十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

狐火

2010-03-11 | Weblog
    狐火よ鬼火よと村騒ぐかな    渡辺登美子

「最近、あまり天文が詠まれなくなったのは、夜が明るすぎるからだ」と言っていたのは確か、鷹羽狩行だったと思う。きっと、狐火も同じだろう。世の中が、明るすぎては狐火など見過ごされてしまう。「狐火よ鬼火よ」と騒ぐことができる環境は、もう珍しくなってしまったようだ。「騒ぐかな」の余韻のある「切れ」によって、時代が昔々にタイムスリップし、村人と狐火の物語がはじまりそうな気がした。「滝」3月号〈滝集〉より抄出。(Midori)