HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第419話≪家族、地域、職場のつながりに焦点(平成19年版 国民生活白書公表)≫

2007年07月09日 | 引用伝授
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、HageOyajiは、少し早めの夏休みをとり、いろいろな国の教育システム、教育環境、教育事情など・・・を追求し、例えば、米国と日本の義務教育期間の違い、フインランド政府負担の育児費用や教育費やどちらの親が育児休暇をとっても、最高10年までは職場復帰ができる保障、更に今国内で話題のインド教育も実践体験してきました。

 今回学んだ点でみなさんに関連することはこのHageOyaji通信で配信します。


  さて、みなさん、内閣府が「平成19年版国民生活白書」を6月26日に公表しました。その副題に「つながりが築く豊かな国民生活」として家族、地域、職場のつながりに焦点を当てて、つながりに期待する役割と現状、また近年における変化と国民生活への影響について分析してます。

 職場の同僚と「親しく付き合いたい」と考えている人ほど、希望が実現していない。家庭内では父親と母親で家族との交流量のギャップがあり、家族と過ごす時間も減少しています。

 今、国内で「躁鬱病」が急激に増えています。
 多くの医師が指摘するように「家族、地域、職場のつながり」の脆弱化に起因すると見ています。東京大学心療内科で診てもらうには、二ヶ月待ちの状態が続いています。

 HageOyajiは、政府が今回の「平成19年版国民生活白書」でその盲点を突いてきたことに驚きと敬意を持って読んだ次第です。

 
 以下に要旨の最後、「むすび つながりが築く豊かな国民生活」から一部をピックアップし、骨子を纏めて配信しましょう。

 ◆つながりの姿に変化
  ≪家族の個別化、地域との疎遠、職場での付き合い減少≫

 家族ではそれぞれの行動が個別化しており、地域においても、近所付き合いは疎遠となり、町
内会・自治会へあまり参加しない人が増えており、職場では仕事以外の付き合いが減っているとともに、企業に帰属するとの意識が薄くなっている。
 このような変化は様々な要因から生じたと考えられるが、その一つとしては経済・社会環境の変化を挙げることができよう。
 例えば、雇用者や単身者世帯の増加は地域のつながりを、また日本的雇用慣行の変化は職場のつながりを、それぞれ弱めたと考えられる。
 また、生活の質や利便性の向上も、つながりの変化の一因であろう。テレビが一人1台にまで普及したこと、家庭用ゲーム機器の進化は、家族の個別化を進めた可能性があるし、電子メールなどIT技術の進歩は、個人で仕事を行う機会を増やしたとも考えられる。

 さらに人々の意識の変化も要因の一つであろう。地域にせよ、職場にせよ、従来は深く立ち入ったつながりを求める人が多かったが、最近は、適度に距離を置いたつながりが求められるようになっている。


 ◆つながりがもたらす効果は二つ
 一つは、精神的なやすらぎや充実感をもたらす効果
 「家族でいるとやすらぎを感じる」、「地域活動に参加することにより達成感が得られる」
など。

 もう一つは、人々の助け合いや協力によって、人々や社会が求める何らかの価値を生み出す効果
 「子どもをしつける」、「防災や防犯のために地域の人と見回りをする」、「職場で一致団結してプロジェクトを達成する」など。

 人々はかつてつながりから得ていたこのような効果を得られなくなっている可能性がある。

 近年心の豊かさが重視されるようになっているが、つながりの弱まりによって精神的なやすらぎや充実感を得られなくなれば、人々は決して生活の豊かさを実感できないだろう。また、つながりが生み出す価値を人々が得られなくなるという影響もある。

 例えば、家族におけるしつけが不十分であれば、次世代を担う子どもの人格・能力に影響する可能性があるだろうし、地域に期待されている教育、子育て支援、防犯・治安といった機能が低下すれば、地域の人々の生活の質に影響するだろう。また職場でも、助け合いやコミュニケーションが不十分になることで、人々のストレスが高まることも考えられるし、企業の業績や、ひいては我が国経済の活力にも影響が生ずることもあり得る。


 ◆つながりの再構築は二つ
 一つは、つながりを持つ上での制約をなくすことである。
 人々は以前ほど深いつながりを求めてはいないものの、つながりを持ちたくても持てない人が少なくないことから、現実のつながりが人々の意識以上に弱くなっていると考えられる。つながりたくてもつながれない理由、つまり、つながりの制約をなくすことができれば、総体としてつながりが強まることが期待できる。

 もう一つは、家族、地域、職場のそれぞれが、現状に即したつながりを構築するための工夫をすることである。
 つながりが弱まった背景には、経済社会の変化や生活の質や利便性の向上があるが、こうした時代のすう勢が短期的に変わると考えることは現実的ではない。よって、このような流れの中でも、つながりを強められるような知恵を出す必要があろう。
 
 国民生活白書はつながりの制約要因として、以下の二つを指摘。
 ◎第一は、時間的制約である。
 働く父親の長時間労働、子どもの塾通いや長時間にわたるテレビゲームなどにより、家族の行動が個別化し、家族が交流する時間が持てなくなっている。また時間的拘束が強いサラリーマンほど地域の活動から遠ざかっている。

 ◎第二は、つながりを持つ機会や具体的に参加したいと思うようなつながりの場が十分に提供されていないことである。
 地域への貢献意識は高まっているが、活動へ参加するきっかけや情報が得られないことにより、参加をあきらめている人は少なくない。さらにパート・アルバイトでは、職場の人と仕事以外での付き合いを希望しても、それが実現できていない人が多く、職場の人の交流の場が少ないことが影響している可能性がある。
 

 人々が求めるつながりを持てるようにするためには、これまで指摘したようなつながりの制約を取り払うことと、現状に即したつながりを再構築するための工夫をすることが重要である。


 ◆つながりの再構築につながる新しい動き

 ◎<ワーク・ライフ・バランスの取組>
 詳細は、HageOyaji通信:第393話≪ワークライフバランス(仕事と生活の調和)「Work Life Balance」≫をお読みください。

 ◎<魅力ある新しいつながりの形成>

 ◎< I T の活用>
 ITの発達は、時間的・空間的制約を取り払い、新たなつながりを持つ機会を提供することに貢献している。例えば、家族と離れて暮らしていても、携帯電話やメールなどの活用により、多くの情報を共有し、家族としての一体感を持てる。また、地域では、地域版ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの利用により、活動が活発化している例もある。ITの活用により、顔が見えるコミュニケーションの機会が減少し、意思疎通が滞る場合もあるが、基本的には、多様な形でコミュニケーションを促す手段として、その効果的な活用が期待されている。


 ◆政府の対応策
 最終的に、自分の生活を充実させるために、どのようなつながりを選択するかということは、個人の選択の問題である。
 このため、政府が特定のつながりを個人に押しつけることはあってはならない。しかしながら、つながりを持ちたいと希望しつつ持てない人がいることなどを考えれば、政府としては以下のような対応策を講じ、個人が必要とするつながりが持ちやすい環境を整備することが求められる。

 第一は、ワーク・ライフ・バランスの一層の推進のための環境整備である。
 第二は、つながりを持ちたいと考えている人に、つながりの場や、新たなつながりの形について情報提供に努めることである。
 第三は、つながりに関する国民の意識啓発である。


 経済・社会環境の変化や人々の意識の変化などにより、家族、地域、職場のつながりは弱まっており、人々さらに社会はつながりに期待する価値を十分には得られていないと考えられる。
 しかし、人々が望むつながりを持てる環境を創り、またつながりの重要性を共有することによって、つながりの希薄化の流れを変えることができると考えられ、実際にそのような動きも始まっている。
 今後は、このような、つながりの希薄化の流れを止め、つながりを再構築する動きを社会全体に広げることで、人々が魅力的なつながりを持つことができるようになれば、個人が魅力ある豊かな生活、さらには人生を享受できるのみならず、活力と優しさに満ちあふれた社会の創造につながることが期待できよう。

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