高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!
みなさん、最近「シェールガス(shale gas)」という言葉を耳にすることが多くなりましたね。
資源開発大手の石油資源開発は10/3、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田の地下約1800mから、岩盤に含まれる新型の原油「シェールオイル」の試験採取に成功したという報告がありましたね。
「シェールガス(shale gas)」とは、頁岩(けつがん=シェール)という地中の固い岩盤層に閉じ込められた天然ガスのことで、これまでのガス田ではない場所から生産されることから「非在来型天然ガス資源」と呼ばれています。
米国では昔から有望なエネルギーとして知られていましたが、2000年以降、地下深く井戸を掘り、ガスが閉じ込められているシェール層に高圧の水圧をかけて割れ目を入れる「水圧破砕」と呼ばれる掘削・採取技術を確立しました。生産コストが一気に下がったため開発ブームが起きているのです。生産量の急増により、液化天然ガス(LNG)の安定供給と価格安定にも大きく貢献しています。
米国では1990年代から新しい天然ガス資源として研究されるようになり、他国(カナダ、欧州、アジア)などの潜在的シェールガス資源も注目され、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになると予想する研究者もいます。
頁岩(けつがん=シェール)は浸透率が低いので、商用量のガスを生産するためには人工的にガス採取用のフラクチャー(割れ目)をつくる必要があり、過去はシェールガスは頁岩層に自然にできた割れ目から採取されていたが、2000年代に入ってから「水圧破砕」によって坑井に人工的に大きな割れ目をつくってガスを採取する技術が確立し、更に頁岩層に接している坑井の表面積を最大にするために水平坑井掘削技術という技法で10,000フィート (3,000 m)もの長さの横穴を掘ることが可能となってきました。
これらの技術進歩の結果シェールガス生産量が飛躍的に増加し、「シェールガス革命」などと呼ばれるようになりました。
しかし、良いことばかりではありません。反対運動が起こっているのです。
日本では昨年3月に発生した東日本大震災で東京電力福島第1原子力発電所が大事故を起こして以来、反原発運動が活発ですが、米国ではいま、エンタメ業界が中心となって、最近、米国内で産出量が急増している新エネルギー「シェールガス」の開発に対する激しい反対運動が起こっています。
その反対運動の提唱者は、元ビートルズのジョン・レノンさんの息子で、ミュージシャンのショーン・レノンさんが先頭に立っています。
8/27の米紙ニューヨーク・タイムズは、父ジョンがニューヨーク州で購入した農地を含む環境が「シェールガス」の開発で破壊されるとのショーンさんの寄稿を掲載。これが大きな波紋を広げました。寄稿によると、この農地はニューヨーク州デラウエア郡の北端にあり、父ジョンと母オノ・ヨーコさんがショーンが生まれる前に趣味で酪農を楽しむため購入したのだそうです。ところが数カ月前、突然、地元の高校でガス会社が開発計画の説明会を行い「水圧破砕」でガスを生産し、一帯にパイプラインも張り巡らせることが明らかになりました。
この計画に、農家を中心とする地元住民のほとんどが反対しましたが「会社側は意に介さず、計画を実行するようだった」(ショーンさん)ことから、ショーンは「シェールガス」について自分で調べました。その結果、「水圧破砕」では化学薬品を大量に使うことから「クリーンなエネルギーといわれているが、ガス井戸1カ所につき、有害物質を含む1900万リットルもの水が必要な真に汚いエネルギーだ」と指摘。また「生産開始から20年以内に漏れるメタンは二酸化炭素の105倍も強力な温室効果ガスだ」とし、地球温暖化にも悪影響があると断言しました。
既にヨーコさんはクオモ州知事に7月「水圧破砕と呼ばれる方法で簡単に金儲けしようとする人々が米国の将来を台無しにしようとしています」との内容の書簡を送っています。
更に10/7付米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、みなさんが知っているマット・デイモンさんが主演する米新作映画で、12/28付けで全米公開される「約束の地」が、「水圧破砕」による環境や人体への悪影響について描いているとして、エネルギー業界が猛反発していると報じたのです。この映画は、デイモンさん演じるガス会社のセールスマンが「シェールガス」の採掘権を得るため、米東部ペンシルベニア州の農村を訪問した際、人生を変える出来事を体験するという物語で、デイモンさんは共同で脚本も執筆しています。
しかし、シェールオイルは新たなエネルギー資源として米国ではすでに生産が本格化、世界的に注目されています。
日本で採掘に成功した鮎川油ガス田では、今後は、原油の成分などを詳しく分析した上で、2013年度にも新たな油井を掘り、試掘を本格化させる方針で、シェールオイルの埋蔵量は、鮎川油ガス田と隣接する油ガス田を合わせて計約500万バレルと推定し、秋田県全体では国内での年間石油消費量の1割弱にあたる1億バレルに上る可能性もあると見込んでいます。
最後に「シェールオイル」に関する文献を下記に掲載しておきますので、時間があるときにクリックしてお読みください。
◆「シェールガス革命と米国復活のシナリオ」
◆「シェールガスに期待し過ぎてはいけない」
◆「シェールガスブームが仇に」
みなさん、最近「シェールガス(shale gas)」という言葉を耳にすることが多くなりましたね。
資源開発大手の石油資源開発は10/3、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田の地下約1800mから、岩盤に含まれる新型の原油「シェールオイル」の試験採取に成功したという報告がありましたね。
「シェールガス(shale gas)」とは、頁岩(けつがん=シェール)という地中の固い岩盤層に閉じ込められた天然ガスのことで、これまでのガス田ではない場所から生産されることから「非在来型天然ガス資源」と呼ばれています。
米国では昔から有望なエネルギーとして知られていましたが、2000年以降、地下深く井戸を掘り、ガスが閉じ込められているシェール層に高圧の水圧をかけて割れ目を入れる「水圧破砕」と呼ばれる掘削・採取技術を確立しました。生産コストが一気に下がったため開発ブームが起きているのです。生産量の急増により、液化天然ガス(LNG)の安定供給と価格安定にも大きく貢献しています。
米国では1990年代から新しい天然ガス資源として研究されるようになり、他国(カナダ、欧州、アジア)などの潜在的シェールガス資源も注目され、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになると予想する研究者もいます。
頁岩(けつがん=シェール)は浸透率が低いので、商用量のガスを生産するためには人工的にガス採取用のフラクチャー(割れ目)をつくる必要があり、過去はシェールガスは頁岩層に自然にできた割れ目から採取されていたが、2000年代に入ってから「水圧破砕」によって坑井に人工的に大きな割れ目をつくってガスを採取する技術が確立し、更に頁岩層に接している坑井の表面積を最大にするために水平坑井掘削技術という技法で10,000フィート (3,000 m)もの長さの横穴を掘ることが可能となってきました。
これらの技術進歩の結果シェールガス生産量が飛躍的に増加し、「シェールガス革命」などと呼ばれるようになりました。
しかし、良いことばかりではありません。反対運動が起こっているのです。
日本では昨年3月に発生した東日本大震災で東京電力福島第1原子力発電所が大事故を起こして以来、反原発運動が活発ですが、米国ではいま、エンタメ業界が中心となって、最近、米国内で産出量が急増している新エネルギー「シェールガス」の開発に対する激しい反対運動が起こっています。
その反対運動の提唱者は、元ビートルズのジョン・レノンさんの息子で、ミュージシャンのショーン・レノンさんが先頭に立っています。
8/27の米紙ニューヨーク・タイムズは、父ジョンがニューヨーク州で購入した農地を含む環境が「シェールガス」の開発で破壊されるとのショーンさんの寄稿を掲載。これが大きな波紋を広げました。寄稿によると、この農地はニューヨーク州デラウエア郡の北端にあり、父ジョンと母オノ・ヨーコさんがショーンが生まれる前に趣味で酪農を楽しむため購入したのだそうです。ところが数カ月前、突然、地元の高校でガス会社が開発計画の説明会を行い「水圧破砕」でガスを生産し、一帯にパイプラインも張り巡らせることが明らかになりました。
この計画に、農家を中心とする地元住民のほとんどが反対しましたが「会社側は意に介さず、計画を実行するようだった」(ショーンさん)ことから、ショーンは「シェールガス」について自分で調べました。その結果、「水圧破砕」では化学薬品を大量に使うことから「クリーンなエネルギーといわれているが、ガス井戸1カ所につき、有害物質を含む1900万リットルもの水が必要な真に汚いエネルギーだ」と指摘。また「生産開始から20年以内に漏れるメタンは二酸化炭素の105倍も強力な温室効果ガスだ」とし、地球温暖化にも悪影響があると断言しました。
既にヨーコさんはクオモ州知事に7月「水圧破砕と呼ばれる方法で簡単に金儲けしようとする人々が米国の将来を台無しにしようとしています」との内容の書簡を送っています。
更に10/7付米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、みなさんが知っているマット・デイモンさんが主演する米新作映画で、12/28付けで全米公開される「約束の地」が、「水圧破砕」による環境や人体への悪影響について描いているとして、エネルギー業界が猛反発していると報じたのです。この映画は、デイモンさん演じるガス会社のセールスマンが「シェールガス」の採掘権を得るため、米東部ペンシルベニア州の農村を訪問した際、人生を変える出来事を体験するという物語で、デイモンさんは共同で脚本も執筆しています。
しかし、シェールオイルは新たなエネルギー資源として米国ではすでに生産が本格化、世界的に注目されています。
日本で採掘に成功した鮎川油ガス田では、今後は、原油の成分などを詳しく分析した上で、2013年度にも新たな油井を掘り、試掘を本格化させる方針で、シェールオイルの埋蔵量は、鮎川油ガス田と隣接する油ガス田を合わせて計約500万バレルと推定し、秋田県全体では国内での年間石油消費量の1割弱にあたる1億バレルに上る可能性もあると見込んでいます。
最後に「シェールオイル」に関する文献を下記に掲載しておきますので、時間があるときにクリックしてお読みください。
◆「シェールガス革命と米国復活のシナリオ」
◆「シェールガスに期待し過ぎてはいけない」
◆「シェールガスブームが仇に」