はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.221 承認の欲求の先

2012-08-25 12:39:06 | ライフ
僕がよくする話。

「スワロウテイル」の岩井俊二監督が30歳前半の時に、自分も30歳を超えたので、「これが代表作です」と言える作品を創りたいと常に思っています、と何かのインタビューで答えていたのを聞いて、僕も30歳だし(岩井俊二監督とは確か同年代)自分のしてきた仕事を誇れるようにしなくちゃと焦った。今、思えば30歳までにできることなんてたかが知れているし、30歳で代表作を創れる人なんてほんの一握り。でも、常にそれを意識していくことは大切なのだと思って生きてきた。

それから15年以上を経て、有名人になったとか、ベストセラー作家になったとか、そういうことはまったく叶ってはいないけれど、それでも僕がやってきた仕事はこれです!と自信を持って言えることが少しずつ増えてきた。特にこの5年はたくさんの新しいことにチャレンジしてきたと思う。

マズローの欲求段階説。僕はキャリアカウンセラーなので、マズローの説を聞くことも語ることも多い。説明の上ではなるほどねえと納得はしているものの、それを実感として体験しているかというとそうではない。

僕が所属する学校広報ソーシャルメディア活用勉強会というフェイスブックグループがある。フェイスブック上の議論の活発なグループであるが、リアルでも積極的な活動を続けている。今年に入ってからは5月に東京で勉強会を開催。6月に岩手県の震災被災地を視察する遠野での勉強会合宿を実施。そして先週、8月23日(木)、五反田のDNPさんの会社のホールでの「教育カンファレンス」!

先に書いたように「僕がやってきた仕事はこれです!」と言えることがほんの少し増えてきたけれど、ずっと僕は「僕がやった仕事」という個人の評価を求めてきたのかも知れない。だから、いつも、自分は、自分だけは、間違っていないか、正論を言っているか、ミスをしていないか、すべきことをしているか、に重点が置かれていた。そこの先にあったのはおそらく、マズローのいう3段階目の「所属の欲求」とその上の「承認の欲求」なのだ。いつも僕のモチベーションはそこにあった。

そして、今回の学校広報ソーシャルメディア活用勉強会「教育カンファレンス」の運営に携わる。
「承認の欲求」をモチベーションに、自分の成功、自分の活躍を求めていつものように動き出したのだと思う。当然、あちこちでぶつかる。いっそ逃げ出しちゃおうかと何度も思った。くじけて、凹んで、やけ酒呑んで、でも、そしたら励ましてくれる人が大勢まわりに居た。
僕は一人で仕事をして、一人で何とかしようとしていた。
それってつまり自分が認めてもらいたかったから。
だから、自分のミスややり方のまずさを指摘されるとカチンときて、「ちゃんとやってるのに」と思い、アドバイスを素直に受けとれなかった。
それがそもそも自分の弱さだ。

ボコボコになって、凹むだけ凹んで傷だらけの時にやっと気がついた。

運営なんて完璧じゃなくても良い。ボロボロだって良い、不細工で全然良い。
だって今回のカンファレンスの目的は運営がスムースなイベントをすることじゃなくて、このイベントによってメッセージを伝えて、人々の心を動かして、教育を良い方向へ向けて、活動を促進することなんだから。

今回の運営をやってきて、僕はマズローの承認の欲求の上の世界をはじめて体験した。
このイベントのミッション、目的に辿り着けるならば、自分の評価なんてどうだって良い。誰か一人が頑張るんじゃなくてみんなで創りあげること、みんなで成し遂げること、そしてそれが社会を動かすってこと。

叱ってくれた方々、励ましてくれた方々、みんなのお陰で僕はちょっとだけ成長できました。心から「ありがとうございます」と言います。

こういう経験を積み重ねて、僕はもっともっと成長して自分の人生を意味のある人生にしていこうと思うし、まだまだこれからなのだとは思うけれど、40代も半ばを過ぎていては少し遅咲き過ぎたかなとも正直思う。
あと15年早く動き出せたなら、もっと良かったのにと思うから、心から若い人たちを支援しなくちゃと思う。

まずは、自分の子どもをきちんと見守ろう。

なんて、
僕たちがやりました!と胸を張れる仕事を一つ終わらせて、充実した週末を過ごしている日に思ったこと。

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