だましもいいところだと、みな思っていた。識者の中にはヘッドギアを俎上にのせた人もあったが、「あんなもの効果があるわけがない」というのが前提で、そんなギミック(まがい物)を後生大事に頭に装着している「幼稚で気の毒な」オウムの信者たちの心理を、宗教社会学的に分析してみせるのがせいぜいだった。正直いえば、かくいう私も、つい最近までヘッドギアが有効だったとは露知らなかった。ところが、ヘッドギアは有効だったのである。
 ある週刊誌、編集部の依頼を受けて、ヘッドギアの性能を電子工学の立場から解析した大学教授(知能情報工学)から、私は以下のような情報を得ている。
 「自分は麻原の脳波を測定したことがないので、ヘッドギアが同調させようとしている当該の周波数の脳波が麻原のものか否か、は判定できない。しかし、ヘッドギアには、電子的に極めて高度なメカニズムがあり、ある一定の周期で周波数を徐々に変調させ、その変調作用をある一定のリズムで繰り返すことにより、装着した人間の脳波を、特定の脳波に収斂していく効果は確かにあった。部品の多くは新たに設計されたもので、台湾製が主。開発者は故村井氏とされているが、全体の設計は世界に類例がないオリジナルなもので、彼ひとりが開発に携わったとは考えにくい。おそらく、大学の研究室をはじめとする外部の協力者が複数いたのではないか・・・。」
 (この情報は、某編集部によってボツにされた。彼らは、あくまでヘッドギアがギミックだったという結論が欲しかったのであり、事前の想定を否定する結論が出たために、報道はされなかった。この経緯には、自分たちの見解に添わない事実は隠蔽していっこうに恥じない日本のマスコミ・ジャーナリズムの、いかんともし難い病弊が、きわめて端的に示されている)


と、このように述べており、効果は有ったと見ている方もいるようである。しかしながら、キリスト成就というのはあったが、PSI成就というのは、ついに聞かなかった。PSIで、3万人の阿羅漢を出そうとした、教祖のもくろみは、無残にも打ち砕かれたのである。同時に、我々信徒の、大完全他力本願成就の夢も、打ち砕かれてしまったのである。そのため、その後、より強力なLSDイニシエーションに移行していったのではなかろうか。