老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

百聞は一見にしかず

2016-10-11 19:07:08 | 俳句
        🐇    待ち合はす添水の鳴るを数えつつ

以前、京都の南禅寺近くで友人と待ち合わせた。
どこからか、「ししおどし」 の鳴る音がカーン カーンと聞こえてくる。
それを数えていると待ち時間が苦にならなかった。
カーンーと音がして、次が鳴るまでは一定の刻がある。一、二、と頭の中で数える。筧を落ちる水の量も同じだなどと考えながら、友人がくるのを待っていた時に生まれた句である。




四国村に添水唐臼があったので見物をしていた。
突然 「カーン」と大きな音がしたので驚いた。
その辺りを歩いていた人もビックリして立ち止まった。
筧を流れてきた水が溜まったところで、小屋の中にある臼に大きな杵が落ちた音であった。
山に谺をして、遠くで聞いたら郷愁の音だったに違いない。余りにも近くで聞いたものだから、辺りの人も私も驚いた。
まさしく猪や鹿が驚くように。
ここの唐臼を叩くには水が溜まるまでにかなりの時間がかかるみたいであり
猪や鹿が油断をした頃に大きな音を立てるようである。

「添水、僧都、ばつたんこ、鹿威し、添水唐臼」
秋の季語である。

山田を荒らす鳥獣を追い払うために、水の力で音を出す仕掛けである。
(鉦を打つ僧に見立てて 僧都 ともいう。これは私も知らなかった。)
竹筒の中央を支点にして片方に水が溜まるようにし、その重さでシーソーのように跳ねた竹筒がもう一方の下に置いた石や鉄板を叩き、その音で鳥獣を追い払う。
添水唐臼はこの原理を利用して米を搗いたらしい。

趣のある庭には「鹿威し」をしつらえていて音を聞いて楽しむ。
筧を落ちた水が跳ね上がって空になっ竹筒が、蹲なぞに当たってカーン 又は コーンと鳴る。
幾たびか目にしたことがあるであろう。

「ししおどし」この言葉の源が、ここ四国村の唐臼小屋を覗いて解った。
百聞は一見に、、、
猪も鹿もこの音を聞いて驚いて逃げ出しただろう。

生活の知恵から生まれた仕掛けを、次々数寄屋に作られたか。
そして広まっていったのかな。


        

屋島には200頭の猪が生息していると聞いた。もっといるような気もするが。
四国村には、猪の罠、すなわち捕獲用の檻をが置かれていた。

        

この猪垣は徳島県の一宇村の昔の猪垣である。現在もあるだろう!きっと。

        🐇    猪垣は阿波の青石無造作に


二句とも結社の選を仰いだ句。
こんな句を拾うと
(田舎暮らしも捨てたもんじゃない) (^_-)-☆ 
都会の俳人は遠く吟行に足をのばさなくて だめ~だ んだんだ。


        🍒     添水鳴る久米通研さんの屋敷跡

        🍒     水引き草竹林を風くねくねと

        🍒     水引草烏帽子を冠る道祖神

        🍒     サヌカイト打つ色の無き風なりぬ

             




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四国村へ 藍染展を見に

2016-10-11 01:21:08 | 俳句
           

大好きな藍染の展覧会を見に。
吉岡幸雄デレクション展は屋島の四国村にある四国民族博物館で開催中。

           

かって諸外国から日本を訪れた人々は、この藍を「ジャパン、ブルー」と呼んで称賛したそうだ。
日本人はど藍の色相を生かしきった民族はない、と吉岡氏は云う。

           

民族博物館への径すがらの古い建物にかざってある藍染めのタペストリーや暖簾。
どれも建物にマッチをしている。



面白かった出来事。
見終わって、一番高台にある場所で古高松の街を見下ろしていた。
50歳くらいの外国人女性(西洋)が声をかけてきた。
「素晴らしい、お洋服を着ておられますね。藍染ですか?」
流暢な日本言である。三人連れで一人は男性。もう一人の女性は東南アジア系であるようだ。
私と女性が話をしているのを、東南系の女性が男性(西洋)に通訳をしている。
「いいえ、これは、絣です。この絣は男性の普段着用の木綿地です」
「そうなんですか。こんなお洋服はお高いんですよね。デパートで買ったんですか?」
「これは私が縫いました。私のお手製です」
「まあー素晴らしいー」
この会話を通訳の女性が男性に告げている。
男性はニコニコしながら私達の会話を聞いているらしい。
今度は女性が私のリュックを見て
「これは藍染ですね。素晴らしい。。。」
藍染で作ったパッチワークのリュックサックに興味をしめしたらしい。

いつも絣のリメイクの洋服を愛用をしているが、こんなに興味をしめされ、褒められたことなどかって一度も無い。
驚いた。場所が場所である。たった今藍染の数々を見てきたのであろう。
藍染めの展示品の中には、紅型や格子柄や確かに絣柄もあった。

真の上等な藍染と私の来ている絣との区別が外国の方にはつき難いのかも知れない。
が、藍木綿はもともと庶民の普段着であった。絣もその中の一種類には違いない。
古布は高値で売られている。たかが木綿されど高級木綿の昨今の風潮。
そんなことには関係なく、私は藍染が好きである。
リメイクにこだわらず、本場徳島へ行くと気にいった藍染の生地を見つけては、いつかこの布は、あんなデザイン、こんなデザインかとコレクションをしている。



今日のもう一つの目的は手術を受けてから起伏の多い場所を歩いていなかった。
今日は坂を登り、階段を登った時の身体の調子を自分なりに試験をすることであった。
難なく屋島の起伏を歩きおおせた。よかった。

      🐎    空高し全き日本の青なりき

      🐎    酔芙蓉意見の丸くおさまりぬ
   
           
          
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