獣みな鍵を持たざり雪の山 中井由美子
家の扉や窓に鍵を掛けてしまえば、一応の安全は保障されるのが現代社会の人間の生活様式だが、山の中に生きる獣の場合はそうはいかない。それぞれの生態に合わせた最も安全な場所を彼らは知っているとは言っても、決して完全ではないだろう。しかし、雪がすっぽりと山を閉ざしてしまえば、「雪」は「鍵」に代わって、彼らを守るのだろうか。「滝」3月号〈滝集〉より抄出。(Midori)
家の扉や窓に鍵を掛けてしまえば、一応の安全は保障されるのが現代社会の人間の生活様式だが、山の中に生きる獣の場合はそうはいかない。それぞれの生態に合わせた最も安全な場所を彼らは知っているとは言っても、決して完全ではないだろう。しかし、雪がすっぽりと山を閉ざしてしまえば、「雪」は「鍵」に代わって、彼らを守るのだろうか。「滝」3月号〈滝集〉より抄出。(Midori)