羽黒蛇、大相撲について語るブログ

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力士の高齢化について(中村淳一)

2016年10月05日 | 読者からのコメント、中村淳一他読者の投稿
力士の高齢化について

外国人力士についてはひとまずおいて。現在の相撲界で特徴的なことは力士の高齢化ということであろう。
この秋場所の幕内力士42人の内、30歳代の力士は17人。さらには29歳の力士が7人おり、30歳以上の幕内力士はさらに増加しそうな状況である。あるいは半数を超えるという可能性もありそうだ。
このブログにもご収載いただいている小説「金の玉」で、途中、その小説世界での幕内力士42人を列挙したのだが、30歳代の力士が16人。小説に少しでも現実感を持たせるには、多すぎたかな、というのが気になっていたのだが、現実の相撲界がそれを超えてしまった。
これは一時的な現象なのか。あるいは今後はこのようになっていくのか。
あるいは後者なのかもしれない、とも思う。と言うのは、今、様々なスポーツ界でトップレベルの選手の高齢化が進んでいるからである。
例えば、プロ野球。筆者の少年時代の印象でいえば、選手の全盛期は20歳代。30歳代になればベテランという目で見られていたかと思う。現在は、全盛期は30歳前後。30歳半ば以降もトップレベルの力を維持している選手も多く、20歳代であれば、まだ若手という印象である。
競泳界。筆者の少年時代、トップレベルの選手はおおむね10歳代であったかと思う。現在は、トップレベルは20歳代が主。フェルプスのように30歳を過ぎても金メダルを獲得する選手もあらわれている。
テニス界。1980年代には、ボリス・ベッカー、マイケル・チャンは17歳でグランドスラムチャンピオンとなった。マッツ・ビランデルも最初にグランドスラムチャンピオンになったのは、17歳か18歳だったと思う。女子も同様に10歳代で頂点に立った相当数の選手がいた。
現在、ビッグ4と呼ばれる選手の時代が長く続いているが、ジョコビッチ、マレーは今年29歳。ナダルは30歳。フェデラーにいたっては、すでに30歳代半ばである。
錦織圭は、これからまだまだ伸びしろがあり。今後さらにランキングをあげ、グランドスラム獲得の可能性もあり、と見られているようだが、この年末で27歳になる。
ボクシング界。かつて一世を風靡した往年の名選手、海老原博幸、ファイティング原田、西城正三、大場政夫、具志堅用高といったボクサーは、その主たる活躍時期は、20歳代前半であったかと思う。現状、全般的に全盛期と思われる時期はかなり高齢化している。
世紀の一戦と称されたときのフロイド・メイウェザー。マニー・パッキャオはともに30歳代後半であったし、バーナード・ホプキンスのように40歳以降も世界チャンピオンであり続けたボクサーもいる。
相撲界もこれらのスポーツと同様な趨勢となっていくのであろうか。
現在の横綱、大関陣は、照の富士を除く6人は30歳代。以前であれば、すぐにも一斉に退場し、時代が移り変わる。そうみられる状況のはずだが、まだしばらくは、時代の主役陣に大きな変更は無い、というのが今の大方の予想なのかな、と思う。
横綱、大関陣に限らず、三役、幕内上位の常連も30歳前後の力士が多くを占めている。
若手の影がうすく、マンネリ化した番付という見方もあるであろう。が、折角このような時代に遭遇したのだから、前向きに肯定的にとらえたい。
今の相撲界は、主役も脇役も、ずらりと並んだ、熟練の技をその身に備えたベテラン名優が演じる、豪華で贅沢な舞台。私はそう思っている。